環境シンポジウム「災害と『脈』をめぐって~大気と大地と『いのち』をかけつなぐために~」能登災害(震災・豪雨)と復興支援工事を踏まえた新たな環境視点と改善施工の提案
配信日時: 2024-11-18 22:02:57
12月8、9日 立命館大学 大阪いばらきキャンパスにて開催
「災害と『脈』をめぐって」
1月の能登震災、そして9月の豪雨災害により、能登半島は甚大な被害を受けました。一般財団法人杜の財団では、1月半ばから月末まで半月ほどの調査と雪中支援作業を踏まえて、「能登震災風土環境再生事業」として、毎月約1週間程の復興支援作業を独自の環境改善施工で行ってきました(11月現在合計11回)。
これまでの災害地と同じく、能登でも瓦礫や流出した土砂や流木を撤去することに多くの費用と労力が使われています。そして、コンクリートで固めることは本来自然界に備わっている循環機能を安定的に保つことになるのでしょうか?
「大地の再生」の手法では、大地の空気と水の通り道を『脈』と呼んで最重要視してきました。山から海へ続く川と、地下水の水脈が、まるで人体の血管のように大地に張り巡らされてすべてのいのちを養ってきました。この『脈』が道路やコンクリート構造物で遮断されることで地下水が滞留し、土砂崩れや地盤を不安定にしているとしたら…。逆に、『脈』を通すことで、大地の循環機能を再生できるとすれば、減災と防災に大いに役立つことができると考えます。この能登被災地において1月から1年近い環境改善活動を通して、斜面崩壊が続いていた場所が安定した土地に変化しています。
『脈』とは一体何なのか? 現代土木の問題点はどこにあるのか? 災害と『脈』はどう関係しているのか?
能登の事例は、能登に限らず日本全国どこでも起こりうることです。人の開発が人の機能優先で研究開発されてきたことで、自然生態系の循環機能を損ねているとしたら…。頻発する災害が地球環境の危機的な状況を表している昨今、私たち一人ひとりの意識と行動が解決への道筋を作っていきます。
古来培ってきた自然とともにある土木の在り方を、地理学、土壌物理学、社会統計学、建築学、環境社会学の立場から多角的に検証します。ぜひとも多くの皆様にご参加をお願い申し上げます。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-2ce50ad48d07d86f6ef397e1434d574d-1290x830.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
土壌通気浸透水脈整備イメージ断面
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-9d5024040c1893ee36318a6598a3a788-1290x968.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【A地点】2024年1月、石川県輪島市の山道。能登震災以前から崩壊を繰り返していた斜面。震災時も崩壊し、土砂さらいが行われたが再崩壊する
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-7d5be0a414629b8a67333f28b564fe36-1290x968.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【A地点】2024年8月、再度撤去後の車道の両サイドに矢野智徳氏のチームが、表層水脈(幅深 10~20cm程度)と車道法面下の深層水脈(幅深 30~50cm程度)を整備し、畦溝から農道を経て本流河川まで簡易的につないだ。その後毎月表層5cm 程度の泥さらいメンテを継続した結果、大量の大雨時でも雨水浸透が安定しほぼ土砂流出はなくなり、緑の下草が繁茂。斜面の崩壊はなく、安定斜面となる。清流域の回復につながる
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-fe9577ba93ccfe81f7bbb2f15562f564-1290x966.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【A地点】2024年9月、豪雨時を過ぎても水脈はよく通り、斜面崩壊が起きていない
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-b5dbff5c6cd7a48595e50e5fdd224c28-1290x968.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【B地点】2024年9月、崩壊土砂で滞った水脈を通す作業
【シンポジウム開催概要】
■日時:2024年12月8日(日)10時~17時10分、12月9日(月)10時~17時10分
■会場:立命館大学 大阪いばらきキャンパス AS251(12/8)、カンファレンスホール(12/9)、B棟(12/9)
(住所:大阪府茨木市岩倉町2-150)
■開催方法:対面およびオンライン(ハイブリッド)
■参加費:[2日参加] 学生5000円、「結の杜会」正会員8000円、一般12000円(オンライン生配信同様)
[1日参加] 学生3000円、「結の杜会」正会員5000円、一般8000円(オンライン生配信同様)
■主催:風土再生学会、一般財団法人杜の財団
■参加方法:以下Peatixよりお申込みください。
https://fudologyosaka.peatix.com(対面)
https://fudologyosakaonline.peatix.com(オンライン)
【12月8日(日)プログラム】
9:30 ~受付(場所:AS251)
10:00~開会 各団体(一般財団法人杜の財団、風土再生学会)からの挨拶、概要説明
10:15~粟生田忠雄氏(風土再生学会副会長/新潟大学助教)
「『脈』とは:動きの安定・静止の不安定」
11:15~後藤正美氏(一般社団法人木造建築研究所所長)
「過去の被害地震における地盤・地形と木造建物被害について」
<12:15~昼食休憩>
13:15~矢野智徳氏(一般財団法人杜の財団代表理事/合同会社杜の学校)
「能登震災・豪雨災害の現場より~『脈と災害』」
<14:45~休憩>
15:00~田中力氏(立命館大学経営学部教授)
「気象統計を読む ~観測史上初の現象を手掛りに~」
16:00~堀信行氏(風土再生学会会長/東京都立大学名誉教授)
「地球環境のダイナミズム ~『災害』と『脈』の狭間を考える~」
17:00~閉会挨拶(17:10閉会)
【12月9日(月)プログラム】
9:30 ~受付(場所:カンファレンスホール)
10:00~森明香氏(高知大学助教)【zoom登壇】
「被災地復興をめぐる“風通し” ―熊本豪雨・流水型川辺川ダム建設計画を取り上げて―」
10:30~フィールドワーク 田中力氏(立命館大学経営学部教授)
「育てる里山プロジェクトについて」
<12:30~昼食休憩>
13:30~17:00 総合討論
13:30~パネルディスカッションI 後藤正美氏、粟生田忠雄氏、矢野智徳氏
「能登の災害から導き出せることは何か」
14:30~パネルディスカッションII 田中力氏、堀信行氏
「災害と『脈』をめぐって」
<15:30~休憩>
15:45~質疑応答・フリーディスカッション(総合討論)
17:00~閉会挨拶(17:10閉会)
登壇者プロフィール(登壇順)
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-b4606a783db06c24e306af184f6677c5-400x400.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
粟生田 忠雄(風土再生学会副会長/新潟大学助教)
1963年埼玉県生まれ。新潟大学農学部農学科助教。地域環境工学、生物多様性、物質環境、土壌環境などの研究を行う。主な著書に『不飽和土壌における残留水分の物理的定義について』(共著、アジアの不飽和土壌)、『土の中の水』(共著、土からのラブレター)などがある。
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-5e15ebb2938d066ac229eb3b6e1bcf24-306x311.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
後藤 正美(一般社団法人 木造建築研究所 理事・所長)
金沢工業大学建築学科卒。京都工芸繊維大学工芸学研究科修士課程(建築学)修了。昭和58年金沢工業大学工学部・建築学科助手就任。講師を経て、平成20年教授。2024年、同退職。2024年、一般社団法人 木造建築研究所 理事・所長に就任。専門は、木構造、耐震工学で、伝統木構造の耐震性能評価や廃木材を利用した循環型建材の開発を主な研究テーマとしている。論文に「在来構法木造建物の耐震性能評価と耐震診断法」(学位論文)など。
[画像8: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-04c40c4dd07fcafb70960d5687b1d2b4-1881x1881.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
矢野 智徳(一般財団法人杜の財団代表理事/造園家/環境再生医)
1956 年福岡県生まれ。花木植物園で植物と共に育つ。東京都立大学において理学部地理学科・自然地理を専攻。1984年、矢野園芸を始め、1995年の阪神淡路大震災で大量の瓦礫がゴミにされるのを見て、環境改善施工の新たな手法に取り組む。1999 年、元日本地理学会会長の中村和郎教授らと、環境 NPO 杜の会を設立。現代土木建築工法の裏に潜む環境問題にメスを入れ、その改善予防を提案。足元の住環境から奥山の自然環境の改善までを、作業を通して学ぶ「大地の再生」講座を開催。
[画像9: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-39837bad5c34166c6e5c07bec0e02e71-700x700.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
田中 力(立命館大学経営学部教授)
立命館大学経営学部教授。研究テーマは、統計調査および統計利用に関する社会統計学的研究。社会科学研究における統計利用の基本問題を、社会統計学の視角から検討している。特に、土地・住宅・人口に関わる統計を対象に分析をすすめている。主な著書に『格差社会の統計分析』(共著、北海道大学出版会)、『生活空間の統計指標分析』(共著、産業統計研究社)、『統計学へのアプローチ』(共著、ミネルヴァ書房)『情報化社会の統計学(改訂版)』(共著、ミネルヴァ書房)がある。
[画像10: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-7ec32fb4a5878b36cbf01bfd70ac4fcc-453x453.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
堀 信行(風土再生学会会長/東京都立大学名誉教授/地理学者)
1943年愛知県育ち。東京都立大学名誉教授、地理学者。サンゴ礁をはじめ、アフリカなどの熱帯地域の環境地理学的な研究を行うとともに、風景論、風土論も展開している。主な著書に『アフリカI』(共著、朝倉書店)、『環境の人類誌』(共著、岩波書店)、『水の原風景―自然と心をつなぐもの』(共著、TOTO出版)、『熱い自然―サンゴ礁の環境誌』(責任編集、古今書院)、『風景の世界』(共著、二宮書店)などがある。
[画像11: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/147954/2/147954-2-65d6a4aa5fd30e7e2d6fcd00cfe3b55d-300x300.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
森 明香(高知大学助教)
愛知県生まれ、幼少期を三重県四日市市で過ごす。高知大学地域協働学部助教、専門は環境社会学、河川研究。熊本県南部・球磨川流域の川辺川ダム問題に学生時代より関心を持ち、令和2年7月豪雨以降は球磨川流域の被災者による市民調査に参加。川の保全を前提とした気候危機時代の豪雨下での川との共生の在り方を模索。主な著書に「解題 川辺川ダム建設反対運動」(戦後日本住民運動資料集成11 すいれん舎)、『球磨川流域豪雨災害とダム問題』(共著・すいれん舎・近刊)など。
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