日本の平均寿命発表!長寿と短命、その差は食生活。真打は『魚のタウリン』と『大豆のイソフラボン』

プレスリリース発表元企業:大正製薬株式会社

配信日時: 2024-07-30 10:00:00

厚生労働省から2023年分の平均寿命と平均余命が記載された「令和5年簡易生命表」発表





2024年7月26日(金)に厚生労働省から2023年分の平均寿命と平均余命が記載された「令和5年簡易生命表」が発表されました。これによると、日本人の平均寿命は男性では 81.09 年で令和4年の81.05 年を 0.04 年上回り、女性では 87.14 年で、令和4年の 87.09 年を 0.05 年上回っており、前年を上回ったのは男女ともに3年ぶりということです。世界の寿命の上位ランキングでは、日本男性はスイス、スウェーデン、ノルウェー、オーストラリアに次いで第5位、女性は1位で、2位以下はスイス、フランス、スペイン、韓国と続きます。

出典:厚生労働省 令和5年簡易生命表 概況版
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life23/dl/life23-15.pdf

寿命は様々な要因によってその人ごとに異なりますが、健康維持のために日頃の食生活が重要であることは既知の事実です。長寿と短命を分ける食生活の違いとは?

日本のみならず世界各地の長寿地域に足を運び、現地の食事と健康の関係を調査した京都大学名誉教授の家森幸男先生は、長寿の人に共通する傾向として「タウリン」と「イソフラボン」という2つの物質の摂取量が多いことを発見しました。「タウリン」は主に魚介類から豊富に摂取できる栄養素で、「イソフラボン」は大豆から摂取できる栄養素です。

日本最高峰の膨大な長寿食研究に裏付けられた知識の発信が生活習慣病予防の“知識のワクチン”とも称される家森先生に、長寿を目指すために推奨される食事習慣について伺いました。

【監修者プロフィール】 医師 家森幸男先生

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1937年 京都市生まれ。京都大学大学院修了。医学博士。同大学名誉教授。現在、武庫川女子大学健康科学総合研究所 国際健康開発部門部門長、(公財)兵庫県健康財団会長、健康加齢医学振興財団理事長。脳卒中ラットの開発に成功、脳卒中が栄養で予防可能なことを実証し、WHOの協力で世界61地域を40年かけて健診。24時間尿の分析で大豆や魚介類の常食が生活習慣病を少なくし、「適塩和食」で健康寿命延伸の可能性を検証。 ジョージアから分析のため持ち帰った発酵乳を企業の協力を得てホームメイドのヨーグルトとして食環境改善に貢献。ベルツ賞(1993)、紫綬褒章(1998)、杉田玄白賞(2004)、瑞宝中綬章(2012)などを受章、『大豆は世界を救う』(法研)、『遺伝子が喜ぶ「奇跡の令和食」』(集英社インターナショナル)、『80代現役医師夫婦の賢食術』(文春新書)他、著書多数。
タウリンとは?
魚介類に多く含まれるアミノ酸の一種で、魚やイカ、タコ、牡蠣などに豊富です。タウリンは生物が海から陸に上がった時に必要とした成分で、細胞の浸透圧を調整します。干潮時に海水がなくなった場所でも生き延び、淡水と海水が混じる汽水域でも繁殖する貝類にはタウリンが多いことがわかっています。細胞の浸透圧を調整し、環境の変化に対応しているのです。タウリンは細胞から健康を維持する非常に重要な成分です。体内で合成もされますが、微量であり、不足分は食事からとる必要があります。コロンビア大学の調査では、60歳の人のタウリン濃度は5歳児の約3分の1まで低下していたそうです。日本でも食事が西洋化し、肉を食べる機会が増えましたが、長寿を目指すならば、できるだけ魚介類を積極的にとりたいものです。


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大正製薬が2024年7月、全国の20代以上の男女1000名を対象実施したインターネット調査によると、「魚やイカ・タコ・貝類などの魚介類を積極的に摂るようにしている」という人は全体の半数以下(46.5%)でした。「積極的に摂らない」という人の理由としては「値段が高いので」(241名/1000名中・以下同)が最多で「調理が面倒・調理の仕方がわからないので」(134名)、「嫌いだから・好きではないので」(73名)と続きます。

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<調査概要>期間:2024年7月8日~9日 対象:全国の20代以上の男女1000名 年代・性別均等割付 
      手法:Freeasyインターネット調査



昨年2023年6月にコロンビア大学の研究チームが発表した研究結果によると、タウリンにアンチエイジング効果があることがわかりました。タウリンを与えたマウスの寿命が最大12%も伸び、更年期の雌マウスの骨粗しょう症を大幅に改善し、免疫の低下を防ぎました。中年のアカゲザルにタウリンを与えたところ、体重増加を防ぎ、血糖値を下げて肝臓の状態を改善し、骨密度を上げたそうです。
("Taurine deficiency as a driver of aging" Parminder Singh/9 Jun,2023)

タウリンの24時間尿中排泄量を世界60数地域の健診で分析したところ、50代前半の男女でタウリンの少ない第1分位の人々は、最も多い第5分位の方に比べ、肥満・高脂血症・高血圧は2.9、1.9、1.3倍多く、タウリン摂取の低下が生活習慣病のリスクであることが示されました。
(Sagara et al. Adv Exp Med Biol. 2015; 803:623-636.)
イソフラボンとは?
豆腐など大豆類に含まれる成分で、体内で血管を拡張させるNO(一酸化窒素)を作ることから長寿をサポートする栄養素のひとつといえます。ただし活性酸素があるとNOを破壊してしまうため、活性酸素を防ぐ抗酸化物質と一緒に摂るのがより効果的です。沖縄の人は長寿といわれますが、その理由のひとつにゴーヤチャンプルーがあります。ゴーヤチャンプルーはゴーヤと豆腐の炒め物です。ゴーヤのビタミンCが活性酸素を抑えるのもあいまって、豆腐に含まれるイソフラボンが十分に働きます。
検証されてきたタウリンとイソフラボンの効果
「高血圧予防」
チベットやネパールなど、ヒマラヤの山岳民族の人々は血圧が非常に高い傾向があり、多くの人が脳卒中や心筋梗塞で亡くなります。原因のひとつが、タウリンをほとんど摂取しないこと。川があり、川魚はとれますが、宗教上の理由から魚を食べないのです。一方で彼らは日常的にバター茶を飲みます。バター茶には塩が入れられており、1日の塩分摂取量が18グラムにも及びます。それもあり、高血圧に陥りやすいのです。
彼らにタウリンの粉末3グラム=3000ミリグラムを2カ月間飲んでもらったところ、最高/最低血圧153/93が同138/84まで下がるという結果が出ました。このように、タウリンには血圧を下げる効果があるようです。
(家森幸男, 大豆は世界を救う, 法研, 東京, 2005, 186)


「心筋梗塞」
世界各国の心筋梗塞による死亡率と魚食の相関を調べたところ、魚を食べる国や地域ほど心筋梗塞の発症率が低いことがわかりました。比較的魚を食べる日本人の心筋梗塞の発生率は非常に低く、先進国中ではもっとも低い国でした。次いでヨーロッパで魚をよく食べる、スペインやポルトガルが低く、魚をあまり食べないイギリスやフィンランドでは心筋梗塞の発生率は高くなっていました。
イソフラボンも心筋梗塞のリスクを下げます。大豆を多く食べる日本人、中国人、スペイン人、ポルトガル人は心筋梗塞での死亡率が低いことがわかっています。魚も大豆も善玉コレステロール=HDLを増やします。その結果、血管の劣化が抑制され、動脈硬化が原因の病気が発生しにくくなるわけです。

「脳卒中」
脳卒中は人間に特有の病気で、実験に使うラット(白ねずみ)では起きない病気です。そこで、岡本・青木(1963)によって血圧が高めのラットを交配し、高血圧を確実に発症するようになった高血圧自然発症ラット(SHR)を自然死するまで観察し、剖検で少しでも脳血管障害のあった親の子孫を交配し続けて、ついに遺伝的に確実に脳卒中を起こすラットを開発しました(1974)。この脳卒中ラットに1%(味噌汁程度の辛さ)の食塩水を与えると、生後3か月ほどで全例脳卒中を発症しました。塩分の摂取量が多い東北地方でも脳卒中は多く、塩分が脳卒中の引き金を引くのは間違いありません。
しかし同じ量の塩分を与えても、脳卒中ラットに魚粉を餌に混ぜて食べさせると脳卒中になりません。魚に含まれるタウリンが血圧を下げ、脳卒中を予防するのではと考えられます。

(Yamori, Y., et al, Jpn. Circ. J. 38, 1095-1100, 1974./Okamoto, K., et al, Circ. Res. 34/35, 143-153, 1974./Yamori, Y., et al, In: Lovenberg, W., Yamori, Y., eds., Nut. Prev. Cardiovasc. Dis. Academic Press, Orland, 37-51, 1984./Yamori, Y., In: de Yong, W., Ed., Handbook of Hypertension Vol. 4: Experimental and Genetic Models of Hypertension, Elsevier, Amsterdam, 240-255, 1984.)


「肥満と高脂血症」
タウリンは肥満・高脂血症・高血圧を抑制する効果があることがわかりましたが、同様に、大豆を食べる人と食べない人でも、24時間尿を集めて比較分析しました。大豆にはマグネシウムが含まれているので、血中のマグネシウム濃度が高いと大豆やマグネシウムの多いナッツ類などをたくさん食べていることになります。この結果でも、大豆をあまり食べていない人はよく食べる人に比べて肥満や高脂血症の割合が2.7倍、高血圧の割合が1.5倍と、大きな差がつきました。
(“An inverse association between magnesium in 24-h urine and cardiovascular risk factors in middle-aged subjects in 50 CARDIAC Study populations” 30 October,2014)


「筋肉機能の維持」
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(愛知県・大府市)・老化疫学研究部の大塚礼部長を代表とする研究グループが、2023年7月、大正製薬株式会社および北翔大学との共同研究で、食事からのタウリン摂取量が多いと脚の筋力(膝伸展筋力)が維持される傾向にあることを発見しました。
愛知県大府市・東浦町の地域住民から性・年代別に層化無作為に選出された40歳以上の男女1,254名を対象に、2002年から約8年の間、 タウリン摂取量と体力指標=膝伸展筋力(足を動かした際に筋肉を伸ばす力)、長座位前屈(両膝を曲げずに座り、上半身を倒す)、閉眼片足立ち、最大歩行速度の変化量を観察。
その結果、食事からのタウリン摂取量が多いほど膝伸展筋力が増加していることがわかりました。
65歳以上では、タウリン摂取量の多少に関わらず膝伸展筋力は低下しますが、タウリンをたくさん摂取していた人のほうが、膝伸展筋力の減少幅が小さい、すなわち、タウリンの摂取量が多いと筋力が維持されるということが示されました。
("Association of taurine intake with changes in physical fitness among community-dwelling middle-aged and older Japanese adults: an 8-year longitudinal study"Frontiers in Nutrition/20 March, 2024)


「脳への影響」
魚と大豆をよく食べる人は、血中に葉酸が増えます。葉酸は認知症と関係があると考えられています。
アメリカやカナダでは、1998年から葉酸を法律でパン類に添加しています。
(JAMA Intern Med. 2017;177(1):51-58. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6807)
 
その結果、高齢者が増えているにもかかわらず、高齢者が認知症にかかる割合が減っています。オックスフォード大学の研究で、葉酸を与えられた高齢者は、脳の萎縮、特に記憶に関係する海馬の萎縮が抑制されることがわかりました。
(Douaud G, Refsum H, de Jager CA, et al. PNAS 110 (23) 9523-9528, 2013.)

魚と大豆を食べると葉酸が増え、葉酸が脳を守るのです。
魚は海藻を食べることから、もしかしたら魚のタウリンは海藻由来かもしれないという推測のもと調べたところ、タウリンの含有率が高い海藻もあることがわかりました。菜食の戒律で魚が食べられない人も、紅藻類の海藻からでもタウリンをとることができます。
最近はミドリムシなどの微細藻類という小さな藻類にも注目が集まっています。こういった微生物にもタウリンが含まれている種類があり、栄養補助食品としてとることができます。

同じ沖縄の人でも移住したら寿命が縮んだ! その原因は・・・塩分量
同じ沖縄の人でも、ブラジルに移民した沖縄の人たちとの平均寿命が、沖縄県に住みつづけた沖縄県民よりも17年も短くなるという研究結果もありました。この原因は食事の違いでした。
各国の10万人あたりの脳卒中による死亡率を調べた調査では、塩分をとる国や地域ほど死亡率が高いことがわかりました。1日の塩分摂取量が7グラムを超えると、脳卒中で死亡する人は増えます。
塩分摂取量が東洋でもっとも少なかったのは、中国の広東地方の人たちでした。1日たった4.5グラムしか摂取していません。広東や香港の人たちは海に面しているため、魚を食べます。気候が温暖なので魚を塩漬けなどの保存食にせず、すぐに食べます。食べ方も寄生虫の害を防ぐため全体を加熱する蒸し料理が多く、焼き魚に比べて塩分をあまりとりません。それが塩摂取量の少ない理由です。

ブラジルと違い、ハワイに移住した日本人は1980年代に世界一の長寿となりました。ハワイの日本人は魚と大豆をよく食べ、ポリネシアの人がタロイモの葉で食材を包み、たき火の下に入れて蒸し料理をしていたのに学び、日本から持ってきた蒸し器を家庭で活用した蒸し料理が多いという特徴があります。彼らの1日の塩分摂取量はわずか6グラムで、タンパク質量もしっかり摂っていました。
また果物をたくさん食べるため、ビタミンEの血中濃度は日本人の2倍でした。認知症も寝たきりも少ないこともわかりました。

日本人の健康は和食が守っていると言ってもいいでしょう。1日に魚を80~100グラムか、大豆60グラムどちらかを摂ることで、心疾患のリスクを下げることができます。
ただ、和食にも欠点があります。塩分が多いこととタンパク質が少ないことです。現在でも7~8割の日本人が1日10グラム以上の塩分を摂っています。塩ではなく、だしのうま味や、お酢、香辛料などを上手に使って、塩分を減らす努力が必要です。

タンパク質を摂るには乳製品が優れています。欧米の人はチーズを食べるのでタンパク質はたくさん摂っていますが、チーズでは塩分も同時に摂ってしまいます。塩分を減らすことを考えれば、牛乳やヨーグルトといった形で食べるのがおすすめです。和食+乳製品で認知症が少なくなるという九州大学の久山研究もあります。
地中海食と和食は、血圧も、食欲も調節する
欧米で健康的な食事として注目されているのが地中海食です。そこで和食と地中海食、一般的な西洋食とを比較。和食も地中海食も伝統食のため、塩分が多いのが特徴です。その点では現代の西洋食の方が塩分は少ないのですが、なぜか和食と地中海食の方が心筋梗塞や脳卒中が少ないのです。それは、塩分を排出する果物や野菜をたくさん摂っているから。野菜や果物によってカリウムを大量に摂取でき、体内からナトリウムを排出しやすくなり、結果血圧が下がります。
和食は地中海食ほど野菜や果物を摂りませんが、代わりに大豆食品を食べるため、大豆に多いカリウム・マグネシウムが塩分(ナトリウム)の害を抑えてくれます。
それにイソフラボンが女性ホルモン様作用で食欲を抑制してくれます。また魚に含まれるヒスチジンも脳に入るとヒスタミンとなり、食欲を抑えます。

魚と大豆を食べるおかげで日本人は食べ過ぎを抑えられ、肥満にならずに済んでいるのです。和食のおかげで、脂肪の摂取量が少ない日本人は肥満度が低く、国別に並べると182番目になります。魚を食べ、大豆やナッツ類を食べる食事は、縄文時代から続く日本人の食の骨格であり、現代でも縄文時代の食事を日常的に食べられる国は日本以外にあまりありません。

伝統的に健康的な食文化に恵まれた日本。この恩恵や祖先たちの学びを活かして、日本人の健康寿命をこれからも延ばしていきたいですね!

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