米国で治療用iPS細胞の新生産施設を稼働
配信日時: 2020-03-02 15:30:00
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富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)の米国子会社で、iPS細胞の開発・製造・販売のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(フジフイルム・セルラー・ダイナミクス、以下FCDI社)は、cGMP*1に対応した、治療用iPS細胞の新生産施設「Innovation Facility for Advanced Cell Therapy」(以下 「i-FACT」)を、3月4日より稼働させます。今後、「i-FACT」で生産したiPS細胞を用いて自社再生医療製品の開発を加速させるとともに、本施設を活用した、iPS細胞およびiPS細胞由来分化細胞の開発・製造受託も展開していきます。
再生医療は、アンメットメディカルニーズへの新たな解決策として注目されています。その中でも分化万能性と無限増殖性を持つiPS細胞を活用することで、多様な細胞を大量に作製できることから、iPS細胞による治療の実用化に対する期待が高まっています。
現在、FCDI社は、加齢黄斑変性や網膜色素変性、パーキンソン病、心疾患の領域で自社再生医療製品の研究開発を進めています。またがん領域では、米国有力ベンチャーキャピタルのVersant社と設立した新会社Century社にて、他家iPS細胞由来のCAR-T細胞を用いた次世代がん免疫治療薬の開発を行っています。
今回稼働させる「i-FACT」は、開発ラボを兼ね備えた、治療用iPS細胞の生産施設です。「i-FACT」は、大量培養設備のみならず、少量多品種培養設備を導入。さらに、FCDI社がこれまで培ってきた世界トップレベルのiPS細胞の初期化・分化誘導技術や、富士フイルムが持つ高度なエンジニアリング技術・画像解析技術なども生産施設に投入することで、iPS細胞の高品質・高効率生産を実現します。
「i-FACT」は、他社との協業にも対応できる、複数の開発ラボ(4室)や製造クリーンルーム(3室)を設置。各開発品に適した、製造のスケールアップ*2・スケールアウト*3の技術開発を行い、製造ラインにスムーズに移管することで、効率的な多品種生産を実現します。また、製造ラインに備えた品質評価室ではiPS細胞の品質を高精度に評価し、高品質なiPS細胞を安定的に生産することができます。
なお、「i-FACT」は、富士フイルムグループにおいて治療に用いる再生医療製品の生産拠点としては、日本で初めて再生医療製品を開発・販売した株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(以下 J-TEC)の本社工場に続き、2拠点目となります。
FCDIは、自社再生医療製品の開発を進めるとともに、製薬企業やアカデミア向けの創薬支援用iPS細胞由来分化細胞の事業展開も加速させています。今後も、富士フイルムをはじめ、細胞培養に必要な培地の開発・製造・販売を担うFUJIFILM Irvine Scientific, Inc. や富士フイルム和光純薬、J-TECなど富士フイルムのグループ各社の技術・ノウハウを活用することで、再生医療の産業化に貢献していきます。
*1 current Good Manufacturing Practiceの略。米国FDA(食品医薬品局)が定めた医薬品および医薬部外品の最新の製造管理および品質管理規則のこと。
*2 小型のモデル装置で得られる効果を、大型の実機で再現すること。
*3 製造設備の数を増やして生産能力を向上させること。
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