2019年夏休み 海外旅行人数は過去最高
配信日時: 2019-07-04 17:50:54
●国内旅行人数 7,435万人(▲0.2%) ●海外旅行人数 299万人(+3.5%)
JTBは、「夏休み(7月15日~8月31日)に、1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向の見通しをまとめました。この調査は、1,030人から回答を得た旅行動向アンケート、経済指標、業界動向や航空会社の予約状況、JTBグループの販売状況などから推計したもので、1969年に調査を開始して以来、今年で51回目となります。調査結果は以下のとおりです。
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* 旅行人数は、延べ人数数値。平均費用は一人1回あたりの費用
* 国内旅行人数は宿泊を伴う旅行者の人数(観光および帰省目的の旅行に限る)海外旅行人数は出国者数(業務目的の旅行を含む)
* 国内旅行平均費用は、交通費・宿泊費・土産代・食費等の旅行中の諸費用を含む
* 海外旅行平均費用は、燃油サーチャージ含む。旅行先での土産代等の現地支払費用は除く
* 対前年比は小数点第二位以下を四捨五入
<社会経済環境と生活者の動き>
1.旅行やレジャー消費をとりまく社会や経済の環境
夏休みの旅行に影響する足元の景気について、今夏のボーナスは大手企業で前年比2.52%減の97万1,777円と2年ぶりに前年を下回りました(6月11日日本経済団体連合会発表)。5月の景気ウォッチャー調査(注1)によると、現状判断DIは前月差1.2ポイント低下、先行き判断DIは前月差2.8ポイント低下しています。しかしながら有効求人倍率は、前月比横ばいの1.63倍(季節調整値)と高止まりが続いています。為替相場は円高リスクを抱えた展開が続く見込みで、経済に及ぼす影響が懸念されています(図1、図2)。
6月28日から2日間、日本で初めて20カ国地域首脳会議(G20大阪サミット)が開催されました。首脳宣言には、「自由、公平、無差別な貿易と投資環境を実現するよう努力する」と記されましたが、米中貿易摩擦の収束が見えてきたわけではなく、グローバル経済の先行きの不透明感はぬぐえません。
日常生活では、ガソリン代は、今のところほぼ前年並みではあるものの、日銀が実施している「生活意識に関するアンケート調査」(4月5日発表)によれば、現在の暮らし向きについては、「ゆとりがなくなってきた」は、昨年3月から連続して減少していましたが、今年3月の調査では上昇しています(図3、図4)。
JTBが実施した旅行動向アンケートで「今後の旅行支出に対する意向」を聞いたところ、「支出を増やしたい」は10.8%と、前年から1.5ポイント減少し、「支出を減らしたい(40.7%)」は4.0ポイント増加しました。「同程度(48.5%)」は2.6ポイント減少し、この先の旅行支出に関して生活者は慎重になっている様子が見られます(表2)。
(注1)タクシー運転手、小売店の店長など景気に敏感な人への調査結果を指数(DI)化したもの
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2.令和 初の夏休み ~この夏の旅行を取り巻く環境と生活者の旅行意向~
今年は、7月に「海の日」を含む7月13日~15日、8月に「山の日」を含む8月10日~12日と、2回の3連休があります。8月13日~16日にお盆休みを入れることで9連休とすることも可能な日並びです。9月も9月14日~16日、9月21日~23日の2回の3連休があります。4月からは働き方改革関連法が施行され、年5日の年次有給休暇取得が義務化されたこともあり、連続休暇が取得しやすい環境は広がっています。この夏から秋にかけてのイベントとしては、香川県と岡山県の12の島と港で開催される現代美術の国際芸術祭「瀬戸内国際芸術祭2019」(夏会期:7月19日~8月25日)や、2020年を前に開催されるスポーツイベント、そして9月20日から11月にかけては、ラグビーワールドカップ2019™日本大会などがあります。
夏休み期間中に帰省を含めた旅行意向をアンケート対象者20,000人に聞いたところ、「行く(20.0%)」、「たぶん行く(18.0%)」と回答した人の合計は、38.0%となり、昨年より2.0ポイント減少しました。「たぶん行かない(26.8%)」「行かない(35.3%)」は62.1%で2.1ポイント増加しています(表3)。
今夏の生活や旅行については、収入に関しては、「昨年より収入が減った」と回答した人は21.1%で前年比2.3ポイント増加。「昨年より収入が増えた」と回答した人は19.6%と前年より減少しました。ボーナスに関しては、「今年の夏はボーナスが減りそうだ」と回答した人は7.2%で前年より増加しました。しかし、性年齢別にみると男性20~30代、女性20代は「収入が増えた」、「ボーナスが増えた」がそれぞれ「減った」を上回っており、若い世代の所得状況は比較的よいと考えられます。
支出に関しては「先行きがわからないので大きな支出は控えておきたい」は23.7%で前年比3.5ポイント減少し、「物価上昇前に大きな買い物をしたい」は8.0%でしたが前年より2.4ポイント増加しています。
夏休みについては、「昨年の夏と休みの長さは変わらない」と回答した人が35.1%と前年より0.8ポイント減少し、「昨年の夏より長い休みが取れると思う」との回答は13.1%と前年より1.7%増加しています。
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<2019年夏休み旅行動向予測>
1.海外旅行人数は、299万人(前年比+3.5%)、一人あたりの旅行平均費用は 227,700円(前年比+6.2%)。 出発日のピークは8月10日(土)
日本人の出国者数は2018年に1,895万人と過去最高を記録し、5月の日本人出国者数(推計値)は、前年比3.9%増加の143万8,000人で1月から5月までの累計は802万1,400人と前年比9.0%増加で、好調に推移しています(日本政府観光局(JNTO)6月19日発表)。10連休だったゴールデンウィーク直後は反動もあり、夏休みの旅行予約はやや落ち着いた動きとなりましたが、JTB総合研究所が実施した「海外観光旅行の現状(2019)」調査(2018年1月~2019年6月に海外観光旅行をした人が対象)では、2019年7月~8月に海外観光旅行を予定していると回答した人のうち、海外旅行コア層(最低でも1年に1回以上海外旅行へ行く人)の割合をみてみると、67.9%で、全体平均を25ポイント以上上回っています。夏の期間に旅行へ出かける人には、海外観光旅行に積極的な人が多く見られるようです(図5)。
為替相場は、2018年以降、ユーロや豪ドル、ウォンなどに対して円高傾向にあります(表5、表6、図6)。燃油サーチャージは昨年と同額ですが、8月以降は発券ベースで値上げの予定もあり、早目に海外旅行へ行きたいという人もいそうです。
座席供給数に関しては、ベトナム航空の関空-ダナン線、タイ・ライオン・エアの成田-バンコク線、ANAの羽田-ウィーン線、ブリティッシュ・エアウェイズの関空-ロンドン線、JALの成田-シアトル線の就航など、アジアに限らず、広い方面で増加しています。
国内景気の先行きへの懸念はありますが、過去の旅行動向調査などの傾向から、海外旅行については国内旅行ほど景気の影響を受けないことが分かります。例えば、国際金融危機の翌年の2009年の夏休みは国内旅行は前年より3.0%減少していますが海外旅行は0.4%増加しています。
また、所得やボーナスが増え、長い休みが取れる若い世代の旅行意欲は高いようです(表3)。上記のような条件から、海外旅行者数は増加すると予測します。
アンケートによると、「旅行の同行者」は、「家族連れ(62.3%)が最も多く、中でも「夫婦のみ(26.4%)」、「それ以外(母と娘など)(13.2%)」が増加しています(表7)。「一人当たりの旅行費用」は、「10万円~15万円未満」が23.6%と最多ですが、「40万円以上(17.0%)」は前年より4.4ポイント増加しています(表12)。「旅行日数」は、8泊以上が14.8ポイント増と大幅に増加しました。日並びもよいことから、遠距離の旅行先へ出かける人が増え、旅行日数や予定費用は増加すると考えられます。アンケートの一人あたりの旅行費用は平均すると、海外旅行は10.2%、国内旅行は5.4%増加しています。
出発日のピークは、航空会社の予約状況や、業界動向などから総合的に判断し、山の日付近の8月10日(土)と予測しますが、ハワイやグアム・サイパンなどの方面では、旅行代金が下がる8月下旬の出発も目立ちます。
JTBの海外旅行の予約状況を見ると、人気の旅行先は1位ハワイ、2位グアム・サイパン、3位韓国、4位台湾、5位シンガポールとなっています。予約伸び率を見ると、関空-ロンドン線が就航したイギリスや、グローバルデスティネーションキャンペーンを実施しているハワイが好調です。
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2. 国内旅行人数は、7,435万人(前年比▲0.2%)、一人あたりの旅行平均費用は 36,200円(前年比+4.0%)。
一方国内旅行は、景気の先行きの不透明感、消費増税への備えなどから人数は7,435万人(前年比▲0.2%)と前年から微減を予測します。全体的には、国内旅行では家族連れの動きがよく、費用は前年比4.0%増の36,200円と推計します。
アンケートで旅行内容を聞いたところ、旅行の「同行者」は「家族連れ」が全体の67.3%を占め前年より6.5ポイント増加しています。うち「子供連れ(中学生まで)」が27.6%と前年より6.2ポイント増加、「三世代」が1.4ポイント増加しました(表7)。
旅行の目的は「帰省、離れて住む家族と過ごす」が最も割合の高い19.5%ですが、前年から2.0ポイント減少しました。「温泉でゆっくりする」は18.0%(同+4.8ポイント)です(表8)。利用宿泊施設は「ホテル」が48.8%(同+2.8ポイント)で、「旅館」は28.6%でした。「実家・知人宅」は前年より4.1ポイント減少しています(表9)。利用交通機関では、「乗用車」、「レンタカー」が増加し、「鉄道」や「航空機」は減少となりました(表10)。家族連れが伸びたことも背景にあると考えられます。家族連れが多いものの、宿泊施設では「実家・知人宅」が減少し、ホテルが増加していることから、節約したい気持ちはある一方で、少し費用は掛かっても夏の旅行を楽しみたい意向もあるようです。
「旅行日数」は、「1泊2日」36.6%(同+1.8ポイント)と「3泊4日」16.9%(同+3.9ポイント)が増加し、「2泊3日」30.8%は、前年より3.8ポイント減少しました(表11)。「一人当たりの旅行費用」で多かったのは、「1万円~2万円未満(21.8%)」と「2万円~3万円未満(20.1%)」です(表12)。
「旅行先」では、甲信越(11.4%)、沖縄(2.8%)が前年より増加しています(表13)。同調査で「今年の夏休みで気になっている場所」を聞いたところ、夏休みらしく「花火大会」、「動物園や水族館」など若者やファミリーが行きやすい場所が人気です(図7)。
JTBの国内旅行の予約状況を見ると、出発日のピークは8月11日(日)・12日(月)が多くなっています。人気の旅行先は1位沖縄、2位北海道、3位関西(ユニバーサルスタジオジャパン™含む)、4位東京(東京ディズニーリゾート(R)含む)、5位九州となっています。また、今年は令和ゆかりの地、伊勢への旅行も人気のようです。
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<旅行動向アンケートより>
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<旅行動向アンケート 調査方法>
調査実施期間 : 2019年6月21日~23日
調査対象: 全国15歳以上79歳までの男女個人
サンプル数: 事前調査20,000名 本調査1,030名。事前調査20,000名で「夏休みに旅行に行く」と回答した人の中から1,030名を抽出し本調査を実施
調査内容: 2019年7月15日から8月31日に実施する1泊以上の旅行(海外旅行を含み、商用、業務等の出張旅行は除く)
調査方法: インターネットアンケート調査
*今回より、これまでの「調査員による質問用紙を使った個別訪問調査」から「インターネットアンケート調査」に調査方法を変更しています。2018年の夏休みの市場調査より両調査を並行して実施し、前年比は昨年のインターネットアンケート調査との比較です。
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