人材育成について~人材育成方法の考え方~

2011年3月10日 15:32

印刷

■人材育成に困っていませんか?

 昨年から、当社のコンサルティングで人材育成のテーマが非常に増えている。当社は、研修専門の会社ではないが、クライアント先の改善・改革テーマで活動している中で人材育成のテーマが度々発生する。事実NTTレゾナントが調査した企業の「経営層が認識している内部的な課題」によると、2009年度は「収益性の向上」がトップテーマだったが、2010年度は「人材育成」がトップになっている。

 何故、最近人材育成のニーズが増えているかと考えると、1つは企業を取り巻く環境が悪い中で、業績をあげる為により一人一人の能力向上が重要なテーマになっている事と団塊世代の定年退職に絡み、中堅の人材育成の必要性が高まっているためではないかと思う。

 このような環境下で現在、経営戦略、経営管理、人事労務管理、財務管理、マネジメント、コミュニケーション等の基礎的な研修と、実際の組織の課題を取り上げ、その問題解決をするような実践的研修を実施している。

  
■3つの人材育成方法
 人材育成方法は様々な方法論があるが、私は次の3つの区分で考えている。

1.ON THE JOBトレーニング
 実務を遂行しながら教育を実施する。

2.OFF THE JOBトレーニング
 座学で教育を実施する。
 代表的テーマとして経営戦略、経営管理、マネジメント、コミュニケーション、財務会計、人事労務、営業管理、生産管理、マーケティング、商品企画、設計改善、購買管理、製造管理がある。

3.ON&OFF THE JOBトレーニング
 改善活動等のPJ活動等を実施しながら教育を実施する。
 代表的改善テーマとして収益改善、コストリダクション、生産改善、売上拡大、業務改善がある。

 この3つのトレーニング法の中でOFF THE JOBトレーニングでは単なる知識教育ではなく、現場確認やケーススタディを多く取り入れ、研修メンバーに考える力を養ってもらっている。またON&OFF THE JOBトレーニングでは、社内の重要な改善課題を取り上げ、この改善活動を通して成果を出すことによりPJメンバーの能力アップを図っている。

 OFF THE JOBトレーニングで基本的知識を教育し、この知識をON THE JOBトレーニングで実践的に身につけ、さらにON&OFF THE JOBトレーニングで磨きをかける。こんな教育体系が望ましいと考える。


■一方通行・一過性の教育になっていませんか?

 人材育成の方法論は色々あると思うが会社側の教育に投資する姿勢と研修メンバーの学ぶ姿勢がうまく噛み合って、はじめて成果が出ると考える。同時に一過性の教育ではなく、継続的な教育が重要だと思う。

 当社では、研修メンバーが積極的に研修に参加するような働き掛けを行っている。参加型の研修を行うことで、その企業の問題点なども研修を通して洗い出すことができる。そこから、企業風土改革へもつながっていくのである。

 私は常々経営コンサルタントの役割で最も重要な事は人材育成が基本と考えてきたが、この考え方がより重要になっている事を認識しながら、さらに人材育成支援をしていきたいと思う。

著者プロフィール

中山 幹男

中山 幹男(なかやま・みきお) 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役

大阪大学工学部機械学科卒業後、大手自動車メーカにおいて商品企画、設計・開発、品質管理、環境対策業務等に従事。その後大手コンサルティングファームの経営コンサルタントとして7年間勤務。
韓国の大手家電メーカを手始めに製造業を中心としたコンサルティングを実施する。1997年に「現場主義を貫き、行動的に活動して成果を出す経営コンサルティング」を目指し、A&Mコンサルトを設立し現在に至る。激変の環境変化の中で、企業の永続的な存続を前提に戦略構築、仕組改革、組織風土改革のトライアングル視点で企業の体質強化を図る。
会社URL  http://www.a-and-m.biz

記事の先頭に戻る

関連記事