シェールガスが変える資源のパワーバランス

2010年10月20日 10:30

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記事提供元:スラド

  jonykatz 曰く

 住友商事が米ペンシルベニア州でのシェールガス権益を得るという ECO JAPAN の記事などで「シェールガス」 (参考: オイルシェール) の名前だけは知っていたが、日本経済新聞の記事毎日 jp の記事を読むと資源の世界はシェールガスによって思っていたよりも大きなパワーバランスの変化を起こされているようである。

 シェールガスは堆積岩の頁岩層の中にある天然ガスで、従来はコストと採掘難易度の問題から手つかずになっていたのだが、頁岩層に高圧の水を注入する手法が確立されたことで、この数年の間に世界最大の天然ガス輸入国になると見られていた米国が逆に 100 年分の国内需要を賄えるガス資源を獲得してしまうという革命的な事象を引き起こしている。

 この技術革命によりポーランドが突然有望なガス資源国になりつつあり、一方で天然ガスを戦略物資としてきたロシアの影響力が低下することが推測され、時流にのって活況を呈していたはずの風力発電用の風車の需要が低下したり、再評価されていたはずの原子力発電においても計画が撤回されるというケースが起きているとのこと。

 シェールガスの正体は、新たな採掘手法を確立しただけのことであるわけだが、それによって世界の天然ガス埋蔵量が突然 5 倍以上になり、世界を動かすというのも何とも面白い話ではある。ただ、それによって非化石燃料によるエネルギーへの投資が萎むというのは、シェールガスの恩恵を直接受けにくい日本にとっては複雑な話かもしれない。

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