ロシアのロケット "Proton-M/Block DM"、打上げ失敗の原因は酸化剤の入れ過ぎ

2010年12月20日 12:15

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記事提供元:スラド

  KAMEDA,Tsukasa 曰く、

 今月 5 日にバイコヌール宇宙基地打上げコンプレックス 81 の 24 番射点より GLONASS-M 測位衛星 3 機を搭載した Proton-M+Block DM が打ち上げられたが軌道投入に失敗し太平洋に落下した。当初はプログラムミスなどの説もあったが、17 日に ROSCOSMOS (ロシア連邦宇宙庁) より、DM-03 上段に酸化剤 (液体酸素) を積み過ぎたのが原因であると発表された (RIA Novosti の記事Roscosmos の Newsより) 。

  RIA Novosti の記事InsideGNSS の記事SpaceflightNow の記事RussianspaceWeb の情報をまとめると、今回初めて使用された新型の Block DM-03 上段は従来より 25 % ほど大型化した燃料タンクを搭載していたが、開発を行った RSC-Energia のミスにより今までと同じように酸化剤を入れたため、結果として 1.5 〜 2 トンほど予定より多くの酸化剤を積んでしまったらしい。Proton-M による商業打上げを行う International Launch Service の副社長兼最高技術責任者の James Bonner 曰く、「燃料タンクの 3/4 の燃料を入れたとき、20 ガロンのタンクならば 15 ガロンだが 24 ガロンのタンクならば 18 ガロンになる」と言うことだそうだ。

 ただし Proton-M や Block DM-03 自体の信頼性に繋がる問題ではなく、また通常の商業打上げでは Breeze-M 上段を使用するので打上げはすぐに再開されそうである。次の Proton-M の打上げ (KA-SAT) はおそらく今月中に行われるだろう。この打上げで GLONASS は衛星コンステレーションが完成する予定だったが、来年の 3 月までずれ込む予定である。現在のコンステレーションの状況は、稼働衛星 20 機、メンテナンス中が 4 機、予備が 2 機の計 26 機である。余談だが、Proton-M を製造している Khrunichev 国家宇宙研究生産センターのリリースでは、原因がまだはっきりしていない段階からちゃんと「RSC-Energia 製のBlock DM-03」をさり気なく強調しているのが面白い。

 なお、Khrunichev 国家宇宙研究生産センターや ROSCOSMOS のニュースリリースは、"ENG" を選択して英語版トップページに行ったあとでないと見られないかもしれない。

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