IMF専務理事、世界経済は「不確実性が依然として広がっている」

2011年4月5日 20:18

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 国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は4日、ワシントンで講演し、世界経済の見通しについて回復は続いているが、国ごとでばらつきがあり、「大きな不確実性が依然として広がっている」との見通しを示した。

 IMFが公表した講演の原稿によると、同専務理事は、金融危機の中心地となった先進国での経済成長は、依然として低い水準が続いており、失業率も高い水準にとどまっているとした。一方、発展途上国、特に、アジアと中南米では経済が進展しており、経済の過熱に対処していると指摘。低所得国は、著しく立ち直りが早かったが、現在は食料と燃料価格の高騰で打撃を受けているとの認識を示した。

 また、「大きな不確実性が依然として広がっている。多数の黒い白鳥(ブラック・スワン:従来からの知識では予測できない大きな影響を及ぼす事柄)が世界経済という湖の上を泳いでいる」とした。

 同専務理事は東日本大震災についても言及し、「日本での大きな悲劇で、優先課題は人的被害を軽減させ、破壊されたものを再建することだ。日本の人々の回復力に我々はみな感銘を受けている」と述べている。

 欧州については、一部の国は岐路に立たされており、金融セクターと財政危機問題に対処するために包括的な解決策を必要としていると指摘している。

 また、政情不安が続く中東については、「歴史的な転換の時期を経験している」と表現し、「政治、経済、社会的慣行に広範囲に及ぶ変化が起こるが、長期にわたるプロセスで、制度的な変化には時間と努力を要するだろう」「差し当たっての課題はマクロ経済の安定性を脅かすことなく、社会の一体性を保つことだ」と指摘している。

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