地球観測衛星「だいち」電源異常で制御不能に

2011年4月25日 14:50

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記事提供元:スラド

  simon 曰く、

 東日本大震災で被災地を撮影するなどの活躍をした地球観測衛星「だいち」だが、4/22に電力が失われるというトラブルが発生。地上からの制御も受け付けず、回復の見込みはない模様(朝日新聞)。

 2006年1月にH-IIAロケット8号機で打ち上げられた「だいち」は、地図作成・地域観測・災害状況把握・資源調査などの目的を持った地球観測衛星である。これまでアマゾンの森林伐採の観測や、中国の四川大地震・新潟県中越沖地震などの災害被害観測などを行ってきた実績がある。

 本来の設計寿命は三年、目標寿命は五年で、今年の一月でその五年の目標寿命は過ぎていた。今年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震ではその被災地をいち早く観測し、被害把握に重要な役割を果たしていた。

 JAXAの取材に当たった大塚実氏のブログによると、通常は8000W発電される電力が22日午前6時から徐々に低下、観測機器の電源を落とし節電モードに入ったが、電力の低下は止まらず、最終的に13時の時点でゼロになったという。

 何が原因かは未だ不明だが、後継機の打ち上げは再来年の予定であり、現状では日本の衛星で地球を観測できるものは災害対策も目的にしていながら一切のデータを出さない情報収集衛星(IGS)のみとなった。故障発生前の4/15の時点では「だいち」後継機の打ち上げを一年前倒しする方針が示されていたが、この件を受けてどうなるかは不明である。

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