企業風土改革について~優しい会社と厳しい会社~

2011年2月16日 17:03

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■あなたの会社はどのような会社ですか?

 世の中にさまざまな会社があります。会社も人と同じで一生があり、その生き様は一様ではなく、多種多様なパターンがあります。

 あなたの会社はどのような会社でしょうか?

 あなたの会社は以下の内容に当てはまりますか?
 1.「それは私の仕事ではない」と言う社員がいる
 2.仕事に対する評価が、定められた仕事をどれだけ熱心にしていたかで決められる
 3.クレームに対して顧客の使い方が悪いと判断する

 1~3に1つでも当てはまる会社は、おそらくうまくいっていない会社でしょう。このような会社を「優しい会社」と呼びます。逆に成功している会社を「厳しい会社」と呼びます。

 成功している会社=厳しい会社
 うまくいっていない会社=優しい会社

 では、何故このように呼ぶのかお答えしていきましょう。


■優しい会社とは

 「優しい会社」とは「社員の仕事に優しい会社」のことです。仕事をしなくても、評価に関係なく、人事制度が年功序列型の会社です。

 この会社の特徴は官僚的な人間関係で組織が安定しており、議論を好まず、なるべく波風を立てないようにする、そして組織人としての責任感がない受け身的な組織風土であることです。

 以前、こんな会社がありました。ある新商品を出しましたが、顧客の使用条件が極端に厳しくクレームになりました。

 この時に営業部門は「設計仕様が問題だ」と開発の責任を追及し、開発部門は「顧客の使用条件が厳しすぎるという情報を開発部門に適切に伝えなかった」と営業部門の責任を追及し、お互いに責任のなすりあいをし、本来のクレーム対応が遅れました。

 当然、この会社のブランド力は落ち業績が悪化していきました。


■厳しい会社とは

 「厳しい会社」とは高いストレッチ目標が掲げられ、仕事は厳しいがやる気のある人間が評価される能力主義型の人事制度をとっている会社です。

 この会社の特徴は、仲間に信頼関係があり、常に顧客思考であり、全員で物事を考え、改善改革のために徹底的に議論がされ、失敗を恐れずチャレンジ精神が根付いている組織風土であることです。

 私のクライアント先で業務改善活動を7年間継続して取り組み、業績を向上している会社があります。毎年6から9のプロジェクトを設定し、数億円の高い改善効果目標を設定し、活動メンバーが日常業務に加えて、改革業務を推進しています。

 いわゆる「仕事に厳しい会社」です。

 さて、以上のことから、「厳しい会社」が良いことは分かりましたが、「厳しい会社」は実際にどのようなことを行っているのでしょうか?


■仕事に厳しい会社になると業績が上がる?

 「仕事に厳しい会社」は、・・・
 1 情報の共有化、知識化がされている
 *本音で情報交換が活発に行われ、覆い隠されていた問題が顕在化している。
 2 仕事に対する価値観の変化が常にある
 *仕事に対する「やらされ感」がない。
 3 行動様式の革新がされている
 *新しい事を思いついたら「先ずやってみて、まずければ直す」という気風がある。
 4 目的思考の集中がされている
 *経営ビジョンが明確に示されていて、個人、組織が同じベクトルでそれに到達する思いを持っている。

 1~4の様な会社は、チャレンジ的、能動的組織の為、外部環境の変化に柔軟に適応し、業績が向上します。

 社員にとっては仕事に厳しいが業績が向上する為、雇用が安定し、給与が高く、仕事にやりがいがある「仕事に厳しい会社」=「社員にとって暖かい会社」です。


■あなたの会社は、どちらの会社でしたか?

 経営者は自分の会社が「厳しい会社」か「優しい会社」か冷静に見つめ、「仕事には厳しいが社員に暖かい会社」を作り上げるべく努力するべきだと考えています。

著者プロフィール

中山 幹男

中山 幹男(なかやま・みきお) 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役

大阪大学工学部機械学科卒業後、大手自動車メーカにおいて商品企画、設計・開発、品質管理、環境対策業務等に従事。その後大手コンサルティングファームの経営コンサルタントとして7年間勤務。
韓国の大手家電メーカを手始めに製造業を中心としたコンサルティングを実施する。1997年に「現場主義を貫き、行動的に活動して成果を出す経営コンサルティング」を目指し、A&Mコンサルトを設立し現在に至る。激変の環境変化の中で、企業の永続的な存続を前提に戦略構築、仕組改革、組織風土改革のトライアングル視点で企業の体質強化を図る。
会社URL  http://www.a-and-m.biz

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