原発事故損害賠償費用について生活クラブ生協連合会が意見書を提出
配信日時: 2016-12-16 18:04:44
生活クラブは、原発のない社会をめざして、さまざまな活動に取り組んでいます。
原子力事故に伴う損害賠償について、原子力損害賠償法を見直す議論がありました。原子力発電事故への賠償は、事故を引き起こした事業者に本来的な責任があります。事故が起きた場合の責任を他に転嫁することは、発電事業者の安全へのモラルや投資の低下を招きかねません。
生活クラブ連合会は、今後も現在の法制度を維持することと賠償のリスクについて、内閣府原子力委員会へ以下の意見書を12月14日に提出しました。
生活クラブ連合会が提出した意見書は以下のとおりです。
内閣府原子力委員会
岡芳明委員長
原発事故損害賠償費用に関する意見書
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
会長 加藤好一
原子力事故に伴う損害賠償については、内閣府原子力委員会の原子力損害賠償制度専門部会で原子力損害賠償法を見直し、賠償責任に上限を設けそれを超える分の費用を託送料金や税金に上乗せする形で確保することを検討しています。これは、本来原子力発電事業者が負うべき福島第一原発事故の賠償費用が膨み続ける状況にあり、国民全体に費用負担を求めようとするものです。
今回の政策に対し、以下の通り、要望致します。
1.原子力発電事故への賠償は、事故を引き起こした事業者に無限責任を負わせる現在の制度を維持すべきです。
原子力発電所でひとたび事故が発生した場合の被害の甚大さは、私たちが福島第一原発事故で目の当たりにしたところであり、決して取り返しがつかず、賠償金で償うことができないものです。事故から5年半を経過してもなお世論の多数が原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換を求め続ける理由でもあります。
原子力発電事業者が無限責任を負えないほど安全に関わるリスクが高いのであれば、そもそも原子力発電を行なうべきではありません。2014年の政府のエネルギー基本計画においても、原子力発電について「可能な限り低減させる」方向性の中で、あえて原子力発電事業を行なおうとする事業者には、本来、安全に対する全面的な責任を求めるべきです。事故が起きた場合の責任の一部を他に転嫁できることは、発電事業者の安全へのモラルや投資の低下を招きかねません。
2.原子力発電事業者の責任で賠償リスクを含めて見積もり、売電価格に反映させるべきです。
原発事故に伴う損害賠償は、原子力発電事業者がその責任において負担すべきです。この費用を発電と関係ない託送料や税金に計上して広く利用者から負担させることでは理解を得られません。
賠償責任に上限を設け、超えた分は税金や電気料金などの国民負担で補うとする案が検討されていますが、それでは原子力発電の持つリスクが価格に反映されたことにはなりません。原子力発電のリスクに備える費用が、原子力発を利用する需要家の負担と異なる形での制度化は、利用者に見えにくい形で費用が回収されることに問題があります。万が一事故が発生した場合の費用を含めて見直し、原子力発電を行なう事業者がきちんと引き当て、売電価格に反映させるべきです。
原発の継続・推進を前提とした現在の政策を見直すことを前提に、原発事故に伴う損害賠償の費用を算定して、負担のあり方について改めて広く国民の議論に付して検討すべきです。
以上
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