ディーゼル創始者兼社長レンツォ・ロッソへのインタビュー

2011年2月28日 17:40

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記事提供元:ファッションプレス

 2月某日、ディーゼルの創始者兼社長レンツォ・ロッソが来日した。ファッションプレスは、レンツォ・ロッソ本人にインタビューをし、ディーゼルが打ち出すとてもユニークなキャンペーンや、マーケットについて、日本についてなど質問。


 レンツォ・ロッソは、世界80ヶ国以上に約5,000箇所の販売拠点を有し、約500ものディーゼルストアを展開、さらにメゾン マルタン マルジェラヴィクター&ロルフディースクエアード等、世界的ブランドも有する一大グループを率いるトップ。そんなレンツォ・ロッソは意外(?)にも気さくにこちらの質問に回答してくれた。


■「DIESEL ISLAND」
ファッションプレス編集部(以下FP): まず、ディーゼルの2011年春夏広告キャンペーン「DIESEL ISLAND」は島を舞台にビジュアルを展開していますが、このキャンペーンのコンセプトについてご説明いただけますか?

 レンツォ・ロッソ ディーゼル創始者兼社長(以下ロッソ): 昨年の広告キャンペーン(「BE STUPID」)では、自分らしく生き、失敗を恐れずに何度でも挑戦する精神を「STUPID」という言葉で表現したんだ。そんな姿勢を貫いたらと想像を膨らませて、今回考えついたのが「DIESEL ISLAND」というコンセプトなんだ。自分達の理想の国ってどういうものだろうってね。ディーゼルジャパンの精神に共感する人々が集まった島にはパスポートもあるし、独自の法律もある。そこには自分達だけの創意あふれる生活があるんだ。


 


FP: その島でディーゼルはどんな役割を担うのですか?

 ロッソ: 今はウェブがあって、フェイスブックなどのSNSもある。それらのコミュニケーション手段を使って、友達や家族、さらに世界中の人達とあらゆる楽しみをシェアできる。彼らがどんな生活を思い描いているか、どうやったらこの2011年をよりよくしていけるかについて、アイデアや情報を与えてくれる。私達は何かについて「こうするべきだ」なんて言うつもりはないよ。そんなことはあり得ない。むしろすべての人にベストなことを実現するために私達ができることを教えてもらいたいんだ。若い人達が考えていることを形にしたDIESEL ISLANDを作り上げていきたいと考えているよ。


FP: 今回の「DIESEL ISLAND」と前回の「BE STUPID」キャンペーンとの関係についてもう少し伺えますか?

 ロッソ:全てはひとつの馬鹿げたアイデアから始まったんだ。前回の「BE STUPID」キャンペーンでは、ただ世界にショックを与えたかった。前任のクリエイティブ・ディレクターがディーゼルを去った後も、私はディーゼルが変わらず持ち続けているエネルギーを表現したかった。ディーゼルは常にとても勇敢で、モダンで、革新的で、活気に溢れていたし、これからもそうであり続けなければならない。そこで私が思いついた「BE STUPID」キャンペーンでムーブメントを起こした。それが今回の「アイランド」にまで発展した。この「アイランド」というのはとても強力なアイデアで、想像力を刺激してくれるんだ。


■社会へのメッセージ
FP: ディーゼルの広告キャンペーンはいつも力強く、センセーショナルです。その一方で、あなた方の広告は地球温暖化など社会問題へも警鐘を鳴らしていますね。





 ロッソ:私達は常に社会問題に対して積極的に関わっていきたいんだ。私達が直接的に問題を解決できるということはないかもしれないけれど、そうした問題について積極的に発言していきたいと考えている。ディーゼルなりのアイロニーとフィロソフィーをもって、いつも何かポジティブなメッセージを発していきたいからね。新しい世代の人達、若い世代の人達の存在は本当に大切だと思っている。彼ら若い世代と一緒でなければ、私達は政治家や世界中の人々をよりよい方向に向かわせることはできないと思っている。そうでない限り、政治家達は日々の問題を解決するだけで精一杯だからね。


FP:ディーゼルは世界中でビジネスを展開しています。そしてグローバルキャンペーンでは世界全体に向けて強力なメッセージを送り続けています。それは難しいことですか?

 ロッソ:いや、そんなことはないな。以前は難しかったけれど、今は難しくない。それはウェブのおかげだね。今はウェブを通じて情報を世界中の人に伝えることができるから、グローバルキャンペーンだってそれほど難しくはないよ。


FP: たとえ異なる文化や宗教を持つ人々に対してでも同じなのですか?

 ロッソ:そうだね。たしかに世界には様々な異なる宗教がある。でも、私達は宗教を通じて人々に語りかけているわけではなく、「ソウル」に語りかけている。ソウルは世界中どこにおいても同じなんだ。

■ディーゼルにとっての日本、そして中国
FP: 日本のマーケットは他の国と比べて違いはありますか?
 ロッソ: そうだね。なによりもまず、私は日本が大好きなんだ。世界で一番ファッション好きな国だと思う。もう何年もの間、私はマーケティングやイベントのために日本を訪れ続けてきた。今回もそうだよ。日本は特別なんだ。日本人は何かを好きになると、それを徹底的にどこまでも発展させていくよね。それはとても素晴らしいことだし、日本では常に新しいものを見たい。たくさんのインスピレーションを与えてくれるからね。


FP: 日本でお気に入りの場所を教えて下さい

 ロッソ: お気に入りの場所? そんなの多すぎて答えられないよ(笑)。原宿、渋谷、代官山。ときにはラフォーレの前に一時間座っていることもあるよ。特に土日は素敵な人達がたくさん通るし、彼らのスタイリングから多くのインスピレーションを得られる。渋谷109の前にいるような若い子達も素敵だよね。もっと落ち着いた雰囲気を楽しみたい時は代官山がベストかな。


FP: 日本以外で、今後のディーゼルにとって重要なマーケットはありますか?

 ロッソ: 一番重要なのはもちろん中国だね。それはディーゼルだけではなく、誰にとってもそうだと思うよ。10億人以上の人口を抱える国だし、昨年もセールスは大きく伸びている。都市も見たこともないような規模にまで発展している。人口2000万人の都市なんて、本当に信じられないよ。


FP: 中国にはよく行かれるのですか?

 ロッソ:最近は以前より頻繁に行くよ。今はフェイスブックなどSNSもあるけれど、現地を訪れることのよいところは、そこで実際に若い人達や街の人に会って話したり、バーに行って飲んだりできることだよ。特別なことをするわけではないんだけど、バーなどで人と話すことで、人々のメンタリティや考え方を学ぶことができる。以前は英語を話せる人が少ないという問題があって難しかったんだけれど、最近はどんどん状況が変わってきている。それは日本も同じだね。


■ファッションからライフスタイルまで
FP: ディーゼルはディーゼル ブラック ゴールドというコレクションラインからホームコレクションまで、多岐にわたって製品ラインを展開していますね。その全てに共通するブランドの核とは何なのでしょうか?





 ロッソ:マーケットの変化は速いけれど、多くの消費者はひとつのライフスタイルの中で自分を確立したいと考えている。ディーゼルはライフスタイルを提案することで、多くの人がそれをフォローすることができればと考えているんだ。ちょうどツイッターで興味がある人をフォローするのと同じようにね。そういった私達をフォローしてくれている人達の期待に応える形で、ディーゼルはより広い範囲で製品を展開し、いろんな地域に進出してきた。その結果今ではホームコレクションまで展開しているわけだけど、それはとても素敵なことだよ。ディーゼルならではのアイデアとやり方でやっているからね。家具や照明のデザインも、普段は服をデザインしているチームが手がけているから、よりファッショナブルでスタイリッシュなものが生まれるんだ。


FP: ディーゼルは私達の生活のあらゆる側面をカバーできるようになりました。新しい広告キャンペーン「DIESEL ISLAND」はこういった現在のディーゼルのビジネスをとてもよく表現しているように思えます。つまり、ディーゼルは人々の生活のあらゆる局面でスタイルを提案でき、それをひとつの国とそこでの生活という形で表現している。とても説得力があるように思います。

 ロッソ: それは面白い意見だね。ありがとう。


(interview by Taro Serikawa)


 現在世界中に展開し、さらに世界的なデザイナーズブランドをも有するディーゼル。ユニークなキャンペーンもさることながら、ウェブなど新しい技術・コンテンツも積極的に活用しているところが、企業としてのパワーや勢いを強く感じる。


 そして2011年2月末には日本国内でも待望のオンラインストアがスタートした。これからもディーゼルの展開に目が離せない。


■DIESEL
http://www.diesel.co.jp/
■DIELSE オンラインストア
http://store.diesel.co.jp/ (PC/モバイル共通)

※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

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