市場規模は10年で15倍、“ボトル缶コーヒー”人気の背景を探る 各社リニューアルで、進化するパッケージ 注目は、手に取りたくなる「スタイリッシュ×モテ」デザイン

プレスリリース発表元企業:トレンド総研

配信日時: 2012-12-25 18:00:00


生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研は、売り上げを伸ばす“ボトル缶コーヒー”に注目。2012年には、今回ピックアップした9ブランド中7ブランドが新発売・リニューアルを実施し、メーカーサイドの注力の様子もうかがえます。“ボトル缶コーヒー”の人気の背景や要因、今後のトレンドを探ります。

今回、生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研(東京都渋谷区)は、売り上げを伸ばしている“ボトル缶コーヒー”に注目しました。2012年には、本レポートでピックアップした9ブランド中7ブランドが新発売、あるいは、リニューアルを実施していて、メーカーサイドにおける注力の様子もうかがえます。
本レポートでは、“ボトル缶コーヒー”の人気の背景や要因、今後のトレンドを探るために、元「日経トレンディ」編集長の北村 森氏への取材や一般消費者への調査、注目ブランドの分析を実施。これらの結果について、報告します。

■レポート内容
1.10年間で15倍、市場データに見る“ボトル缶コーヒー”の盛り上がり
2.専門家に聞く、“ボトル缶コーヒー”の好調の背景と今後の展望
3.ブラックコーヒー飲用者に“ボトル缶コーヒー”利用の実態を徹底調査
4.重視される“ボトル缶コーヒー”のパッケージ…、イメージ調査を実施

■Summary
本レポートでは、「商品ジャーナリストの北村 森氏への取材」や「消費者への調査」を実施。
人気の“ボトル缶コーヒー”の裏側にあった、パッケージデザインの重要性について明らかにします。

<元「日経トレンディ」編集長、商品ジャーナリスト・北村 森氏への取材>
(1)ボトル缶のメリットはコーヒーにピッタリ、缶コーヒー業界に大きな変革をもたらしました。
(2)美味しさ重視の“ボトル缶コーヒー”の進化は、味だけではなく、パッケージデザインにも及んでいます。

<主な調査結果>
(1)ブラックコーヒーを飲む飲用者の9割近くが、既にボトル缶コーヒーを購入。
(2)ボトル缶コーヒーを購入する際の基準に、パッケージデザインに関する項目が多数ランクイン

<パッケージデザインのイメージ調査の結果>
(1)最もスタイリッシュなイメージのあるもの 1位:日本コカ・コーラ「イリー イッシモ エスプレッソ ブラック」
(2)最もモテる男性が飲んでいるイメージのあるもの 1位:伊藤園「TULLY'S COFFEE BARISTA'S BLACK」



1.10年間で15倍、市場データに見る“ボトル缶コーヒー”の盛り上がり

新商品の発売やリニューアルで、盛り上がりを見せる、「ボトル缶コーヒー市場」ですが、その実態はどのようなものなのでしょうか。市場データを元に探りました。
アルミニウムのボトル缶が開発され、本格的に普及し始めたのは、2000年に入ってから。ボトル缶のコーヒーが誕生したのは、それからです。本格的に流通し始めたのは、2002年~2003年の頃と言われています。
富士経済の「清涼飲料市場の最新トレンドと将来展望 2012」によると、今から10年前の2003年には、ボトル缶コーヒーの販売量は2.1万kLで、その販売額は53.8億円でした。それが、2012年には、販売量27.5万kL、販売額810.1億円(※いずれも見込値)。10年間で、販売量は13倍、販売額は15倍に拡大しました。
また、直近でも、毎年20%程の成長率を維持していて、ボトル缶コーヒー市場は順調に伸長していると言えるでしょう。

2.専門家に聞く、“ボトル缶コーヒー”の好調の背景と今後の展望

その市場規模も順調に伸長していることが明らかになった、“ボトル缶コーヒー”ですが、その躍進の裏側には何があるのでしょうか。今回トレンド総研では、“ボトル缶コーヒー”について、消費トレンドに精通する、元「日経トレンディ」編集長でもある、商品ジャーナリストの北村 森氏にお話をうかがいました。

◆缶とボトルの良いトコどり、ボトル缶コーヒーの強みとは!?
ボトル缶の特長は、それ以前にシェアを二分していた「缶」と「ペットボトル」のメリットを兼ね備えているところにあります。その特長は、コーヒー飲料の特性にぴったりと当てはまり、現在のボトル缶コーヒー人気の原動力になっていると言えるでしょう。飲料の歴史に沿って、ボトル缶コーヒーの強みを説明しましょう。
1990年にペットボトルの飲料が流通するようになり、飲料業界には大きな変化が起こりました。ペットボトル登場以前の飲料は、外出時に渇ききった喉を一気に潤す「止渇飲料」としての役割が大きかったと言えます。しかし、1度開封した後もキャップのできるペットボトルにより、「必要な時に、欲しい量だけ飲む」というスタイルで、飲料を利用することができるようになりました。また、外出時に喉がカラカラに渇ききってしまうということも少なくなったのではないでしょうか。持ち運びに便利なペットボトルのおかげで、人々は、外出時も気軽に喉を潤す手段を手に入れたのです。
こうした流れを受けて、飲料の役割における“止渇性”の色合いは薄まることになります。そして、時間をかけて飲料の味を楽しむという人が増え、“嗜好性”が重要視されるようになっていきます。もちろん、それはコーヒー飲料も同様です。現在のコーヒー飲料を見れば、“コク”、“キレの良さ”、“香り”といった、様々な角度から美味しいコーヒーが追求されていることが分かります。
その中で、ペットボトルの弱点が浮き彫りになりました。透明なペットボトルは光を通してしまい、少なからず中身の飲料に影響を与えます。また、わずかながらも空気を通すペットボトルは、品質維持に不可欠な密閉性という点で缶に劣ります。そのため、繊細な香りや味わいを楽しむコーヒーの容器には、必ずしも適しているとは言えません。
そこで注目されたのが、ボトル缶です。1度開封した後もキャップができるというペットボトルのメリットを併せ持つボトル缶は、複数回に飲み分けることもでき、ゆっくりと自分のペースで飲料を楽しむことができます。また金属製のボトル缶は、缶と同様に、高い密封性を持ち、コーヒー独特の繊細な香りや味わいを、いざ飲む瞬間まで逃しません。ボトル缶は、コーヒー飲料の容器に求められる要素を非常に良く満たしていると言えるでしょう。さらに、キャップ式のボトル缶の飲み口は、缶やペットボトルよりもずっと大きいため、飲用時に、よりコーヒーの香りを楽しみやすいという特長も併せ持っています。

◆ボトル缶登場で変化したコーヒー飲料業界、ブラックコーヒーの席捲は美味しさの証
ペットボトル登場以前の缶飲料には、「止渇飲料」としての役割の占めるところが大きかったのは、お伝えした通りです。しかし、当時の缶コーヒーの主流は、糖分たっぷりの“カフェ・オレ”タイプ。缶コーヒーと“止渇性”というのは、違和感があるという方も多いのではないでしょうか。
当時の缶コーヒーには、“止渇性”ではない、特殊な役割が求められていました。それは、働く男性を支えるという役割です。家やオフィスの外でも手軽に糖分やカフェインを補給できる缶コーヒーは、外で仕事をする男性に重宝されました。そのため、元来のコーヒー業界においては、味や香りを楽しむ「自宅や喫茶店で飲むコーヒー」と「缶コーヒー」は、全く別のものと考えられていたのです。当時、缶コーヒーでブラックコーヒーを楽しむなんて考える人はほとんどいなかったでしょう。
こうした流れはペットボトル登場後もしばらく続きます。ペットボトルの登場は、飲料業界に大きな変化を生みましたが、コーヒー飲料においてはその影響は比較的に小さかったと言えます。これは、前述の通り、ペットボトルはコーヒー飲料の容器には向いているとは言えず、利便性の高いペットボトルが急速に広まった90年代にも、コーヒー飲料業界においては、主流は依然として缶コーヒーでした。そのコーヒー飲料業界に大きなインパクトを与えたのが、ボトル缶コーヒーなのです。
ボトル缶の登場後、飲料業界全体の“嗜好性”重視の方向性が後押しする形で、ボトル缶コーヒーの美味しさの追求が加速していきます。これは、ボトル缶コーヒーの主流がブラックコーヒーとなっていることにも通じます。糖分やミルクを加えないブラックコーヒーは、コーヒーの繊細な香りや味わいのみで勝負するしかないので、味へのごまかしが利かない商品です。ボトル缶コーヒーにおいて、これだけ多くのブラックコーヒーが打ち出されているというのは、メーカー側が本当に自信を持って美味しいと言えるコーヒーをボトル缶飲料で飲めるようになっているという証拠と言えるのではないでしょうか。

◆味だけではない、パッケージデザインでも進化し続ける“ボトル缶コーヒー”
“美味しさ”の面で、進化し続けているボトル缶コーヒーですが、今後の課題はターゲット層の拡大ではないでしょうか。ボトル缶コーヒー市場を見ると、顧客層の主流は男性です。缶コーヒーの歴史の中から、「働く男性を支える」というイメージのある缶コーヒーは、女性にとっては手に取りづらいという声もあります。しかし、その一方で、20代・30代の若い世代の方は固定観念が少なく、トライアルで本当に良いと思ったものに対しては、積極的に購入するようになりやすいという傾向があります。今後は、いかに女性にもボトル缶コーヒーを手に取ってもらい、試してもらうことができるかという点が重要だと言えるでしょう。
そこで注目すべきなのが、ボトル缶コーヒーのパッケージデザインです。ボトル缶のもう一つの特長として、容器の全面で商品をアピールすることができるという点が挙げられます。現在のボトル缶コーヒーのラインナップを見ると、中性的なデザインのものが増えていると言えるのではないでしょうか。メーカー側も、女性にも手に取ってもらいやすいパッケージデザインを意識しているように見受けられます。こうしたパッケージデザインに対する企業側の努力も、今後続いていくのではないかと考えられます。



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