沖縄県うるま市との「うるまん人(ちゅ)健康増進プロジェクト」実施・検証結果を名桜大学高瀬幸一教授が報告 ~JOYBEATプログラムを「有意な効果があり、大きな可能性を持つ」と結論づけ~
配信日時: 2020-03-09 12:05:57
株式会社エクシング(本社:名古屋市瑞穂区、代表取締役社長:水谷靖)は、沖縄県うるま市(市長:島袋俊夫)と地域公民館を拠点とした住民主体の健康づくり社会実験「うるまん人(ちゅ)健康増進プロジェクト」(以下、本プロジェクト)を共同で行ってきましたが、このほど本プロジェクトの実施と検証を行った名桜大学の高瀬幸一教授より「結果報告書」の提出並びに説明を受けましたので開示します。
[画像1: https://prtimes.jp/i/4747/1368/resize/d4747-1368-588339-5.png ]
本プロジェクトは、住民主体で日常的な健康づくりに取り組める環境を整えることにより、健康リテラシーの向上、健康づくりの習慣化、生活習慣病の予防、地域コミュニティの活性化など、うるま市民の心身の健康増進につなげることを目的とした社会実験プロジェクトです。
エクシングはかねてより沖縄県各地でCG(コンピュータグラフィックス)を用いたエクササイズシステム「JOYBEAT」(以下、JOYBEAT)を提供しており、うるま市は、JOYBEATを活用しての運動(以下、JOYBEATプログラム)による心身の健康への効果確認、並びに当市での住民主体の健康づくり習慣の定着試験として、2018年2月より1年6ヵ月に渡り本プロジェクトを実施しました。
結果報告では、JOYBEATプログラムの実施は、「生理的な身体指標並びに心理的な行動変容指標に対して有意な効果があることが明らかとなり、健康の増進を目的とした地域における運動プログラムの実施において大きな可能性を持つことが示された」と結論付けられました。
この報告を受けエクシングは、今後も引き続き「うるま市民の心身の健康増進」と「住民が楽しく継続できる健康づくり活動」を支援するため、『うるま市健康福祉センター うるみん』にJOYBEATを貸し出すとともに、各地域の公民館等からの貸し出し要望にも対応していくことにしました。
最後に、うるま市及び本社会実験の実施と検証を行った公立大学法人名桜大学 高瀬教授、ヘルスサポート・人間健康学部スポーツ健康学科の学生並びに職員の皆さまに謝意を表します。
以下に、本プロジェクトの実施と検証を行った高瀬幸一教授による「結果報告書」を抜粋して開示します。
うるまん人健康増進プロジェクト結果報告 ≪抜粋≫
[画像2: https://prtimes.jp/i/4747/1368/resize/d4747-1368-650450-4.png ]
<テーマ>
「JOYBEATを活用した運動環境の提供が健康行動への意識や身体的指標に与える効果」
<研究デザイン>
うるま市のモデル地区に指定した住民をランダム化により、JOYBEATプログラム実施群(以下、JOY群とする)と運動未実施群(以下、CL群とする)に振り分けた。JOY群は、A市4ヶ所に配置されたJOYBEATプログラムを自主参加によって活用し、1年間継続して実践する群である。CL群は、コントロールとしてJOYBEATプログラムは行わない群である。両群とも日常生活については特に介入は行わない。
研究前(以下preとする)と研究後(以下postとする)には健康習慣に関するアンケートの実施及び体組成の測定を用い、前後比較試験により変化について検討を行った。
<対象者>
JOY群は61歳から87歳の女性58名、CL群は66歳から90歳の男女(男性4名、女性44名)の48名である。
<JOYBEATプログラム>
JOY群の実施したJOYBEATプログラムについては、エクササイズ期間の前半から中盤(24週まで)にかけては、「カラオケ元気体操」や「からだほぐし」、「ストレッチ」などが中心で、強度が高いカテゴリに含まれるプログラムは1ヶ月に1度行う程度であった。エクササイズ期間の中盤から後半(24週から48週)にかけては、「カラオケ元気体操」を中心に、「ステップエクササイズ」、「サーキットトレーニング」、「からだシェイプ」などの強度の高いカテゴリの運動プログラムも積極的に取り入れてエクササイズを実施した。
<統計処理>
データは、グラフ上でpre-post間が比較しやすいように、平均±標準偏差で表記した。有意水準は両側5%とした。
<結果・体組成結果>
体組成に関しては、preからmiddle(24週目)までの値に関しては、すべてのパラメータ(体重、体脂肪量、体脂肪率、骨格筋量)において有意な変化は認められない結果であった。
次に、1年間の推移における結果を下記に示す。CL群とJOY群の体組成結果を項目ごとにpreとpostで比較し、その平均をグラフに示した。
【体脂肪率の変化】
体脂肪率の変化においては、CL群は、preの34.8±6.5%の値に対してpostは34.3±6.0%の値を示し有意な変化はみられなかった。JOY群は、preの34.4±5.8%の値に対してpostは32.0±5.6%の値となり、有意な体脂肪率の減少(p<0.001)が認められた。また、CL群postの値とJOY群post の値との間においても有意な差(p<0.05)が認められ、1年間のJOYBEATプログラムの実施の有効性が認められる結果となった。この体脂肪率の低下の主な要因としては、体脂肪量の減少に加え、骨格筋量の顕著な増加が主な要因となっているものと考えられる。
[画像3: https://prtimes.jp/i/4747/1368/resize/d4747-1368-169802-3.png ]
【骨格筋量の変化】
骨格筋量の変化においては、CL群は、preの18.3±3.2kgの値に対してpostは18.5±3.2kgの値を示し有意な変化はみられなかった。JOY群は、preの18.6±2.2kgの値に対してpostは19.4±2.0kgの値となり、有意な骨格筋量の増加(p<0.001)が認められた。しかしながら、CL群とJOY群との間においては、有意な差は見られなかった。
使用するプログラムは、主にカラオケ元気体操などの中・低強度レベルの運動であったが、この程度の運動強度でも長期間のJOYBEATプログラムの実施は骨格筋に対しても顕著な効果を示すことが明らかとなった。
[画像4: https://prtimes.jp/i/4747/1368/resize/d4747-1368-835296-1.png ]
<アンケート結果>
日常生活や運動習慣に関するアンケート29問について5件法において実施し、各質問項目においてそれぞれを点数化しpreとpost間において比較検討を実施した。その結果、CL群においては、すべての項目においてpreとpost間において有意な変化はみられなかった。JOY群においては、(以下番号は質問項目番号)「14.普段歩くことが多くなった」、「15.忘れ物が少なくなった」、「㉗映像を用いた運動は歩く事よりも楽しいと感じますか」の質問項目において、それぞれpreとpost間において有意な変化が認められた。
また、「14.普段歩くことが多くなった」、「15.忘れ物が少なくなった」共にpost値においては、CL群に対しても有意な差が認められ、1年間のJOYBEATプログラムの実施が、行動面の変容においても有意な効果をもたらすことが認められる結果となった。
なお、JOYBEATプログラムに関する質問「㉖映像を用いた運動は楽しいですか」、「㉙これからも映像を用いた運動を続けたいですか」においてもpreとpostとも極めて高い値が得られ、JOYBEATプログラムの有効性が示唆された。
[画像5: https://prtimes.jp/i/4747/1368/resize/d4747-1368-419378-0.png ]
<まとめ>
本研究では、CGアニメーションを活用した映像プログラムを用いる運動環境の提供が健康行動への意識や身体的指標に与える効果について検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。
1. 1年間の自主的な環境の提供によるJOYBEATプログラムの実施により体組成の指標(体重、体脂肪率、骨格筋量)に有意な効果が認められた。
2. 行動変容については、普段歩くことが多くなった、忘れ物が少なくなることに関する項目とJOYBEATプログラムを用いたエクササイズは歩くことよりも楽しいに関する項目において、有意に肯定的な変容が認められた。
3. JOYBEATプログラムの活用に関する質問において、pre・postとも極めて高い値が得られ、JOYBEATプログラムの有効性が示唆された。
以上のことから、公民館等において運動の場を提供することによる、自主参加型の長期間のJOYBEATプログラムの実施は、生理的な身体指標並びに心理的な行動変容指標に対して有意な効果があることが明らかとなり、健康の増進を目的とした地域における運動プログラムの実施において大きな可能性を持つことが示されたと言える。
JOYBEATプログラムの活用は運動支援の場において高い需要があることが明らかとなり、様々な地域施設で運動する場を提供することで地域住民が集まる機会が増え、それにより交流を深める場にもなると考えられる。
しかしながら、そもそも物理的な諸問題などによりほとんど稼働することができなかった地域も発生したという課題も露呈し、公民館などの地域においてはスタートアップに関する課題やスムーズな活用に関しての運用の方法について、十分な対策も必要であると考えられる。
(抜粋以上)
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