危機に瀕している国産漆を守ろう!伊藤若冲「伊藤若冲「鳥獣花木図屏風」をモチーフに漆のステアリングを作ります クラウドファンディングにて募集開始!

プレスリリース発表元企業:株式会社浄法寺漆産業

配信日時: 2016-12-07 11:00:00


株式会社浄法寺漆産業(岩手県盛岡市 松沢卓生代表取締役)は、2016年12月4日よりクラウドファンディングプラットフォーム、キャンプファイアにて国産漆保全及び漆塗りステアリングの製作プロジェクトを開始しました。現在、日本国内で使用される漆の98%は中国産で、国産はわずか2%。文化財の修理修復や本格的な漆器の製作に欠かせない国産漆ですが、生産量の減少、後継者不足など危機的な現状にあります。このたび、浄法寺漆産業は米国在住の日本美術蒐集家、プライスご夫妻のご支援をいただき、所有されているコレクションをモチーフとした漆芸のプロジェクトを始動します。2013年に岩手県立美術館で行われた東日本大震災復興支援「若冲が来てくれました」展がきっかけとなったものです。ご夫妻は国産漆の現状を憂慮され、今回の企画に全面的にご賛同いただきました。



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株式会社浄法寺漆産業は、アメリカの日本美術蒐集家、ジョー・D・プライス&エツコご夫妻の全面協力をいただき、伊藤若冲の名作「鳥獣花木図屏風」をモチーフとした漆のステアリングアートを製作します。
日本産漆を使用し、精緻な蒔絵と漆絵で若冲の世界を表現。危機に瀕している日本産漆の保全継承と日本の漆芸の発展のため、新たな分野にチャレンジします。

クラウドファンディングサイト・キャンプファイア https://camp-fire.jp/projects/view/13759

▼ご挨拶
岩手県にある株式会社浄法寺漆産業の社長をしております松沢卓生(まつざわたくお)と申します。当社は国産の漆、漆器を扱う仕事をしております。もともと岩手県の職員をしていましたが、7年前に退職して現在の仕事を起業して現在に至ります。

漆のイメージは恐らく、漆器、かぶれる、高級、お椀、…いろいろあると思いますが、毎日漆器を使ったり、漆が身近な生活をされている方はあまりいないのではないでしょうか。

漆と聞くと和のイメージがありますが、日本で生産されている漆はとても少なく、ほとんどを中国からの輸入に頼っているのです。国内で使われている漆の98%は中国産です。そのわずか2%の国産漆の大半が岩手県で生産されています。


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岩手県の北部、青森に近いところに「二戸市浄法寺町」という小さな集落があります。浄法寺は「じょうぼうじ」と読みます。ここは日本一の漆産地で、漆を採取する職人が20数名います。ここが日本の漆生産を支えていると言っても過言ではありません。
特に文化財の修理に日本産漆は欠かせません。日光東照宮や金閣などはこの浄法寺の漆が使われています。他の漆と品質が違うのです。


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漆掻きは6月から10月までの約半年間、早朝から夜まで山中で漆を採る仕事で、若い後継者が育っていません。苗木を植えてから15年程育てた木に傷を付けて一滴一滴集めていくのですが、1本の木から1シーズンに200グラム程度しか採れません。しかも採取後は伐採してしまいます。これを「殺し掻き」といいますが、漆掻き職人は山の恵みに感謝しながら、漆を採りきるという考えで仕事をしています。伐採した根元からまた芽が出てきますので、これをうまく育てれば10年後には再び漆を採ることができるのです。
安価な中国産漆が輸入され、新しい塗料が開発されたり、ライフスタイルの変化などにより国産漆の需要は年々減っています。豊富にあった漆の木もどんどん減っています。このままでは縄文時代から受け継がれてきた日本の漆が無くなってしまう、なんとかできないかという思いと漆の将来性を感じて、現在の仕事を始めました。


▼漆のステアリング
岩手には「浄法寺塗」と「秀衡塗」という伝統的工芸品の漆器があります。どちらも古い歴史があり、伝統に基づいた素晴らしい漆器です。しかし、漆は漆器だけではなく、古くは9000年前、縄文時代の装飾品から使われていますし、仏像や建造物、我が国の芸術文化、生活に欠かせないものです。
漆は繊細な表現にも向いています。蒔絵や螺鈿など技巧の限りを尽くした加飾も漆の魅力ですし、中世ヨーロッパの文化に影響を与え、漆器が"japan"として珍重されたりもしました。


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また、岩手県平泉にある中尊寺金色堂は平安時代の漆芸の傑作であり、当時最先端の技術と材料が惜しげもなく使われています。浄法寺塗のような素朴なイメージとはまた違う、奥州藤原氏の栄華をうかがい知ることができます。
縄文時代から日本人は自由な発想で漆を使いこなしてきたのではないかと思います。漆はもともと樹液ですから、こういう風に使わなければならないという決まったものはありません。
海外で漆器の展示会を企画し、外国人に浄法寺の漆器を見ていただきましたが、そもそも漆そのものを知らない方が多く、しかも刷毛目が見えないほど綺麗に塗られた漆器はプラスチック製のつるんとした器にしか見えないようでした。

もちろん、漆は一滴一滴集めた貴重なもので、職人が手間暇をかけてじっくりと塗ったものであると説明すれば興味を持って聞いてくれますが、危機的となっている日本の漆のことに関心を持ってもらうためには、ある程度のインパクトが必要と感じました。


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実は2年前に岩手県内の自動車関連業者による「いわてショーケースカープロジェクト」という企画があり、それぞれのメーカーが自動車部品を持ち寄り車を作りました(実際には岩手県内には自動車関連企業が少なく、全ての部品は調達できません)。その際に弊社にもお声がけいただき、担当したのがステアリングでした。

ショーケースカーの中でもひときわ目を引く漆塗りのステアリング。握った時の漆特有の温かみのある質感。豪華な螺鈿。精巧な蒔絵。とても好評をいただきました。

これをきっかけに、自動車の内装に漆を取り入れてみてはと、実際に自動車メーカーに提案するなど取り組んでいるところです。今年は「LEXUS New匠プロジェクト」の岩手県代表に選んでいただきました。実用として自動車内装の漆塗装はまだ時間がかかりますが、ステアリングの漆塗装はこのままでもアートになる魅力を放っていました。私はステアリングをキャンバスに見立てて漆アートをやってみよう!と思い立ったのです。

ステアリングは実は世界中の誰もが分かる万国共通のプロダクトです。何のための道具か疑う人はほとんどいないでしょう。また、手でつかむ、握るという動作が不可欠なものです。漆塗装の滑らかさ、温かさを肌で感じてもらうにはうってつけです。


▼プロジェクトをやろうと思った理由
2011年の東日本大震災。未曾有の大災害により岩手県をはじめ東日本は大きなダメージを受けました。震災の記憶も鮮明な2013年、仙台市博物館、岩手県立美術館、福島県立美術館にて「プライスコレクション 若冲が来てくれました」展が開催されました。
アメリカ・カリフォルニア在住のジョー・プライスさん、悦子さんご夫婦はに伊藤若冲を中心とした江戸時代の絵師たちの傑作絵画の蒐集で著名です。


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代表的な作品である伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」は、様々な動植物が色鮮やかに描かれ、草木の一本に至るまで、生命の輝きと喜びに満ちています。
この屏風を被災した東北の方々に見ていただき、少しでも慰めになることを願いつつ、子供たちには元気を取り戻して欲しいというご夫妻の強い願いから、東北3県での展示が実現したのです。

私も岩手県立美術館での展示を家族で見に行きました。初めてみた素晴らしい絵画の数々の中で、やはり衝撃的だったのが最後のコーナーに展示してあった「鳥獣花木図屏風」でした。
色とりどりのこの世界を漆で表現できないか…と考えたのがそもそものきっかけです。


▼これまでの活動
私は早速、岩手県立美術館に出向いて、協力を求めました。 当時の美術館の副館長さんのご紹介で担当だった学芸員の方とのご縁ができ、プライスご夫妻に直接連絡を取っていただくことになりました。
日本の漆が危機的な現状であること、漆を使ったアート作品を制作したいこと、日本産漆の保全活動に協力をいただきたいこと… 様々な思いを込めてメールを出しました。
すると、すぐにお返事を頂戴し、日本の漆を守るためなら全面的に協力しますとのお言葉をいただいたのです。

今後、私も漆産業を応援させて頂きます。
この様なチャンスを得られた事を、有り難いと思っております。
どのような方法でもO.Kです。
他の作品をご使用頂いてもO.Kです。
全力で応援させて頂きます。

ありがたいお言葉にとても感激しました。浄法寺の漆の林を見学したい、とのお申し出もあり、次回来日の際に直接お会いして改めてご協力をお願いすることとなりました。日本の漆の現状を本当に憂えておられ、残念に思っていたとのことで、とても強力な援軍を得た気持ちでした。
そして、2016年10月29日、都内にて来日中のプライスご夫妻とお会いしました。


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漆塗りのステアリングのモチーフに「鳥獣花木図屏風」を使用することを快諾いただきました。奥様はご自身で車を運転されるそうで、これで運転したらとても楽しそうととても気に入ってくださりました。

ステアリングの完成予想3D画像もじっくりとご覧いただきました。

▼クラウドファンディングによる資金の使い道

クラウドファンディングサイト・キャンプファイア
https://camp-fire.jp/projects/view/13759


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・漆塗りステアリングの制作経費
伊藤若冲「鳥獣花木図屏風」をモチーフとした漆塗りステアリングを制作します。二隻に分かれていますので、それぞれの屏風ごとに一つのステアリングを作り、組とします。漆絵バージョンと蒔絵バージョンの2種類とし、合計4本のステアリングとなります。
完成のイメージ画像を3D技術で制作し、動植物の配置や配色を確認します。その上で漆職人が制作を進めていきます。ステアリング本体は市販のウッドハンドルを利用し、一部成形が必要な箇所は3DCADの技術により3Dプリンタで成形したものを利用します。

・展示会経費
完成した漆塗りステアリングを多くの方にご覧いただきたいと考えています。また、日本の漆の現状を紹介する展示と講演会も併せて実施致します。
開催地は地元・盛岡市と東京都内の2箇所を考えておりますが、ご要望が多ければ他の都市でも前向きに展示会を開催致します。

・漆の苗木の育成と植樹
日本の漆は後継者や資源不足など、大変な危機に直面しています。一方で文化財建造物の修理に国産漆を使用することが決まるなど追い風も吹き始めました。
漆の産地である岩手県浄法寺だけではなく、漆を育てたい、植えたいという土地所有者の方からの賛同を得て、各地に漆を植えてどんどん漆資源を増やす事業に活用致します。一定の資金を元手として、NPO法人若しくは社団法人を設立し、漆植栽を全国的に拡げる契機として活動を進めて行きます。


▼リターンについて
【3,000円】
・お礼のメッセージ
・WEBサイト、展示会でお名前を掲載します。(掲示を希望されない場合はその旨お伝えください)
・漆植栽イベントご招待
※以下、すべてのリターンに適用致します。

【6,000円】
・「鳥獣花木図屏風」モチーフの限定オリジナルポストカードセットをプレゼント
※以下、すべてのリターンに適用致します。

【12,000円】
・「鳥獣花木図屏風」モチーフのオリジナル乾漆シートキーホルダーをプレゼント
※以下、すべてのリターンに適用致します。

【20,000円】
・「鳥獣花木図屏風」モチーフのオリジナル乾漆シート使用キーケースをプレゼント
・展示会(盛岡又は東京)優先ご招待券(5枚)プレゼント

【50,000円】
・展示会(盛岡又は東京)優先ご招待券(10枚)プレゼント
・ステアリング裏面に、ご支援者の氏名を連名で蒔絵により記載。

【100,000円】
・「鳥獣花木図屏風」モチーフの限定オリジナル酒器をプレゼント
・展示内覧会(盛岡又は東京)優先ご招待券(10枚)プレゼント
・ステアリング裏面に、ご支援者の氏名を連名で蒔絵により記載。

【300,000円】
・「鳥獣花木図屏風」モチーフの限定オリジナル酒器をプレゼント
・展示内覧会(盛岡又は東京)優先ご招待券(10枚)プレゼント
・今回制作するステアリングの裏面に、ご支援者の氏名を蒔絵で施します。


▼最後に
今回のプロジェクトはまさにご縁があって実現したものです。
プライスご夫妻のコレクションを通じ、日本の文化の礎である漆に関心を寄せていただき、日本古来の文化である漆の森を育てていく実践的な内容です。

ぜひ皆様のご支援を宜しくお願い致します。



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