武田薬品とシアトル・ジェネティクスが進行期ホジキンリンパ腫のフロントライン治療でアドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)を評価する第3相ECHELON-1臨床試験の良好なデータを発表へ
配信日時: 2017-12-19 03:43:00
– データは2017年12月10日のプレナリーセッションで取り上げられ、同時にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載 – – アドセトリスのランダム化第3相臨床試験は主要評価項目を達成し、修正無増悪生存期間の統計的に有意な改善を示す –
(米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪 & ワシントン州ボセル)- (ビジネスワイヤ)-- 武田薬品工業株式会社(TSE:4502)とシアトル・ジェネティクス(NASDAQ: SGEN)は本日、第3相ECHELON-1臨床試験のデータを、2017年12月10日(日)に第59回米国血液学会(ASH)年次総会のプレナリーセッションで報告すると発表しました。ECHELON-1は、未治療の進行期古典的ホジキンリンパ腫患者でフロントライン併用化学療法の一部としてのアドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)を評価する試験です。データは同時にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンのオンライン版に掲載され、2018年1月25日に印刷版に掲載されます。トップラインデータは2017年6月に報告済みですが、ECHELON-1試験が主要評価項目を達成し、独立評価機関(IRF)による評価に基づき、対照群との比較で修正無増悪生存期間(修正PFS)の統計的に有意な改善をもたらすことを示しました。アドセトリスは、古典的ホジキンリンパ腫を特徴付けるマーカーCD30を標的とする抗体薬物複合体(ADC)です。アドセトリスは現在、ホジキンリンパ腫のフロントライン治療として承認されていません。
本プレスリリースではマルチメディアを使用しています。リリースの全文はこちらをご覧ください。:http://www.businesswire.com/news/home/20171218005991/ja/
武田薬品のオンコロジー臨床研究開発部門長であるJesús Gomez Navarroバイスプレジデント(M.D.)は、次のように述べています。「進行期ホジキンリンパ腫患者の場合、ほぼ3人に1人が標準的なフロントライン治療後に長期寛解を達成しません。このためECHELON-1の結果がこれらの患者グループにとって重要となり得ます。本試験はアドセトリス併用療法が、対照群と比較して修正無増悪生存期間の統計的に有意な改善をもたらすことを示しました。ADCETRIS+AVDによる治療を受けた患者では、ABVDによる治療を受けた患者と比較して、病勢進行、死亡、完全奏功に至らない患者に対するその後の抗がん治療の必要性と定義した事象の発現率が23パーセント低減しました。当社は、これらの臨床試験結果と、保健当局がフロントライン治療への使用を承認した場合に進行期ホジキンリンパ腫患者の治療にアドセトリスが及ぼし得る影響に大いに期待しています。」
カナダのバンクーバーにあるBC Cancer 付属リンパ球がんセンターでクリニカルディレクターを務めるジョセフ・M・コナーズ氏(M.D.、FRCPC)は、次のように述べています。「ホジキンリンパ腫の標準治療は過去数十年間にわたり変わっておらず、フロントライン治療の新レジメンにおいて未充足ニーズが残っています。現行のレジメンにはブレオマイシンが含まれますが、同剤は予測不可能で致死性の可能性がある肺毒性を伴うことが知られています。レジメンからブレオマイシンを取り除くこともできるフロントライン治療によって持続性奏功率を高めることは、ホジキンリンパ腫のコミュニティーにとって大きな前進となります。再発リスクの低減は患者とその担当医にとって重要な関心事です。本試験では、アドセトリスを含むレジメンによる治療を受けた患者の方が、ABVDによる治療を受けた患者と比較して、その後のサルベージ化学療法や、高用量化学療法および移植を必要とした割合が33パーセント低下していました。また本試験におけるアドセトリス+AVDの安全性プロファイルは、本レジメンを構成する各医薬品で知られているプロファイルと一全体的に一致するものでした。」
シアトル・ジェネティクスの社長兼最高経営責任者(CEO)であるクレイ・シーガル博士は、次のように述べています。「第3相ECHELON-1臨床試験の結果は、ASHがプレナリーセッションで取り上げるわずか6件のアブストラクトの1つに選出され、またデータは同時にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに本日掲載されました。本試験は、40年以上にわたって大きくは変わっていない現行の標準治療レジメンを改善するために5年以上前に開始された大胆な取り組みです。当社はこの画期的な試験に参加した多くの患者と医師に感謝したいと思います。これらのデータは、アドセトリスを含むレジメンが、現在の標準治療であるABVDと比べて、IRFの評価に基づく修正PFSという主要評価項目を含め、効果が統計的に有意に優れていることを証明し、また副次的評価項目についてもアドセトリスを含むレジメンに有利な傾向が示されました。重要な点は、アドセトリスを含むレジメンによる治療を受けた患者の方が、フロントライン治療後の治療を必要とする場合が少なかったことです。ECHELON-1試験の結果は、進行期古典的ホジキンリンパ腫のフロントライン治療として併用化学療法の一部にアドセトリスを使用する件でのFDAによる画期的治療薬の指定を支えることになり、当社は先ごろFDAに生物学的製剤追加承認申請を行いました。当社の目標は、2018年前半に、米国の進行期ホジキンリンパ腫患者が本レジメンを利用できるようにすることです。」
フロントライン治療としてのブレンツキシマブ・ベドチン+(ドキソルビシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)(A+AVD)はABVDと比較して、未治療のステージ3ないし4のホジキンリンパ腫(HL)患者で優れた修正無増悪期間を実証:第3相ECHELON-1試験(東部時間12月10日(日曜)午後3時40分、ジョージア・ワールド・コングレスセンターC棟1階ホールC2 – C3、プレナリーセッション)
ジョセフ・M・コナーズ医師が発表を予定し、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された重要な知見は、下記の通りです。
試験ではアドセトリス+AVDの組み合わせが主要評価項目を達成し、独立評価機関(IRF)による評価に基づき、対照群としてのABVDとの比較で、修正PFSの統計的に有意な改善をもたらした(HR 0.77、p値=0.035)。この改善は、病勢進行、死亡、追加的な抗がん療法の必要性というリスクの23パーセント低減に相当する。 IRFの評価によれば、2年修正PFS率は、対照群が77.2パーセントであったのに対し、アドセトリス+AVD群の患者は82.1パーセントであった。 治験担当医の評価によれば、2年修正PFS率は、対照群が74.4パーセントであったのに対し、アドセトリス+AVD群の患者は81.0パーセントであった(HR 0.73、p値=0.007)。この改善は、病勢進行、死亡、追加的な抗がん療法の必要性というリスクの27パーセント低減に相当する。 全生存期間(OS)の中間解析(HR 0.72、p値=0.19)を含め、すべての副次的評価項目でアドセトリス+AVD群に有利な傾向が示された。その他の副次的評価項目は下記の通り。 ランダム化されたレジメンの終了時における完全奏功(CR)率は、対照群が70パーセントであったのに対し、アドセトリス+AVD群は73パーセントであった(p値=0.22)。 ランダム化されたレジメンの終了時における客観的奏功率(ORR)は、対照群が83パーセントであったのに対し、アドセトリス+AVD群は86パーセントであった(p値=0.12)。 フロントライン治療完了後のDeauvilleスコアが2以下の患者の割合は、対照群が80パーセントであったのに対し、アドセトリス+AVD群は85パーセントであった(p値=0.03)。 事前設定された患者サブグループの一定部分において、利点はABVDと比較してアドセトリス+AVDの方が多いと思われた。これらのサブグループは、北米で治療を受けた患者、リンパ節外性病変が1カ所より多い患者、国際予後スコア(IPS)が4~7の患者、男性患者、疾患のステージが4の患者、年齢が60歳未満の患者。 アドセトリス+AVD群では、後にサルベージ化学療法または、高用量化学療法および移植を受けた患者の割合が33パーセント少なかった。 ECHELON-1試験におけるアドセトリス+AVDの安全性プロファイルは、本レジメンを構成する各医薬品で知られているプロファイルと全体的に一致するものであった。 アドセトリス+AVDおよびABVDの両群で、患者の15パーセント以上で発現して臨床的に重要な全グレードの有害事象で最も頻度が高かったのは、好中球減少症(それぞれ58および45パーセント)、便秘(それぞれ42および37パーセント)、嘔吐(それぞれ33および28パーセント)、疲労(いずれも32パーセント)、末梢感覚神経障害(それぞれ29および17パーセント)、下痢(それぞれ27および18パーセント)、発熱(それぞれ27および22パーセント)、末梢神経障害(それぞれ26および13パーセント)、腹部痛(それぞれ21および10パーセント)、口内炎(それぞれ21および16パーセント)であった。アドセトリス+AVDおよびABVDの両群で最も多く発現したグレード3ないし4の有害事象は、好中球減少症、発熱性好中球減少症、好中球数減少であった。 発熱性好中球減少症は、1つの患者サブセットで成長因子(G-CSF)の予防的使用によって発現率が低減した。試験のアドセトリス+AVD群では、G-CSFを使用しない場合の発熱性好中球減少症の発現率は21パーセントで、使用した場合は11パーセントに低減した。G-CSFによる一次予防とアドセトリス+AVDの組み合わせは、ABVDと全体的に同等の安全性プロファイルとなり、発熱性好中球減少症、好中球減少症、重篤有害事象の発現率を低下させた。G-CSFによる一次予防はすべての患者に対し推奨された。 末梢神経障害が観察されたのは、対照群の患者が43パーセントであったのに対し、アドセトリス+AVD群の患者が67パーセントであった。アドセトリス+AVD群では、末梢神経障害の大半がグレード1または2であった。患者の11パーセントでグレード3以上の事象が報告され、患者の1パーセント未満でグレード4の事象が報告された。対照群の場合、患者の2パーセントでグレード3以上の事象が報告され、グレード4の事象は1件もなかった。アドセトリス+AVD群で末梢神経障害を呈した患者の3分の2は、最終フォローアップの時点で回復または改善を報告した。 肺毒性が報告された割合は、ABVD群の患者が7パーセントであったのに対し、アドセトリス+AVD群の患者は2パーセントであった。グレード3以上の事象が報告された割合はアドセトリス群および対照群がそれぞれ1パーセント未満および3パーセントであった。 アドセトリス+AVD群では試験中の死亡が9例発生し、うち7例は好中球減少症または同症に伴う合併症が原因であった(試験参加時に好中球減少症の持病があった1名を除き、全例がG-CSFによる一次予防を受けていない患者で発生)。残りの2例の死亡は心筋梗塞が原因であった。対照群では、試験中の死亡が13例発生し、うち11例は肺関連毒性が原因もしくは肺関連毒性と関連した死亡で、1例は心肺不全が原因、1例は原因不明の死亡であった。 ECHELON-1試験のデザイン
ECHELON-1はランダム化非盲検二群間比較多施設第3相試験で、未治療の進行期古典的ホジキンリンパ腫患者に対するフロントライン治療として、アドセトリスとAVD(アドリアマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)の併用をABVD(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)と比較するようにデザインされています。 主要評価項目はIRFの評価に基づく修正PFSです。修正PFSの定義は、病勢進行、死亡、またはフロントライン治療完了後のIRFに基づく不完全寛解の証拠に続く抗がん治療実施までの期間です。 主要な副次的評価項目はOSです。その他の副次的な目標には、CR率、ORR、無イベント生存期間(EFS)、無病生存期間(DFS)、奏功期間(DOR)、第2サイクル終了時のPET陰性率、生活の質の測定値(EORTC QLQ C-30)、ABVD群と比較したアドセトリス+AVD群の安全性プロファイルが含まれます。 本試験には組織学的にステージ3ないし4のホジキンリンパ腫と診断され、全身化学療法または放射線療法を受けていない患者1334人が組み入れられました。試験に組み入れられた患者の年齢中央値はアドセトリス+AVD群が35歳、ABVD群が37歳でした。 患者はアドセトリス+AVDまたはABVDの投与を、28日間の各サイクルの1日目と15日目に、最大6サイクルまで受けました。 本多施設試験は北米、欧州、南米、オーストラリア、アジア、アフリカの21カ国の218施設で実施しました。 米国食品医薬品局(FDA)は、進行期古典的ホジキンリンパ腫患者に対するフロントライン治療における併用化学療法の一部としてのアドセトリスを画期的治療薬に指定しました。シアトル・ジェネティクスは2017年11月1日、生物学的製剤追加承認申請(sBLA)をFDAに行いました。武田薬品は、2017年11月29日の欧州医薬品庁(EMA)を皮切りに、担当地域の各規制当局に対してECHELON-1試験データの提出を開始しました。
古典的ホジキンリンパ腫について
リンパ腫とは、リンパ系で発生するがん種を示す一般名称です。リンパ腫にはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫という2つの主要なカテゴリーがあります。古典的ホジキンリンパ腫は、リードスタンバーグ細胞として知られる特徴的な細胞種の存在によって他のリンパ腫と区別されます。リードスタンバーグ細胞はCD30を発現します。
米国がん協会によれば、2017年中に米国で約8260例がホジキンリンパ腫と診断され、1000人以上がこの疾患で死亡すると見込まれます。リンパ腫連合によれば、世界で毎年6万2000人以上がホジキンリンパ腫と診断され、毎年約2万5000人がこのがんで死亡しています。
アドセトリスについて
アドセトリスは3件の第3相試験を含む70件以上の臨床試験で広範な評価を受けています。これらの第3相試験は、古典的ホジキンリンパ腫のフロントライン治療としてのECHELON-1試験(本条件でのFDAによる最近の画期的治療薬の指定と、生物学的製剤追加承認申請(sBLA)を支えた)、成熟型T細胞リンパ腫を対象に進行中のECHELON-2試験、再発性/難治性ホジキンリンパ腫を対象にオプジーボ(ニボルマブ)とアドセトリスの併用を検討する目的で進行中のCHECKMATE 812試験です。
アドセトリスは、シアトル・ジェネティクスの専有技術を使用し、抗CD30モノクローナル抗体を、タンパク質分解酵素により開裂するリンカーで、微小管阻害剤モノメチルアウリスタチンE(MMAE)と結合させたADCです。本ADCが採用するリンカーシステムは、血中では安定し、CD30陽性の腫瘍細胞に取り込まれると、MMAEを放出するように設計されています。
静脈内注射用のアドセトリス注射剤はFDAより、4件の適応症で承認を取得しました。これらの適応症は、(1)過去に全身療法を受けているpcALCL成人患者またはCD30発現MF成人患者の治療に対する通常の承認、(2)古典的ホジキンリンパ腫患者で、自家造血幹細胞移植(自家HSCT)が失敗した患者か、自家HSCTの候補でなく、過去に少なくとも2回の多剤化学療法レジメンが失敗した患者の治療に対する通常の承認、(3)再発ないし進行のリスクが高い古典的ホジキンリンパ腫患者を対象とする自家HSCT地固め療法に対する通常の承認、(4)全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)患者で、過去に1回以上の多剤化学療法レジメンが失敗した患者の治療に対する迅速承認、となります。sALCLの適応症は、全奏効率に基づいて迅速承認を受けました。sALCLの適応に対する承認継続は、検証的試験で臨床的有用性が検証・説明されることが条件になる可能性があります。
カナダ保健省はアドセトリスに対し、再発性ないし難治性のホジキンリンパ腫およびsALCLを適応症として条件付き承認を2013年に与え、また再発ないし進行のリスクを持つホジキンリンパ腫患者のASCT後の地固め療法として無条件承認を与えています。
アドセトリスは2012年10月に欧州委員会より、2件の適応症で条件付きの市販承認を取得しました。これらの適応症は、(1)自家幹細胞移植(ASCT)後、またはASCTないし多剤化学療法が治療選択肢でない場合に少なくとも2種類の治療を受けた後の再発性ないし難治性のCD30陽性成人ホジキンリンパ腫患者の治療、(2)再発性または難治性の成人sALCL患者の治療、となります。欧州委員会は、アドセトリスに対する現在の条件付き市販承認を拡大し、ASCT後に再発・進行リスクの高いCD30陽性ホジキンリンパ腫の成人患者の治療薬としてアドセトリスを承認しました。
アドセトリスは再発性/難治性ホジキンリンパ腫とsALCLを適応に69カ国で規制当局より市販承認を取得しています。下記の重要な安全性情報をご覧ください。
シアトル・ジェネティクスと武田薬品はアドセトリスを共同開発しています。提携契約の条件に従い、シアトル・ジェネティクスは米国とカナダでアドセトリスを商業化する権利を保有し、武田薬品は世界のその他の地域で商業化する権利を保有します。シアトル・ジェネティクスと武田薬品は、アドセトリスの開発費を50対50の割合で共同負担していますが、例外的に日本における開発費に関しては武田薬品が単独で責任を負っています。
アドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)の重要な安全性情報(欧州連合向け)
禁忌
ブレンツキシマブ・ベドチンおよびその賦形剤に対し過敏症を示す患者に対するアドセトリスの使用は禁忌となっています。またブレオマイシンとアドセトリスの併用は肺毒性をもたらすので、禁忌となっています。
特別な警告および注意
進行性多巣性白質脳症(PML):アドセトリスによる治療を受けた患者で、PMLおよび死亡をもたらすジョン・カニンガム・ウイルス(JCV)の再活性化が起こることがあります。複数の化学療法レジメンを受けた後にアドセトリスを投与された患者でPMLが報告されています。
神経・認知・行動関連でPMLを示唆する兆候・症状の新規発症または悪化につき、患者を密にモニタリングする必要があります。PMLの評価法として提案されているものには、神経科医による診察、脳のガドリニウム増強核磁気共鳴画像法、ポリメラーゼ連鎖反応によるJCV DNAの脳脊髄液分析、JCVの所見がある場合の脳生検が含まれます。PMLが疑われる症例すべてでアドセトリス投与を保留し、PMLの診断が確定したらアドセトリスを永久的に中止する必要があります。
膵炎:アドセトリスによる治療を受けた患者で、急性膵炎が観察されています。致死的転帰が報告されています。急性膵炎を疑わせる腹痛の新規発症または悪化につき、患者を密にモニタリングする必要があります。患者の評価には身体診察、血清アミラーゼと血清リパーゼのラボ検査、超音波など腹部画像検査、その他の適切な診断法があり得ます。急性膵炎が疑われる症例すべてでアドセトリス投与を保留し、急性膵炎の診断が確定したらアドセトリスを永久的に中止する必要があります。
肺毒性:アドセトリスによる治療を受けた患者で、致死的転帰を伴う場合がある肺毒性の症例が報告されています。アドセトリスとの因果関係は確立していませんが、肺毒性のリスクは排除できません。肺症状の新規発症や悪化があれば、ただちに評価して適切な治療を施す必要があります。
重篤感染および日和見感染:アドセトリスによる治療を受けている患者で肺炎、ブドウ球菌血症、敗血症/敗血症性ショック(致死的転帰を含む)、帯状疱疹などの重篤感染と、ニューモシスチス・イロベチ肺炎や口腔カンジダなどの日和見感染が報告されています。患者に対しては治療中、重篤感染および日和見感染の発生可能性につき、注意深くモニタリングする必要があります。
注入に伴う反応(IRR):即時型および遅延型のIRRと、アナフィラキシーがアドセトリス投与で発生しています。患者を注入時と注入後に注意深くモニタリングする必要があります。アナフィラキシーが発生した場合、アドセトリス投与を即時・永続的に中止し、適切な治療を施す必要があります。IRRが発生した場合、注入を中断して適切な医療管理を行う必要があります。注入は症状が解消してから速度を落として再開することも可能です。IRRを過去に経験している患者は、その後の注入に備えて準備投薬する必要があります。IRRはアドセトリスに対する抗体を持つ患者ほど頻度と重症度が高くなっています。
腫瘍崩壊症候群(TLS):アドセトリス投与でTLSが報告されています。腫瘍が急速に増殖して腫瘍量が多い患者はTLSのリスクがあります。これら患者は密にモニタリングし、最適な医療に基づいて管理する必要があります。
末梢神経障害(PN):アドセトリスによる治療は感覚神経障害、運動神経障害の両神経障害をもたらす場合があります。アドセトリス誘発性PNは一般的にほとんどの症例において蓄積的で可逆的です。知覚鈍麻、知覚過敏、知覚障害、不快感、灼熱感、神経因性疼痛、虚弱などPNの症状につき、患者をモニタリングする必要があります。PNの新規発症や悪化を経験した患者では、アドセトリス投与の延期、投与量削減、中止が必要となる場合があります。
血液毒性:グレード3ないし4の貧血、血小板減少症、長期(1週間以上)のグレード3ないし4の好中球減少症がアドセトリスで発生する場合があります。各投与に先立ち全血球計算値をモニタリングする必要があります。
発熱性好中球減少症:発熱性好中球減少症が報告されています。発熱性好中球減少症が発症した場合、患者を発熱につき密にモニタリングし、最適な医療に基づき管理する必要があります。
スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS):アドセトリス投与でSJSおよび中毒性表皮壊死症(TEN)が報告されています。致死的転帰が報告されています。SJSまたはTENが発症した場合、アドセトリスによる治療を中止し、適切な治療を施す必要があります。
消化管合併症:腸閉塞、イレウス、腸炎、好中球減少性大腸炎、びらん、潰瘍、穿孔、出血を含め、致死的転帰を伴う場合がある消化管合併症が報告されています。消化管症状の新規発症や悪化は、直ちに評価して適切な治療を施す必要があります。
肝毒性:アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇が報告されています。肝毒性の重篤な症例(致死的転帰を含む)も発生しています。アドセトリス投与を受ける患者では、治療開始に先立って肝機能を検査し、定期的にモニタリングする必要があります。肝毒性を経験した患者では、アドセトリス投与の延期、投与量変更、中止が必要となる場合があります。
高血糖症:試験では糖尿病の病歴有無にかかわらず肥満指数(BMI)の高い患者で高血糖症が報告されています。高血糖イベントを経験した患者は全員、血清グルコースを密にモニタリングする必要があります。糖尿病治療を適宜開始する必要があります。
腎・肝障害:腎・肝障害を抱えた患者における経験は限られています。入手できるデータは、MMAEクリアランスが重度の腎障害および肝障害と、低い血清アルブミン濃度による影響を受ける可能性があることを示しています。肝障害または重度の腎障害の患者では、3週ごとに30分の静脈内注入による1.2 mg/kgの開始用量が推奨されます。腎障害または肝障害の患者は、有害事象につき密にモニタリングする必要があります。
賦形剤におけるナトリウム量:本医薬品は1回の投与量当たり最大2.1 mmol(47 mg)のナトリウムを含みます。ナトリウム制限食を取っている患者で考慮する必要があります。
薬物相互作用
強力なCYP3A4阻害剤やP-gp阻害剤をアドセトリスと併用している患者は、好中球減少症のリスクが高まる可能性があるため、密にモニタリングする必要があります。アドセトリスとCYP3A4誘導剤の同時投与はアドセトリスの血漿中濃度を変えませんでしたが、アッセイで検出され得るMMAE代謝産物の血漿中濃度の低減をもたらすと思われます。アドセトリスはCYP3A4酵素によって代謝される薬物への曝露に変化をもたらすとは考えられません。
妊娠:妊娠の可能性がある女性は、アドセトリスによる治療を受けている期間と治療後6カ月目までは2種類の効果的な避妊法を取る必要があります。アドセトリスの妊婦での使用に関するデータは存在しませんが、動物試験で生殖毒性が示されています。母体に対するベネフィットが胎児に対する潜在的リスクを上回る場合を除き、アドセトリスを妊娠中に使用してはなりません。妊婦が治療を受ける必要がある場合、胎児への潜在的リスクについて明確な助言を受ける必要があります。
授乳(母乳育児):アドセトリスまたはその代謝産物が母乳中に排泄されるかどうかを示すデータは存在しませんので、新生児/乳児に対するリスクは排除できません。潜在的リスクがあるため、母乳育児を中止するかアドセトリスによる治療を中止/自制するかを決断する必要があります。
生殖:非臨床試験でアドセトリスによる治療は精巣毒性をもたらしているため、男性の生殖能力を変化させる可能性があります。本医薬品による治療を受けている男性には、治療期間中と最後の投与から最長6カ月後までは子供をもうけないように助言します。
有害反応
重篤な有害薬物反応には、肺炎、急性呼吸窮迫症候群、頭痛、好中球減少症、血小板減少症、便秘、下痢、嘔吐、悪心、発熱、末梢運動神経障害、末梢感覚神経障害、高血糖症、脱髄性多発性神経炎、腫瘍崩壊症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群が含まれます。
アドセトリスの臨床試験で、非常に頻度が高い(1/10以上)と判断された有害反応は、感染症、上気道感染、好中球減少症、PN(感覚神経障害・運動神経障害)、咳、呼吸困難、下痢、悪心、嘔吐、便秘、腹痛、脱毛症、掻痒症、筋痛症、関節痛、疲労、発熱、悪寒、注入に伴う反応、体重減少でした。頻度が高い(1/100以上1/10未満)と判断された有害反応は、敗血症/敗血症性ショック、帯状疱疹、肺炎、単純ヘルペス、貧血、血小板減少症、高血糖症、めまい、脱髄性多発性神経炎、ALT/AST値の上昇、発疹、背部痛でした。
アドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)の重要な安全性情報(米国向け)
枠囲み警告:進行性多巣性白質脳症(PML)
アドセトリスによる治療を受けている患者で、PMLおよび死亡をもたらすJCウイルス感染が発生する場合があります。
禁忌
アドセトリスとブレオマイシンの併用は、肺毒性(例えば間質浸潤もしくは炎症またはその両方)を理由に禁忌となっています。
警告および注意
末梢神経障害(PN):アドセトリスは、感覚優位の末梢神経障害を引き起こします。末梢運動神経障害の症例も報告されています。アドセトリス誘発性末梢神経障害は蓄積的です。知覚鈍麻、知覚過敏、知覚障害、不快感、灼熱感、神経因性疼痛、虚弱などの症状につき、モニタリングします。投与量を適宜修正します。 アナフィラキシーおよび注入反応:アナフィラキシーを含め、注入に伴う反応(IRR)がアドセトリスで発生しています。注入中は患者をモニタリングします。IRRが発生した場合は注入を中断し、適切な医療管理を行います。アナフィラキシーが発生した場合は注入を即時・永続的に中止し、適切な医療を施します。IRRを過去に経験している患者は、次の注入に先立って前投薬を行います。前投薬として可能なものには、アセトアミノフェン、抗ヒスタミン薬、副腎皮質ホルモンが含まれます。 血液毒性:長期(1週間以上)の重度好中球減少症およびグレード3ないし4の血小板減少症または貧血がアドセトリスで発生する場合があります。発熱性好中球減少症がアドセトリスで報告されています。アドセトリスの投与に先立ち、全血球計算値をモニタリングします。グレード3ないし4の好中球減少症が発症している患者ではモニタリング頻度の増加を検討します。発熱に関し患者をモニタリングします。グレード3ないし4の好中球減少症が発生した場合、投与延期、投与量削減、投与中止、G-CSF予防投与後の投与を検討します。 重篤感染と日和見感染:アドセトリスによる治療を受けた患者で、肺炎、菌血症、敗血症ないし敗血症性ショック(致死的転帰を含む)が報告されています。治療中は細菌・真菌・ウイルス感染につき、患者を密にモニタリングします。 腫瘍崩壊症候群:腫瘍が急速に増殖して腫瘍量が多い患者は、密にモニタリングします。 重度腎障害が存在する場合の毒性増加:グレード3以上の有害反応および死亡が発生する頻度は、正常な腎機能の患者と比較して重度の腎障害を持つ患者で高くなっていました。重度の腎障害を持つ患者では使用を避けます。 中等度から重度の肝障害が存在する場合の毒性増加:グレード3以上の有害反応および死亡が発生する頻度は、正常な肝機能の患者と比較して中等度から重度の肝障害を持つ患者で高くなっていました。中等度から重度の肝障害を持つ患者では使用を避けます。 肝毒性:致死的転帰を含む重篤例がアドセトリスによる治療を受けた患者で発生しています。それらの症例は肝細胞障害と一致するもので、トランスアミナーゼもしくはビリルビンまたはその両方の上昇を含み、アドセトリスの初回投与または再投与後に発生しています。既往症の肝臓疾患の存在、ベースラインにおける肝酵素の上昇、併用薬はリスクを高める可能性があります。肝酵素とビリルビンをモニタリングします。肝毒性が新規発症、悪化、再発した患者ではアドセトリス投与の延期、投与量変更、中止が必要となる場合があります。 PML:アドセトリスによる治療を受けた患者でPMLと死亡をもたらすJCウイルス感染が報告されています。最初の症状はアドセトリスによる治療開始後のさまざまな時期に発生し、初回曝露から3カ月以内に発生した場合もあります。アドセトリス以外では、免疫抑制をもたらす可能性がある前治療と基礎疾患が寄与因子となっている場合があります。中枢神経系の異常を示す兆候・症状が新規に現れた患者はPMLの診断を検討します。PMLが疑われる場合はアドセトリス投与を保留し、PMLが確定したらアドセトリス投与を中止します。 肺毒性:肺臓炎、間質性肺疾患、急性呼吸ひっ迫症候群など非感染性肺毒性イベントが、致死的転帰を一部含め、報告されています。咳および呼吸困難を含む兆候・症状につき患者をモニタリングします。肺症状が新規に現れたり悪化したりした場合、評価中および症状改善までの期間はアドセトリス投与を保留します。 重篤皮膚反応:スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と中毒性表皮壊死症(TEN)が、致死的転帰を含め、アドセトリス投与で報告されています。SJSまたはTENが発症した場合はアドセトリス投与を中止し、適切な医療を施します。 消化管合併症:致死的転帰を含む急性膵炎が、アドセトリスによる治療を受けた患者で報告されています。穿孔、出血、びらん、潰瘍、腸閉塞、腸炎、好中球減少性大腸炎、イレウスを含め、その他の致死的/重篤な消化管合併症がアドセトリス治療を受けた患者で報告されています。既存の消化管病変を持つリンパ腫では、穿孔のリスクが高まる可能性があります。消化管症状の新規発症や悪化は、直ちに診断・評価して適切な治療を施す必要があります。 胚・胎児毒性:作用機序と動物実験に基づけば、アドセトリスは胎児に害を及ぼす可能性があります。生殖能のある女性には、胎児への潜在的リスクにつき、またアドセトリス治療中とアドセトリスの最終投与から少なくとも6カ月は妊娠を避けるよう、助言します。 最も発生頻度の高い(20%以上)有害反応:末梢感覚神経障害、疲労、悪心、下痢、好中球減少症、上気道感染、発熱。
薬物相互作用
強力なCYP3A4阻害剤またはCYP3A4誘導剤、P-gp阻害剤との併用は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)への曝露に影響を与える可能性があります。
特定集団での使用
中等度から重度の肝障害の患者または重度腎障害:MMAEへの曝露と有害反応が増加します。使用を避けます。
生殖能のある女性を性的パートナーに持つ男性には、アドセトリスの治療中とアドセトリスの最終投与から少なくとも6カ月は効果的な避妊を助言します。
アドセトリスの投与を受けている間は、妊娠すれば直ちに報告し、授乳を控えるよう、患者に助言します。
枠囲み警告を含め、重要な安全性情報の詳細については、アドセトリスの完全な処方情報をwww.seattlegenetics.comまたはwww.ADCETRIS.comでご覧ください。
武田薬品工業について
武田薬品工業株式会社は研究開発を駆使する世界的製薬企業として、科学の成果を生活に変革をもたらす医薬品に橋渡しすることで、患者の健康を改善して患者に明るい未来をもたらすことに真剣な努力を傾けています。武田薬品はその研究開発活動をオンコロジー、消化器系疾患、中枢神経系の各治療領域とワクチンに集中させています。武田薬品は革新の最前線に位置するため、研究開発を自社内および提携先との共同で実施しています。特にオンコロジーと消化器系疾患における革新的な新製品と、新興市場におけるプレゼンスが、武田薬品の成長を加速させています。武田薬品の3万人以上の従業員は、70カ国以上でヘルスケア分野の提携先と協力しながら、患者の生活の質を向上させることに懸命の努力で取り組んでいます。詳細情報についてはhttp://www.takeda.com/newsをご覧ください。
武田薬品の詳細情報については当社ウエブサイト(www.takeda.com)を、武田薬品工業株式会社のグローバルオンコロジービジネスユニットのブランドであるTakeda Oncologyの詳細情報については本ブランドのウエブサイト(www.takedaoncology.com)をご覧ください。
シアトル・ジェネティクスについて
シアトル・ジェネティクスは革新的なバイオテクノロジー企業として、抗体を使用した新規治療薬を通じてがん患者の生活を改善することに専心しています。当社の業界有数の抗体薬物複合体(ADC)技術は、抗体が持つ標的化能力を利用し、殺細胞剤を直接がん細胞に届けるためのものです。シアトル・ジェネティクスは、CD30を発現する数種類のリンパ腫の治療薬としてアドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)を商品化しています。また当社は、未充足の大きな医療ニーズを満たし、患者の治療成績を改善するように設計された血液関連がんと固形腫瘍の新規治療薬の充実したパイプラインを前進させています。詳細についてはwww.seattlegenetics.comをご覧いただき、ツイッター(@SeattleGenetics)をフォローしてください。
シアトル・ジェネティクスによる将来見通しに関する記述について
本プレスリリースに記載された記述の一定部分は将来見通しに関するもので、治療薬としてのアドセトリス(ブレンツキシマブ・ベドチン)の可能性、その使用で得られる可能性のある利点、FDAやその他の規制当局からフロントライン治療としてホジキンリンパ腫が想定の時間枠で承認される見通しと前述の想定の使用法が承認される見通しに関する記述が、それらに該当します。実際の結果や進展の結末は、これら将来見通しに関する記述で予想または含意されているものと大きく異なる場合があります。これらの違いをもたらし得る要因には、ホジキンリンパ腫を対象とするECHELON-1試験の安全性もしくは有効性または両者に関する結果が米国その他の国で市販承認を取得するに十分でない可能性、当社が市販承認の申請で修正を求められる可能性、そうした申請の承認が拒否されたり遅延したり条件付けされたりする可能性、承認された使用法が前述の範囲より狭くなる可能性などがあります。また、当社の薬事申請計画はFDAその他の規制当局との協議の結果、変化する可能性があります。シアトル・ジェネティクスが直面するリスクや不確実性の詳細については、当社が米証券取引委員会に提出した2017年9月30日締め四半期のフォーム10-Q四半期報告書の「リスク要因」に掲載されています。シアトル・ジェネティクスは、いかなる将来見通しに関する記述についても、新しい情報、将来の出来事、その他の結果にかかわらず、更新ないし変更する意図ないし義務を一切否認します。
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