「日本自然保護大賞2024」の授賞者決定!
配信日時: 2024-10-17 10:10:00
日本一の自然保護、生物多様性保全活動を選ぶ「日本自然保護大賞」。今年の授賞者は6団体
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公益財団法人日本自然保護協会(会員・サポーター約7万5千人、理事長:土屋俊幸)は、自然保護と生物多様性保全に日本で最も貢献した取り組みを表彰する「日本自然保護大賞2024」の授賞者を決定しました。
今回は3つの部門に対し、全国各地から87件の応募をいただきました。いずれも熱意にあふれた意義ある活動のなか、地域性・継続性・先進性・連携や協働の実績、社会への波及性などに注目して慎重に審議いたしました。
日本自然保護大賞 特設サイトはこちら
【大賞/保護実践部門】
公益財団法人 阿蘇グリーンストック(熊本県)
受賞テーマ「千年続いた阿蘇の草原を次世代に ~野焼き支援ボランティアとともに歩んだ25年~」
公益財団法人阿蘇グリーンストックは、都市と農村、企業、行政4者の連携を図りながら、熊本県阿蘇地域の広大な草原を未来に残すために保全活動、環境教育、調査研究等を行っている。元来、草原は地域住民によって維持管理されてきたが、農畜産業の衰退や少子高齢化等によって地域住民だけで維持管理が難しくなったため、都市に住むボランティア、企業、行政が阿蘇の地域住民を支援する「野焼き支援ボランティア」を結成し25年にわたって支援を継続している。現在では県内外に1000名を超えるボランティアがおり、年間延べ2000人を超える方が野焼き及びその準備作業を行い、オール九州で阿蘇の草原を支えている。
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【大賞/教育普及部門】
蕨ひがし自然観察クラブ・蕨市立東公民館(埼玉県)
受賞テーマ「クマゼミから学ぶ『わたしの SDGs』」
クマゼミが蕨市民公園にいると知り、独自手法も加えて地元の自然観察指導員3名で調査を開始。2010年から14年間、夏休みの土曜日早朝に毎年8回同じ手法でセミの抜け殻しらべを実施している。2012年に、蕨ひがし自然観察クラブを立ち上げ、蕨市立東公民館と自然観察会を共催するなど活動を本格化。西日本の暖かい地域のセミであるクマゼミの増加と地球温暖化を子どもたちと楽しみながら学んでいる。長年の調査と普及が認められ、SDGs関連の蕨市協働事業にも採択された。
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【大賞/子ども・学生部門】
高川学園中学高等学校 科学部オオサンショウウオ班(山口県)
受賞テーマ「甦れ! 本州西端のオオサンショウウオ」
オオサンショウウオにとって、山口県は本州西端で分布域は狭く、1970年代以降は消息が途絶えていた。このような衰退状態の中、2006~2007年に、山口県錦川にオオサンショウウオが生き残っていることを発見。2009年に文化庁から許可を得て生態調査を開始した。2012年に河川の落差工周辺域の個体群に「痩せ現象」発症、2015年に微胞子虫を検出。これらの原因は水質悪化であるため、河川環境の悪化を科学部部員が解明した。この研究成果に対して行政が動き、7年かけて生息地の復元と再生事業が行われた。復元地での移植放流も成功した。その後、研究と並行して、種の保存活動として「保護のための現地観察会」を主催し、野生種である文化財とのかかわり方や希少種の保護についての啓蒙活動も行っている。
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【特別賞・沼田眞賞】
重井薬用植物園(岡山県)
受賞テーマ「身近な自然を守り残すために~重井薬用植物園の自然保護活動~」
創設者の「市民のために素晴らしい自然を残しておきたい」との願いに基づいて、1964年の整備開始当初から、植物のみならず、昆虫や野鳥、動物などのすみかとなることを目的として管理している。園内では100種ほどの絶滅危惧植物の域外保全に、原則として遺伝的地域性に配慮しながら取り組んでいる。近年は岡山県内各地で自然観察会を開催するとともに、岡山県下最大のサクラソウ自生地の保全のため真庭市の「津黒いきものふれあいの里」と共同でボランティア団体「山焼き隊」を立ち上げ、火入れや夏草刈りなども実施、現在も蒜山自然再生協議会の一員として活動を継続している。岡山市でのハマウツボ保護活動など、各地域で助言・サポートを行うことで保護団体の立ち上げなど地域での保全活動を具体化。県内各地の自治体や他施設・団体と連携しつつ市民ボランティアと共に貴重な自然環境の保全活動を行っている。
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【選考委員特別賞】
山のトイレを考える会(北海道)
受賞テーマ「大雪山国立公園の山岳トイレ問題解決に向けた取り組み」
トイレのない大雪山国立公園の美瑛富士避難小屋やトムラウシ山の南沼野営指定地は、登山者の排泄による汚物やティッシュが散乱し、高山植物が踏みつけられ裸地が拡大するなど目を覆う惨状だった。これを何とかしたいとの思いで活動を開始。登山者によるし尿汚染、景観の毀損、高山植物の踏みつけをなくすため、啓発活動として登山者に自分の排泄物を持ち帰る携帯トイレの使用を呼びかけてきた。現在では、登山者による携帯トイレの持参率は90%以上となった。携帯トイレを使用しやすくするために、官民協働して携帯トイレブース設置の機運を醸成し、複数の場所に設置を実現した。汚物やティッシュの散乱は大幅に減少し、植生も回復してきた。
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【選考委員特別賞】
NPO法人 暮らし・つながる森里川海(神奈川県)
受賞テーマ「プロジェクト「子どもが元気、生きもの元気、地域が元気」の実践活動」
2001年4月、川の自然とふれあえる場づくりを図るため、行政との協働活動により、相模川では唯一の水辺の楽校である「馬入水辺の楽校」を開校。しかし、子どもたちの遊び声が聞こえてこないことから自然離れが進んでいることを知り、自然体験・環境学習活動に力をいれるようになった。五感を育む体験をメインに進め、昆虫ホテルづくりなど、環境保全活動と自然観察を合わせた取り組みを展開。運動の輪を広げようと、上流部の山梨とつながる桂川・相模川上下流交流会やイベント「湘南ピクニック土手の下のSDGs」も開催している。
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【入選】(6件、都道府県順)
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「日本自然保護大賞2024」
主催:公益財団法人 日本自然保護協会
協賛:経団連自然保護協議会
後援:環境省、国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)、自然保護憲章普及協議会
選考委員:
土屋 俊幸 日本自然保護大賞選考委員長/日本自然保護協会理事長/東京農工大学名誉教授
イ ル カ IUCN親善大使/シンガーソングライター/絵本作家
亀山 章 日本自然保護協会顧問/東京農工大学名誉教授
神谷 有ニ (株)山と溪谷社 自然図書出版部部長兼経営企画部部長
中静 透 国立研究開発法人森林研究・整備機構理事長/森林総合研究所所長
藤田 香 東北大学 グリーン未来創造機構教授/大学院生命科学研究科教授
■日本自然保護大賞とは
2014年、日本で自然保護憲章が制定されて40周年という節目の年に設立されました。日本自然保護大賞は、地域性・継続性・先進性・協働性の観点から、優れた自然保護活動、生物多様性保全活動を表彰しています。人と自然がともに生き、赤ちゃんからお年寄りまでが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会をつくるためには、市民、学生、企業、行政、NGO、専門家など、さまざまな立場で、それぞれの特性を活かしながら、自然保護活動を進めていく必要があります。素晴らしい活動をより多くの方に知ってもらうことで、SDGsの達成やネイチャーポジティブの実現に向け、日本の自然保護を推進する力にしています。
【保護実践部門】 市民、学生、企業、行政、専門家などがそれぞれの立場と特性を活かし、具体的な自然保護の実績をあげた活動、研究
【教育普及部門】 自然観察をはじめ、広く自然保護を目的とした教育・普及活動
【子ども・学生部門】 小学生から高校生まで、子どもが主体的に取り組んだ活動、研究
*上記の大賞3部門のほかに、該当者がいる場合は特別賞として「沼田眞賞」「選考委員特別賞」を授与。
■日本自然保護大賞2024受賞式(予定)
受賞式は各活動地等を訪問して開催します。会場、時間等の詳細は、事務局にお問い合わせください。
【大賞・保護実践部門】公益財団法人阿蘇グリーンストック 2024年11月27日(水)
【大賞・教育普及部門】蕨ひがし自然観察クラブ・蕨市立東公民館 2024年12月9日(月)
【大賞・子ども・学生部門】高川学園中学高等学校科学部 2024年10月23日(水)
【沼田眞賞】重井薬用植物園 2024年12月22日(日)
【選考委員特別賞】山のトイレを考える会 2025年1月19日(日)
【選考委員特別賞】NPO法人暮らし・つながる森里川海 2024年12月7日(土)
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<参考>公益財団法人 日本自然保護協会について自然保護と生物多様性保全を目的に、1951年に創立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録への礎を築き、今でも日本全国で壊れそうな自然を守るための様々な活動を続けています。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんから高齢者までが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して活動しているNGOです。山から海まで、日本全国で自然を調べ、守り、活かす活動を続けています。
http://www.nacsj.or.jp/
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