学習院大学が10~11月に東洋文化講座シリーズ「歴史学と史資料 -- 文献史学と考古学の視点から」を開催 -- 歴史学者は、文献資料・文字資料・考古資料など各種の史資料をどのように組み合わせて、歴史像を作り上げていくのか

プレスリリース発表元企業:学習院大学

配信日時: 2019-10-09 08:05:02



学習院大学東洋文化研究所では、10~11月にかけて東洋文化講座シリーズ「歴史学と史資料―文献史学と考古学の視点から」(全3回)を開催する。これは、同大におけるアジア諸国および諸民族の歴史・文化に関する研究成果を広く社会に還元することを目的としたもの。「歴史学者は、文献資料・文字資料・考古資料など各種の史資料をどのように組み合わせて、歴史像を作り上げていくのか?」をテーマとし、3名の講師を招いて講演会を行う。受講料無料、事前申し込み不要。




 東洋文化研究所は、1952年、日本を含むアジアの諸国・諸民族の相互理解実現のための礎石を築くことを目的に発足。アジアの政治や経済、歴史、社会、文化、思想などに関する研究および資料収集を行っている。


 その研究成果を広く社会に還元する取り組みの一環として、国内外の研究者による講演会やシンポジウムを適宜開催しており、1985年度からは学生および一般の受講者を対象とした「東洋文化講座」を開講。これまでにも「東アジア諸言語の歴史と伝播」や「青銅器からみる古代東アジア」などのテーマで講演を行ってきた。


 今年度は、「歴史学と史資料―文献史学と考古学の視点から―」をテーマとして講演会を開催。第99回は、滋賀県立大学名誉教授の田中俊明氏が「加耶考古学の進展と加耶史研究の現況」と題して加耶史研究の現況について語る。
 第101回では、早稲田大学文学学術院教授の飯山知保氏が登壇。「碑文の製作/再解釈/偽造からみた12-21世紀の中国華北社会」をテーマに、歴史上で人々がいかにして碑文を利用・改変してきたのかなどについて考察する。
 また第102回では、東京国立博物館主任研究員の市元塁氏が「皇帝陵の考古学―三国から隋まで」をテーマに講演。ここ四半世紀の間の発掘調査によって明らかとなった曹操高陵、北周武帝孝陵、隋煬帝墓について、主に考古資料と正史の記録を活用しつつその実像に迫る。

 概要は下記の通り。


(1)第99回「加耶考古学の進展と加耶史研究の現況」

 加耶地域における発掘調査は、開発もつづきまた現政権の後押しもあり、相応の成果をあげている。かつては古墳群の調査が主にあったが、昨今それに加えて生産遺構・山城さらに王宮の追求が進む。そこで最近の調査成果とそれに応じた加耶史研究の現況を述べることにしたい。

【日 時】 10月16日(水)18:00~20:00
【会 場】 学習院大学北1号館308
【講 師】 田中 俊明(滋賀県立大学名誉教授)
【講師プロフィール】
 1952年福井県生まれ。京都大学文学部卒業、同大学院文学部研究科博士課程認定修了。堺女子短期大学講師・助教授を経て、滋賀県立大学助教授・教授。2018年定年退職。
 著者に『大伽耶連盟の興亡と「任耶」―加耶琴だけが残った』(吉川弘文館、1992年)、『古代の日本と加耶』(山川出版社、2009年)などがある。

(2)第101回「碑文の製作/再解釈/偽造からみた12-21世紀の中国華北社会」

 「碑文」ときくと、我々はその不変性や真正性を想定しがちである。本講座では主に地上に立てられた/刻まれた碑文を中心に、実際には歴史上いかに人々がそれらを恣意的に利用・改変してきたのかを考え、あわせてその碑文史料・考古資料との史料論的差異を考察する。
【日 時】 11月22日(金)18:00~20:00
【会 場】 学習院大学北1号館308
【講 師】 飯山 知保(早稲田大学文学学術院教授)

【講師プロフィール】
 2007年早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。2017年、早稲田大学文学学術院准教授。2019年4月より現職。専門は中華華北社会史。
 主著に、『金元時代の華北社会と科挙制度―もう一つの「士人層」―』(早稲田大学出版部、2011年)、‟Steles and Status:Evidence for the Emergence of a New Elite in Yuan North China,''/Journal of Chinese History/,vol.1,pp.1-24.November,2016;‟Genealogical Steles in North China during the Jin and Yuan Dynasties,''/The International Journal of Asian Studies/,vol13-2,pp.151-196,July,2016 など。

(3)第102回「皇帝陵の考古学―三国から隋まで」
 ここ四半世紀の間の発掘調査によって明らかとなった曹操高陵、北周武帝孝陵、隋煬帝墓について、主に考古資料と正史の記録を活用しつつその実像に迫る。また、これらを総括して、当該時期の陵墓のありかたについて素描を試みたい。
【日 時】 11月27日(水)18:00~20:00
【会 場】 学習院大学北1号館308
【講 師】 市元 塁(東京国立博物館主任研究員)
【講師プロフィール】
 草津市教育委員会、九州国立博物館設立準備室、九州国立博物館を経て、2016年4月から現職。専門は東アジア考古学。魏晋南北朝期の墓制を主たる研究対象とする。
 近著に「曹魏の鮮卑頭と郭落帯」『古代文化』70-4、共著『東京国立博物館図版目録 東洋古鏡篇』など。

※第100回は別途11月13日(水)に「東アジアにおける危機言語」記念講演会を開催する予定。

(関連記事)
・学習院大学が東洋文化講座シリーズ「青銅器からみる古代東アジア」を開催(全3回)(2018.10.30)
 https://www.u-presscenter.jp/2018/10/post-40362.html

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