米国、バイオテロに備え最後の天然痘ウィルスを保存

　 capra 曰く、

　米国は自国で所持している天然痘ウィルスの破棄に関し「バイオテロへの備え」を理由として今後 5 年間は研究開発のためウィルスを保持し続けることを提唱したそうだ (SFGate の記事、本家 /. 記事より) 。

　天然痘は感染者の約 1/3 が死亡するという強力な感染症であり、何世紀にも渡り度々猛威を振るってきた。その後、1958 年から世界保健機関 (WHO) の指揮のもと行われた「世界天然痘根絶計画」が功を奏し、1980 年には根絶が宣言された。現在では米国およびロシアの研究所において国の厳重な管理下で保管されている株のみが世界に存在しているとされている。WHO は 1996 年に天然痘ウィルスは全て破棄されるべきであるとの決定したが、これは強制力を持たない決議であり、より安全なワクチンや治療法の研究開発のため破棄は先延ばしにされてきた。

　この度も WHO のウィルス破棄提案に対し米国は「将来的な破棄」を約束しながらも「生物兵器として意図的に放出されることによる天然痘の再発の可能性は排除できず、ワクチン開発のためにウィルスが必要」として今後5年間のウィルス保持を提唱したとのことだ。なお、現在人類は天然痘に対する免疫が全くない状態であり、万が一ウィルスがばらまかれた場合には重大な事態へと発展する恐れがあるとのことだ。

　天然痘のニュースは以前あったなあと思って探してみたら 2002 年の記事で天然痘の保存継続を決定というものがあり、アメリカによる無期限延長の要請を WHO が受け入れたとある。Wikipedia の天然痘の項目 (耐性のない人は閲覧注意) によると 2002 年の決定は無期限ではなく一時的なもの、とある。

　スラッシュドットのコメントを読む | バイオテック | アメリカ合衆国

　関連ストーリー：
天然痘の保存継続を決定 2002年01月18日