北海道科学大学の亀山修一教授らがスマホで路面状況を監視できるモニタリングシステムを構築 -- 救急車の長距離搬送を支援、「いのちの道」をサポートする

プレスリリース発表元企業:北海道科学大学

配信日時: 2018-10-25 14:05:07



北海道科学大学(札幌市手稲区)工学部都市環境学科の亀山修一教授は前田道路株式会社(東京都品川区)との共同研究で、救急車の緊急搬送を支援する道路舗装の管理手法を構築した。これは、救急車に乗り心地をモニタリングできるシステムを組み込んだスマートフォンを搭載することで、走行に影響を与える箇所や補修が必要な箇所の情報をリアルタイムで道路管理者や施工会社と共有することができるもの。2017年10月には中標津町と釧路市を結ぶ国道272号で実証実験を行い、道路のひび割れやそれに伴う振動に関するデータを収集した。




 北海道の地方部では、市町村をまたぐ長距離の救急搬送は珍しくないという。道東の医療機関は釧路市に総合病院が集中しているため、地方(中標津や羅臼など)で脳疾患や交通事故などの外傷で病院での手術が必要な場合には、救急車で釧路市内まで搬送している。釧路市内の病院にはドクターヘリを所有している病院もあるが、夜間の飛行や霧が発生している時にはヘリの飛行が難しい。そのため緊急時にも関わらず、片道1時間から1時間半を掛けて救急車で搬送しているのが現状である。

 しかし、道路の点検・補正に係る財源は年々削られており、以前は数年に1度のペースで路面点検車両を使って点検者が北海道全域の路面を点検し、舗装する路面を決めていたが、現在は費用の面から開発局や交通局による道路検査が困難となっている。
 その結果、道路の経年劣化や寒気による(低温)ひび割れが生じ、地方から救急搬送する際には、ひび割れが起きているポイントの通過時には減速し、患者の負担にならないように搬送しているのが現状である。
 路面の舗装状況が悪いと振動が患者の負担になるが、振動を抑えるために減速すると搬送時間が長くなり、患者の容態が悪化するおそれがある。そのため、地方部の道路(「いのちの道」)の補正が急務となっている。

 こうした中、道路工学や舗装工学などを専門とする北海道科学大学の亀山修一教授は前田道路と共同で、救急車に搭載したスマートフォンで走行路面の状態を常時監視するモニタリングシステムを開発するための実証実験を開始した。
 このシステムでは、路面状況を撮影・記録し、平面の基準値を定めると同時に、車両の揺れや振動を測定し、基準値を上回る路面箇所を測定する。記録された情報は道路管理者や施工会社と共有し、モニタリング結果から補修が必要と判断された場合、急速施工や平たん性の微調整などに適した素材を使って随時補修を行うことができるようになる。

 亀山教授らは今後「いのちの道」をサポートする管理体制を構築し、振動や揺れによる患者の負担を減らして安全を確保することによって、患者の命を救うことに貢献していきたいとしている。

▼本件に関する問い合わせ先
北海道科学大学 研究推進課
住所:北海道札幌市手稲区前田7条15丁目4-1
TEL:011-688-2241
FAX:011-688-2392
メール:kenkyu@hus.ac.jp


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