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ラベンダーとティーツリー、思春期前の男児に悪影響を与える可能性
●男児の女性化乳房を誘発する
清掃用の洗剤、芳香剤、アロマテラピーなどに使用されるラベンダーとティーツリー。シカゴで開催された内分泌学会(ENDO2018) で発表されたところによると、このふたつのアロマは思春期前の男児の女性化乳房を誘発する可能性があるのだという。「女性化乳房」とは、男性の胸部が女性の乳房のように隆起する症状である。
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●日常生活の中にあふれているラベンダーとティーツリー
今回の研究結果を発表したのは、アメリカの国際環境衛生科学研究所(NIEHS)である。
ラベンダーとティーツリーは、自然療法におけるもっともポピュラーなエッセンスであるだけではなく、シャンプーや石鹸、ローションやジェル、芳香剤にも使用されている。
さらに、ティーツリーは抗真菌、抗炎症、鎮静効果があるというのが通説であり、ラベンダーは殺菌性があり癒創薬としても知られマッサージにもよく使用される。このふたつのエッセンスは、安全性の高いアロマとして身近にある店やオンラインでも簡単に手に入る。
●エッセンシャルオイルに含まれる内分泌攪乱物質
NIEHSの研究者J.Tyler Ramsey氏はこう語る。
「通常、エッセンシャルオイルは副作用がない安全な商品とみなされている。しかし、エッセンシャルオイルには環境中に存在する化学物質が含まれている。そのうちのいくつかが、内分泌攪乱物質として作用するのである。内分泌攪乱物質は、正常なホルモンの動きを妨げる可能性がある」。
具体的にいえば、ラベンダーとティーツリーのエッセンスは、女性ホルモンである「エストロゲン」同様の作用や男性ホルモンの働きを抑制する「抗アンドロゲン」として作用する可能性がある。つまり、乳房組織のテストステロンの値が下がり、結果、思春期前の男児に女性化乳房を引き起こすのだという。
●すでに10年前に報告されていたアロマと女性化乳房の関連性
研究者によると、ラベンダーとティーツリーのエッセンスが原因と推測される女性化乳房の症例は、増加の一途をたどっている。
すでに10年前、医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表された論文中で、4歳から10歳の男児に現れた女性化乳房の症状とふたつのエッセンスを使用したシャンプーや石鹸などとの関連性が指摘されていた。
しかし、この論文では研究者たちは継続的に症状とエッセンスの使用を観察しただけではなく、使用を中止したあとの経過も報告している。それによると、ふたつのエッセンスの使用を中止した数カ月後、女性化乳房の症状は自然治癒した。
●ふたつのエッセンスに含まれる8つの化合物を調査
研究者たちは、ラベンダーとティーツリー双方に含まれる物質8種を調査した。その8種とは、オイカリプトール、リモネン、テルピネオール、酢酸リナリル、リナロール、α-テルピネン、γ-テルピネンである。実験では、ヒトの乳癌細胞を用いて8種の物質にエストロゲンおよびアンドロゲン受容体の遺伝子を変異される性質があるのかが調査された。
その結果、8種すべてがエストロゲン様あるいは抗アンドロゲン、またはエストロゲン様および抗アンドロゲンの作用があることが判明した。
懸念されるのは、これらの8種の物質が65種類以上のエッセンシャルオイルにも含まれているという事実である。ラベンダーとティーツリーについては、健康に与える影響が徐々に明らかになっているが、市販されているさまざまなエッセンシャルオイルについては現在は規則のようなものは存在しない。研究者たちは、市販のエッセンシャルオイルについて規範となるテストを設けるべきだと述べている。
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