EUSA Pharma:NICEが高リスク神経芽腫の小児患者の治療薬として分子標的がん免疫療法剤QARZIBA®▼(ジヌツキシマブベータ)を承認
配信日時: 2018-07-16 15:28:00
EUSA Pharma:NICEが高リスク神経芽腫の小児患者の治療薬として分子標的がん免疫療法剤QARZIBA®▼(ジヌツキシマブベータ)を承認
(英へメルヘムステッド)- (ビジネスワイヤ) -- EUSA Pharmaは本日、イングランドおよびウェールズのNHS制度下で高リスク神経芽腫の小児の治療に分子標的がん免疫療法剤QARZIBA®(ジヌツキシマブベータ)を使用することを勧告する英国立医療技術評価機構(NICE)の決定を歓迎しますi。高リスク神経芽腫は悪性度の高い神経芽腫で、脳以外で発生する小児の固形腫瘍として最も一般的なものですii。ジヌツキシマブベータは分子標的がん免疫療法剤として初めて、NHS制度下で本疾患の治療への使用が承認されました。過去に治療を受けた患者で、治療の一環として免疫療法を受けなかった患者と比較して、ジヌツキシマブベータは全生存率(OS)の転帰を改善することが事後解析で示されています。ジヌツキシマブベータは、過去に免疫療法を受けていない患者での治療の維持相に使用する場合、高リスク神経芽腫の小児患者の一部でがんの再発または進行を抑える目的でも使用されますii。
サザンプトン大学がん免疫センターの小児腫瘍科准教授であるジュリエット・グレイ医師は、次のように述べています。「本日のNICEの決定は、この悪性度の高いがんを患った小児の治療にとって極めて重要な前進です。ジヌツキシマブベータは、身体自身の免疫系を活用することにより、一部の患者で非常に効果的にこのがんを標的として攻撃できることを示しています。このことは一部の小児にとって何週間、何カ月もの余命を家族と過ごし得ることを意味し、あるいは長期間にわたってがんから解放された生活を小児にもたらす可能性もあります。」
ジヌツキシマブベータは、神経芽腫細胞に過剰発現するGD2と呼ばれる特定の標的に結合するモノクローナル抗体(タンパク質の一種)ですiii。これにより2つの免疫作用を誘導し、免疫系が神経芽腫のがん細胞破壊を導くことができるようにしますii。重要な鍵となる第3相臨床試験(APN311-302)では、高リスク神経芽腫のファーストライン治療の維持療法相でジヌツキシマブベータを使用した場合(n=367)、類似患者の歴史的対照群で免疫療法を使用しない場合(n=450)との事後比較で、3年目のOS率の12%増加という生存率の転帰改善を示しましたii。5年目のOS率は、ジヌツキシマブベータ治療を受けた患者が約65%であったのに対し、歴史的対照群が50%でした(p=<0.0001)ii。
Neuroblastoma UKのTony Heddon会長は、次のように述べています。「高リスク神経芽腫に立ち向かう小児患者と家族が、必要とする医薬品やケアを確実に利用できるようにすることは、絶対的に重要です。本日の勧告はNICEの大胆で前向きの決定であり、当社はNICEとEUSA Pharma、協力してこの医薬品を利用可能にした神経芽腫コミュニティーの全関係者に拍手を送ります。この決定は高リスク神経芽腫の小児に対し、これからはよりよい未来が待ち受けている可能性があるという希望をもたらすものです。」
英国では平均して、毎週2家族でその子どもが神経芽腫を患っていることを知り、毎年約100人の小児が神経芽腫と診断されていますiv。神経芽腫は1歳未満の乳児で発生する固形腫瘍としては最も多いもので、この年齢で診断されるがんの約5分の1(22%)に上りますv。本承認の対象である高リスク神経芽腫の小児は、全神経芽腫症例の約40%に相当しますvi。高リスク神経芽腫の小児は、通常は数サイクルの化学療法、外科手術、幹細胞移植、放射線療法から成る複雑な集中治療を何ラウンドも経験するのが一般的ですvii。
今回のNICEの最終指針(FAD)による勧告の内容は、ジヌツキシマブベータを、患者が生後12カ月以上で、過去に抗GD2免疫療法を受けていない場合、導入療法に続く骨髄機能廃絶療法および幹細胞移植の後に少なくとも部分奏功を示した高リスク神経芽腫の治療法の1つの選択肢として使用するというものですi。
EUSA PharmaのLee Morley最高経営責任者(CEO)は、次のように付け加えています。「本日の決定は、NICEとEUSA Pharma、神経芽腫コミュニティーの間の強い連携の結果ですが、しかるべき小児全員にこの人生を変え得る治療法から利益を受けられるという選択肢を確保できるよう、それぞれが弛まず働いてきました。当社が長年にわたり傾倒してきた理由は一貫して、英国で高リスク神経芽腫のしかるべき小児患者全員にジヌツキシマブベータへのアクセスを確保することであり、本日の決定はこの長い取り組みにおける重要な部分です。当社はイングランドとウェールズを越えて、スコットランドと北アイルランドで本薬をできる限り早く利用可能とすべく、それぞれの規制当局と密接な協力を続けています。」
- 以上 -
編集者向け注記
ジヌツキシマブベータについて
仕組み
ジヌツキシマブベータは、腫瘍と関連しGD2と呼ばれる炭水化物構造を認識して結合するように設計されたモノクローナル抗体(タンパク質の一種)です。GD2は神経芽腫細胞の表面に大量に存在しますii。ジヌツキシマブベータは神経芽腫に結合すると、免疫系の2つの作用(補体依存性および抗体依存性の細胞媒介性免疫経路)を誘導し、神経芽腫を身体の免疫系の標的とします。免疫系は体内のナチュラルキラー免疫細胞と補体タンパク質系を使用し、がん細胞を攻撃して死滅させますii。
開発と承認
ジヌツキシマブベータは、よく検討された学界/製薬業界間の協業の産物です。ジヌツキシマブベータは、Apeiron Biologicsが多くの提携先(特に神経芽腫学術グループのSIOPEN)と共同で開発し、2016年にEUSA Pharmaが上市するために取得して、2017年5月に欧州での承認を取得しました。ジヌツキシマブベータは、最初はジヌツキシマブベータApeironおよびジヌツキシマブベータEUSAの商標名で、その後2017年11月に新名称のQARZIBA®で欧州医薬品庁より承認を取得しましたiii。
投与方法
ジヌツキシマブベータは静脈への注入(点滴)により投与します。本剤による治療の各コースは、35日毎に5~10日間の投与となります。合計で5コースにわたり投与が行われます。推奨投与量は患者の体重と身長によって決まりますiii。
使用を支持するデータ
ジヌツキシマブベータは高リスク神経芽腫を対象とした数多くの臨床試験で研究されていますii。NICEによる評価において、最重要の臨床証拠はAPN311-302試験からもたらされました。同試験は、ジヌツキシマブベータとイソトレチノインの併用療法(n=189)を、ジヌツキシマブベータ、イソトレチノイン、インターロイキン-2の併用療法(n=190)と比較する多国間非盲検ランダム化比較対照第3相試験ですi,ii。試験の主要評価項目は3年目の無イベント生存率(疾病の進行または再発、死亡、二次腫瘍をイベントと定義)とし、OS、総合効果、疾患が再発または難治化した割合を副次的評価項目としましたii。試験は最大5つの異なる比較相から構成され、その1つはファーストライン治療の維持療法相でインターロイキン2(IL-2)を併用した場合としない場合のジヌツキシマブベータによる治療を比較しましたii。
APN311-302試験で、3年無イベント生存率(主要評価項目)はIL-2を併用しない場合が55%、併用した場合が61%(p=0.3202)で、3年全生存率はそれぞれ64%および69%(p=0.6114)でしたi。APN311-302試験における早期患者組み入れ(2002年から2010年までの間)で得た歴史的対照群との比較が、免疫療法を受けなかった高リスク神経芽腫患者450人を使用して実施されました。患者数が比較的多かったため、これら患者はこの期間の臨床診療で見られた高リスク神経芽腫患者を代表していると期待されます。この比較ではフォローアップ3年目で生存していた患者の割合が、免疫療法を受けなかった患者よりもジヌツキシマブベータによる治療(IL-2併用の有無を問わず)を受けた場合の方が12%高いことが示され、その差は臨床的意義があると判断されましたii。また5年目の全生存率もジヌツキシマブベータによる治療を受けた場合が約65%、歴史的対照群が50%(p=<0.0001)であることも示されましたii。
欧州医薬品庁は市販化承認に当たり、現在利用可能なデータセットは包括性がなく、有効性と安全性の追加データを得るための手段を講じる必要があると判断しました。EUSA Pharmaは本件にコミットし、本剤に関し利用可能な有効性と安全性の情報を充実させるためにさらなるデータの収集を継続していますii。
副作用
ジヌツキシマブベータによる治療において副作用は一般的です。ジヌツキシマブベータで最も多い(10人中7人以上で発現する可能性がある)副作用は、一般的に発熱と疼痛です。その他の副作用(10人中3人以上が発現する可能性がある)は、過敏性(アレルギー)、嘔吐、下痢、毛細血管漏出症候群(血管からの体液漏出で腫れや血圧低下をもたらす場合がある)、低血圧症ですiii。
APN311-302試験では、両治療群の患者の98.9%(366人中362人)が毒性を経験しました。重篤有害事象はIL-2を投与された患者(183人中46%)の方がIL-2を投与されなかった患者(183人中27%)よりも多く報告されました。治療中止につながる重篤有害事象は、IL2治療群の方がIL2非治療群より多く発現し、それぞれの患者の17%と6%でしたii。
副作用に関する詳細情報については、EMAのウェブサイトの「製品概要」でご覧いただけますviii:http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/medicines/human/medicines/003918/human_med_002104.jsp&mid=wc0b01ac058001d124
EUSA Pharmaについて
2015年3月創設のEUSA Pharmaはスペシャルティ医薬品企業として、欧州と米国に商業活動拠点を有し、さらに約40カ国で広い販売網を擁しています。経営陣を構成するのは、患者ケアを前進させ、患者の健康を向上させる革新的な医薬品の発見・開発・商業化で実績を誇る製薬分野の経験豊かな専門家らです。詳細情報についてはhttp://www.eusapharma.comをご覧ください。
References
i NICE Final Appraisal Determination (FAD) for dinutuximab beta for treating neuroblastoma.
ii QARZIBA Public Assessment Report. Available at http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-_Public_assessment_report/human/003918/WC500227726.pdf Accessed July 2018
iii QARZIBA EPAR – Summary for the public. Available at http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-_Summary_for_the_public/human/003918/WC500227727.pdf Accessed July 2018
iv Cancer Research UK: About Neuroblastoma. Key fact available at https://bit.ly/2NjdR2b Accessed July 2018.
v Cancer Research UK: Children’s cancers. Children’s SNS tumour incidence. Available at https://www.cancerresearchuk.org/health-professional/cancer-statistics/childrens-cancers/incidence#heading-Eleven Accessed July 2018.
vi NICE dinutuximab beta committee papers. Available at https://www.nice.org.uk/guidance/gid-ta10069/documents/committee-papers Accessed July 2018.
vii Cancer Research UK – neuroblastoma treatment by risk group. Key fact available at https://www.cancerresearchuk.org/about-cancer/childrens-cancer/neuroblastoma/treatment-risk-group Accessed July 2018.
viii QARZIBA SmPC – Available at http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/EPAR_-_Product_Information/human/003918/WC500227724.pdf Accessed July 2018.
▼本医薬製品はさらなるモニタリングの対象となっています。新たな安全性情報を早く発見することが目的です。有害事象は報告の必要があります。報告の様式および情報はwww.mhra.gov.uk/yellowcardreportingでご覧いただけます。有害事象についてはEUSA Pharmaにも報告する必要があります。電子メール:safety@eusapharma.com Fax:+44(0)3305 001167
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