【宇宙ビジネスアイデアコンテスト S-Booster 2019】開催レポートVol. 3 ~日本の宇宙ビジネス発展、そしてアジアとの連携へ~
配信日時: 2020-03-24 10:00:00
S-Boosterは「宇宙アセットを利用した、新たなビジネスモデルを発掘し、事業化を支援する」ことを目的としたビジネスアイデアコンテストです。最終回となる今回のレポートでは、2019年11月25日に東京都中央区の日本橋三井ホールで開催された「S-Booster 2019最終選抜会」での、スペシャルトークショーと表彰式の模様をご紹介します。
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【宇宙ビジネスアイデアコンテスト S-Booster 2019】開催レポートVol.2 ~アジアから世界へ広がる宇宙利用のアイデア~
https://www.value-press.com/pressrelease/238091
◆スペシャルトークショー
12チームのファイナリストのプレゼンテーション終了後に、昨年S-Booster 2018の受賞者やアジアからのゲストによるスペシャルトークショーが行われました。トークショーのタイトルは「日本とアジアにおける宇宙ビジネス連携の可能性」。初回のS-Boosterからメンターとして関わり、S-Booster 2019の一次選抜・二次選抜の審査員も務めた、グローバル・ブレイン株式会社の青木英剛氏がモデレータを務めました。
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まずS-Booster 2018で、最優秀賞と⼤林組賞を受賞した、ASTROCEAN 株式会社の森琢磨氏が、受賞後一年の活動を報告しました。森氏はロケットの洋上打ち上げプラットフォームを着想した理由に続き、ロケット射場確保に困っている学生たちを助けたいと、千葉工業大学と共同研究の枠組みで実施しているハイブリッドロケットの洋上打ち上げについて説明。2019年3月の千葉・御宿海岸での最初の打ち上げ成功と、選抜会の3日前に行われた、荒天下での第2回の打ち上げ成功の様子を、映像をまじえ報告。今後のスケジュールとして2020年のタイでの打ち上げや大型化の構想も紹介しました。
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続いて審査員特別賞、ANAホールディングス賞、JAL賞を受賞した株式会社天地人の繁田亮氏が、受賞アイデア「宇宙から探すポテンシャル名産地」の事業進捗について説明しました。この取り組みは、内閣府の「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」※に採択され、新たな作物となるキウイフルーツの栽培適地選定を企業と共同で進めていると報告。サービス展開としては、名産地を発掘する「農地特性評価」と、不適地を洗い出しリスクを軽減する「農地スクリーニング」の2本立てでビジネスを検討しているとしました。さらに栽培適地の選定にとどまらず、太陽光発電など再生可能エネルギーの発電量推定や、土地の沈下量の推定、観光ポテンシャルなどへの応用も広がりつつあると紹介しました。
※課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト http://www.uchuriyo.space/model/
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続いて、タイ地理情報・宇宙技術開発機関(GISTDA)でGNSSイノベーションセンター マネージャーを務めるトサワット・フキアティサット氏は、GISTDAが推進する研究施設拠点“Space Krenovation Park(SKP)”の取り組みについて紹介しました。SKPには学生向けにはIgnite(点火)、起業家向けにLift-off(打上げ)、企業向けにはΔV(増速)と名付けたサポートメニューが用意され、新たなビジネスの創造とそれを支えるエコシステム構築を目指しています。
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さらにこれらを受けモデレータの青木氏は、アジア地域のビジネス基盤についての理解を助けるため、アジア諸国を3つのカテゴリーに分類し説明しました。青木氏が第1カテゴリーと呼ぶのは日本、中国、インドなど独自の宇宙機関を持ち、投資家、起業家がすでに活動を進めている宇宙先進国と呼ばれる国々。第2カテゴリーはシンガポール、オーストラリアなど、資本が集積し英語でビジネスができるため、他国からのベンチャーも呼び込める場を持つなど、起業環境が整った国々。そして第3カテゴリーがタイなどのように、現場レベルで宇宙利用を進めながら自国で宇宙ビジネスを立ち上げようとしている国々であると整理しました。
またアクセラレーターゲストとして加わった尾﨑氏は、アジア諸国の国ごとの「起業のしやすさ」について問われ、「台湾については、自国のマーケットは必ずしも大きくないものの、英語でビジネスができるなど最初からグローバル・マーケットを意識しており第2カテゴリーに相当する」「インドの宇宙産業は政府主導であり、ハイテクやバイオ産業の規模に比べまだ大きくない状況。日本と同じく、「これから」という印象」と説明しました。
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トサワット・フキアティサット氏は、タイのスタートアップを取り巻く環境や取組状況について、「スタートアップはまだ主流ではなく、農業や食料、物流など、すでに大手企業が独占している状況にある。それら大手企業に対してスタートアップの認知度を上げていくことでスタートアップを醸成していきたい」とコメントしました。
また日本とアジアの今後の連携に向けた課題や期待について問われたASTROCEANの森氏は「お互いの強みを出し合う協力形態が理想形であり、様々な国の企業が互いに連携するケースは多く存在しているが、一つの企業体にさまざまな国籍やバックグラウンドを持った人たちが存在するようなチームが望ましい。その基盤となるよう、さまざまな国の学生たちが一緒に協力してロケット打ち上げに取り組めるような場を提供し、海に面するアジアの国々にこの取り組みを拡げていきたい」と期待を語りました。
また天地人の繁田氏は「アジアの国々は農業の手法が欧米と比べて日本に近い。我々の手法が、より付加価値の高い作物を求めるアジアのムーブメントに応えられると期待している」と答えました。
最後に青木氏は、「宇宙ビジネスは、起業した瞬間からグローバル・マーケットを相手にする点が大きな特徴。今年のファイナリストたちも、すぐに起業や新事業立ち上げの準備を始めてほしい。ここから生まれた起業家が成功事例を語ることで、アジアで宇宙ビジネスが再生産され世界に広がっていくことになる」と締めくくりました。
◆◆受賞結果
受賞結果は以下の通りとなりました。
☆受賞結果詳細はこちら https://s-booster.jp/2019/final/index.html#result
◆◆最優秀賞
「あしらせ」 みちびきを活用した視覚障がい者向け歩行支援センスウェア(SensinGood Lab.)
◆◆審査員特別賞
(1)ふうせん宇宙旅行プロジェクト(株式会社岩谷技研)
(2) Green fuel for propulsion of spacecraft for sustainable and safe space exploration(Manastu Space)(インド)
◆◆スポンサー賞
◆ANAホールディングス賞
美肌ウェルネスツーリズム(Be-SMAC)
◆大林組賞
ふうせん宇宙旅行プロジェクト(株式会社岩谷技研)
◆スカパーJSAT賞
デザイナーソイルを利用した宇宙農業ビジネス「宙農」(TOWING.)
◆Space-DIVE賞(株式会社デンソー)
衛星データを活用した持続可能な地下水マネジメント(長野龍平)
◆JAL賞
Satellite Re-use Market(Opportunity)
◆ポーラ・オルビスホールディングス賞
「Space Spice factory(宇宙工場による高付加価値材料の製造サービス)」(Work Dock Inc.)
◆JAXA賞
小型衛星の環境試験場シェアリングサービス(SEESE from ABLab)
ANAホールディングスは、インバウンド旅行需要と地方創生をテーマにした「美肌ウェルネスツーリズム」(Be-SMAC)に、将来の宇宙エレベーター建設をめざす大林組は、そこにつながる一歩との期待を込め「ふうせん宇宙旅行プロジェクト」(株式会社岩谷技研)に、国際宇宙ステーション(ISS)への映像スタジオ設置に向けて計画を進めているスカパーJSATは、宇宙で育つ作物をライブで見守れると楽しいのではと期待を込め「デザイナーソイルを利用した宇宙農業ビジネス『宙農』」」(TOWING.)に、賞を贈りました。またデンソーはリモートセンシングデータ解析による大きな社会課題への取り組みを応援したいと「衛星データを活用した持続可能な地下水マネジメント」(長野龍平)をSpace-DIVE賞の受賞者としました。
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さらにJALは、地に足のついたイノベーションで循環型社会を実現したいという意図に共感したとして「Satellite Re-use Market」(Opportunity)に。ポーラ・オルビスホールディングスは、宇宙製造の化粧品素材への期待も込め「Space Spice factory(宇宙工場による高付加価値材料の製造サービス)」(Work Dock Inc.)に。JAXAは、ものづくりのインフラとして、社会に役立つ部分に目を付向けてくれたことを評価したいと「小型衛星の環境試験場シェアリングサービス」(SEESE from ABLab)に、それぞれスポンサー賞・JAXA賞を授与しました。
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また審査員特別賞には、異例ながら「ふうせん宇宙旅行プロジェクト」(株式会社岩谷技研)と「Green fuel for propulsion of spacecraft for sustainable and safe space exploration」(Manastu Space)の2件が選ばれ、副賞200万円を2チームで分け合いました。
そして最優秀賞には「『あしらせ』みちびきを活用した視覚障がい者向け歩行支援センスウェア」(SensinGood Lab.)が選ばれ、竹本直一内閣府宇宙政策担当大臣から表彰状、トロフィーと賞金1000万円が贈られました。
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夏野剛特別審査委員長は授賞理由として「ハンディキャップを持つ人を支援するテクノロジーは、日本が強みを持つ分野。その強みをどんどん生かしてほしい」とコメントし激励。
受賞したSensinGood Lab.の代表者である千野歩氏は「これからもチームで力を合わせ、宇宙アセットを活用して地上の人たちに幸せを届けて行きたい」と挨拶しました。
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最後に竹本大臣が「アジア・オセアニア地域にも拡大した3回目の取り組みは成功に終わった。ユニークかつ斬新なアイデアに感銘した。この取り組みをきっかけに、ひとつでも多くのアイデアに、事業化に向けての一歩を踏み出していただきたい。また、このイベントがアジアにおける宇宙スタートアップ創出の源泉となり、活発な宇宙利用が進むことを期待したい」と語り、関係者に向けた謝辞を述べてイベントを締めくくりました。
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S-Booster 2019最終選抜会は、YouTubeにてアーカイブを公開中です。
S-Booster公式YouTube(個別プレゼン)
https://www.youtube.com/playlist?list=PLRPNvaVTvHMDGBAdX8kZHLjfMbsmxhxSR
JAXA YouTube(全編アーカイブ)
https://www.youtube.com/watch?v=lMOgMeiZxH0
S-Boosterの最新情報はウェブサイトをご覧ください。
https://s-booster.jp/
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プレスリリース情報提供元:valuepress
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