「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見書を生活クラブ生協連合会が提出
配信日時: 2016-07-19 19:15:35
2016年1月、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の一部を改正する法律」が国会で成立しました。2017年4月の施行を前に、この改正により定められる省令に対する意見募集(パブリックコメント)の実施が公示されました(6月15日)。
生活クラブ生協がすすめている再生可能エネルギーの普及について、深い関連のある「固定価格買取制度」についての法改正のため、生活クラブ連合会は7月13日に意見書を提出しました。
今回の法改正の目的と概要
今回の改正では、
● エネルギーミックス(電源構成)を踏まえた電源間でのバランスの取れた自然エネルギーの導入
● 国民負担(賦課金)の抑制
● 効率的な電力の取引・流通の実現をめざす
ことが目的とされています。
前提として、将来のエネルギーミックス(電源構成)ついての国の方針があります。国の見通しでは、2030年の再生可能エネルギー導入比率を22~24%と定めています。
また、太陽光発電の未稼働問題に対しては、系統への接続を要件とすること、適切な事業実施を確保する仕組みとして事業実施中の点検・保守や事業終了後の設備撤去等の遵守を求めること、買取価格の逓減を目指し事業用太陽光発電への入札制度を導入すること、再生可能エネルギー電気の買取義務者を小売電気事業者等から一般小売送電事業者等に変更することと小売事業者等に直接引渡しも可能とすることなどが盛り込まれています。
生活クラブの意見
改正法の要点のうち、
● 系統への接続 ● 事業終了後の設備撤去 ● 入札制度の導入 ● 小売電気事業者への直接引渡
などの点について生活クラブの意見を提出しました。提出した意見書全文は下記のとおりです。
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部
新エネルギー対策課FIT省令担当 宛
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会
■該当箇所
1.第4条 入札制度について
2.第9条 接続契約について
3.第9・13・15条 事業終了後の設備撤去について
4.第17条 回避可能原価の市場連動及び小売電気事業者への直接引渡しについて
■意見内容
1.入札導入には反対します。
2.系統接続については、発電事業者負担とはせず系統運用者負担とする。
3.事業終了後の設備撤去については、設備のリサイクル仕組みを確立する。
4.小規模事業者への直接引渡の価格については、一定以下の規模の事業者の場合は、市場連動価格とはせず激変緩和措置の対象とする。また、市場連動とした場合でも月平均価格での運用とする。
■理由
今回の改正案については、その前提として国のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの導入水準22~24%が前提となっています。再生可能エネルギーの導入水準については、欧米諸国と比較しても低い目標といわざるをえず少なくとも40%に高めることを改めて政策目標とするべきであると考えます。また、国民負担の議論は、再生可能エネルギーの負担のみではなく電気料金や税金を通して負担している原子力発電や火力発電に関するコスト負担の問題などトータル検討することが必要であると考えます。そのことを前提としたうえで、以下の通り意見の理由をのべます。
1.入札制度の導入が導入されれば、企業の経営体力が大きい大規模事業者が落札する可能性が高くなり、結果的に各地域にうまれた小規模の事業体が落札できなくなります。
2.「接続」については、未稼働設備が多い理由として送電網への接続に関わる費用が原則発電事業者が負担しなければならないということがあります。接続負担は高額になる場合もおおく、小規模の事業者の負担も大きく、発電事業への参入の障壁となっています。また、送電網それじたいは、公共インフラでありだれも自由に、公平に使えるようにするべきです。その点からも送電網への接続負担にかかる費用については、発電事業者への負担ではなく系統運用者の負担とする制度にすべきです。
3.事業終了後の設備撤去は、事業者の責任で行うことは当然のことではありますが、特に大量の廃棄物の発生が予想される太陽発電設備については、国が率先して設備のリサイクル等の仕組み、リサイクル技術の開発をすすめることが必要です。
4.小売電気事業者への直接引渡については、必要な措置であり仕組みとしては評価しますので条文に位置づけ明記してください。一方でその際の価格が市場連動となった場合には、小規模のPPSにとっては経済的な負担も大きく事業の継続性に直結する問題ともなりかねません。一律に市場価格適用とはせず小規模小売事業者に対しては、激変緩和を継続して適用することを要望します。また、市場連動とする場合でも30分単位の運用ではなく、市場相場の月平均価格での運用にすることが適当と考えます。
(以上)
【参考】
◆経済産業省のウェブサイト 「意見募集」のページ
http://www.meti.go.jp/feedback/
2016年6月15日公示「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則等の一部を改正する省令案に関するパブリックコメント」
◆電子政府の総合窓口 e-Gov 意見募集中案件
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等に関するパブリックコメント
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620116036&Mode=0
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