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"節約"に慣れた化粧品業界、高価格帯商品が生き残るためには
仕事の帰りや買い物のついでに手軽に購入でき、何より低い価格設定が魅力の"ドラッグストア・コスメ"をはじめとした低価格帯商品(2,000円以下)が各メーカーからリリースされ、現在の化粧品業界は一直線に低価格化に向かっているように感じられるが、実は、低価格帯商品とともに高価格帯商品(5,000円以上)も堅調であり、従来のボリュームゾーンである中価格帯商品(2,000~5,000円)が大きく苦戦する、という二極化傾向にあることが分かる。もちろん、店頭やメディアを通して低価格帯商品の情報を頻繁に目にする消費者にとって、高価格帯の商品はなかなか手を出しづらいものである。高価格帯商品の販売の鍵となるのは、この価格でも購入する価値がある、と思わせる具体的な付加価値だ。
そんな高価格帯化粧品市場において、「肌研(ハダラボ)」を展開するロート製薬 <4527> のプレステージブランド「episteme(エピステーム)」が注目を集めている。同ブランドは、百貨店専門ブランドとして2009年より化粧品国内売上げトップの伊勢丹新宿店や阪急うめだ本店などに出店。2月24日には新たに東武池袋店にもブースをオープンする。また、アジア展開を見据え、上海をはじめとした中国国内においても百貨店内ブースおよび直営店を展開するグローバルブランドでもある。
同ブランドは、肌のエイジングに関わる「加齢」「光老化」「酸化」「糖化」という4つの要因に着目し、エイジングケアを提案する。中でも「糖化」という概念を日本の化粧品業界に広めた先駆者としても知られ、医療分野で使用されている「ハイドロキノン」を配合した美白美容液を百貨店で発売したことでも大きな話題を呼んだ。スキンケア、インナーアプローチを含め、商品群のラインナップも豊富で、2月25日には薬用美白美容液の「ホワイトニングトリートメント」と、気になる部分に集中的に使用する薬用美白集中美容液の「インテンシブホワイトセラム」の2種類を同時に発売する。両商品の大きな特長は、美白有効成分のコウジ酸と2種類のうるおい成分からなる独自処方の「メラノロックコンプレックス」を配合していることである。加えて、「ホワイトニング」には年齢と共に低下する肌のハリ・潤い、糖化、角質などエイジング世代の複合的な肌の悩みに着目して開発された独自処方「3Dブライトニング処方」がほどこされている。これらの商品のように、製薬会社発のブランド力を生かし、エビデンスに基づいた処方を施した商品自体の質の説得力が同ブランドの一番の強みである。
さらに同ブランドでは、通常はパンフレットやパネルを使用して行われる肌のカウンセリングにおいて、肌の老化のメカニズムや再生していく様子などを「iPad」を使って分かりやすく説明する、という化粧品業界初の接客スタイルを一部の店舗で採用。顧客やマスコミからの好反応を受け、25日の新製品の発売のタイミングに合わせて全店舗に拡大する。
他の多くの市場と同じく、「節約」が日常化した現在の化粧品市場で高価格帯の商品が売り上げを保つのは簡単なことではない。しかし、先端の技術や独自開発の技術を駆使した確かな処方、他ブランドと差別化ができる革新的な接客スタイルなど、ブランドの売りを強調することによって購入に値する"理由づけ"を消費者に与えることができれば、たとえ高価格であっても消費に結びつけることができる。今後、各ブランドがどのようにして消費者の購買意欲を刺激していくのかが見どころである。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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