金沢工業大学尾関健二研究室と株式会社車多酒造の研究グループが、世界初、日本酒の旨味成分「α-EG」が皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことを学術的に実証

プレスリリース発表元企業:金沢工業大学

配信日時: 2017-09-14 08:05:06

金沢工業大学バイオ・化学部応用バイオ学科の尾関健二研究室と株式会社車多酒造(本社:石川県白山市/代表取締役:車多一成)の研究グループは、一般的な日本酒に0.5%含まれている旨味成分「α-エチル-D-グルコシド(以下、α-EG)」が、飲用でも塗布でも、ヒトの皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことを、世界で初めて学術的に実証した(特許出願中)。


 「日本酒を多く飲用する杜氏、蔵人、力士は肌にハリとツヤがある」と伝承的に言われてきたが、この「肌のハリ」に日本酒のα-EGが起因していることを解明したもので、ぐい呑一杯程度(50ml)という飲酒でも、年配層の女性には効果があることが認められた。当研究成果は9月13日(水)、第69回日本生物工学会(会場:早稲田大学西早稲田キャンパス)で発表が行われた。

 また尾関健二研究室と株式会社車多酒造ではα-EGを通常の約3倍量多く含んだスキンケア専用純米酒「shu re」(α-EGを1.7%含有)と、純米酒配合ハンドグリーム「shu re 美容保湿クリーム」(α-EGを0.1%含有)を共同開発している。10月1日の「日本酒の日」にあわせて全国で発売される。

 尾関健二教授は「日本酒復権は20年来の私の夢でした。今回の研究成果は、日本酒業界全体にとって、とてもインパクトのある研究との声が各方面から寄せられています。日本酒の新たな女性層への開拓や新規の飲酒提案などにつなげていければ、これ以上うれしいことはありません」と語っている。

【研究の概要】
 これまで尾関研究室では、培養細胞を使った実験によりα-EGに保湿機能があることを発見していた。

<2015年7月2日プレスリリース> 
 http://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2015/20150701_ozeki.html

 尾関健二研究室と株式会社車多酒造は2014年3月からα-EGに関する共同研究を始めた。より学術的な証明を目指して、化粧品開発で使用されている超音波真皮画像装置を導入し、ヒトによる飲用試験と塗布試験を世界で初めて実施。「コラーゲンスコア」(真皮中のコラーゲンの密度)を計測した。

 試験は塗布試験と飲用試験の2つが行われた。

■塗布試験
 「純米酒配合(α-EG濃度 0.09-0.1%)」、「0.1%α-EG試薬配合」と「無配合」のハンドクリームを朝晩2回、左腕内側へ塗布し、週間単位でのコラーゲンスコアを測定した。
 被験者は平均年齢22歳の11名のグループ(男性3名、女性8名)と、平均年齢22歳の10名のグループ(男性4名、女性6名)、20代から60代までの11名のグループ(男性2名、女性9名)の3つのグループで実施。

■飲用試験
 α-EGの濃度を高めた1.7%含有の純米酒を開発。平均年齢22歳の学生9名のグループ(男性6名、女性3名)と、平均年齢22歳の学生8名のグループ(男性5名、女性3名)が、純米酒(α-EGを1.7%含有)もしくは同じα-EG濃度のノンアルコール清酒、180mL(1合。α-EG 3.06g/日)を8日間飲用。
 また20代から40代の社会人の女性5名が、純米酒(α-EG 1.1%含有。α-EG 1.7%含有純米酒を吟醸酒で薄めたもの)を50mL(ぐい呑一杯相当。α-EG 0.55g/日)、6日間飲用。
 週間単位で両前腕でのコラーゲンスコアを計測。

■塗布試験と飲用試験の結果
・塗布試験では「α-EG無配合」ハンドクリームに比べ、「純米酒配合」「α-EG試薬配合」ハンドクリームは、塗布後2週から3週で、コラーゲン密度が高まっていることが認められた。また学生よりも年齢が高い方がコラーゲン密度に影響が大きいことが判明した。
・学生による飲用試験では8日間の飲用後、1週から4週にわたって継続してコラーゲン密度が高まっていた。
・α-EG 1.1%含有の純米酒50mL(ぐい呑一杯相当。α-EG 0.55g/日)の場合、年齢層が高い女性は、6日間の飲用だけで、1週から6週にわたってコラーゲン密度が継続して高まっていることが認められ、塗布試験よりも効果があることが判明した。これは、飲用のほうが塗布よりも毛細血管から真皮層にα-EGが浸透しやすく、α-EGにより真皮層の線維芽細胞が活発化し、コラーゲン生産量を増やすためである。

※本事業は石川県活性化ファンドを活用したもの

▼本件に関する問い合わせ先
 金沢工業大学 広報課
 石川県野々市市扇が丘7-1
 TEL: 076-246-4784
 E-Mail: koho@kanazawa-it.ac.jp

【リリース発信元】 大学プレスセンター http://www.u-presscenter.jp/

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