東京電力、資産売却で6千億円以上の資金確保へ リストラも視野に

2011年5月20日 21:02

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 東京電力は20日、東日本大震災によって引き起こされた福島第一原子力発電所の事故に関し、今後の事業運営方針と経営合理化方針を発表した。事業運営に関しては、原発事故の早期収束、被災者や顧客への誠意ある対応、今夏に向けて電力の安定供給量の確保を目指し、最大限努力していく方針。また、経営に関しては、「当社グループの事業について、電気事業に必要不可欠な資産構成・組織体制に絞ることを基本に、抜本的な経営の効率化・合理化に取り組む」(同社)と意気込みを示した。

 具体的には、同社グループ(子会社を含む)が保有する不動産について、電気事業の遂行に必要不可欠なものを除き売却する。さらに、厚生施設(体育・宿泊施設等)を全廃するとともに、安定供給の確保を前提としつつ、事務所建物・PR施設などの売却についても検討する。また、有価証券や国内外の各事業についても原則売却・撤退し、合計6000億円以上の資金確保を目指すという。

 投資についても、電気事業の遂行に必要不可欠なものを除き実施しないことを決定。また、安定供給・公衆安全・法令遵守を確保できる範囲において「修繕費の最大限の削減」、システム・研究開発の大幅縮小などによる「諸経費の削減」、「人件費の削減」など、あらゆる費用を徹底的に抑制し、今年度中に5000億円以上の費用を削減する方針。このうち人件費に関しては、役員報酬の返上・減額(当分の間、代表取締役は全額を返上、常務取締役は総報酬の60%、執行役員は同40%を減額)、社員の賃金・賞与の減額(今年度に、管理職は年俸の25%、一般職は年収の20%)を実施する。これらによる削減効果は年間約540億円に上るという。

 また、組織・グループ体制を見直し、業務の簡素化・効率化を進める。具体的には、来月1日付けで「販売営業本部」を「お客さま本部」に改組、生活エネルギーセンター、新事業開発部を廃止するなど、営業、グループ事業等に関する社内組織を見直す。さらに、今後「業務の状況を見極めた上で、(リストラによる)人員削減も検討していく」とコメントしている。

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