アリババクラウド、企業向けにAI能力統合したサーバーレス・ソリューションを発表

LLMを活用し、グローバル顧客企業にカスタマイズAIアプリケーションの開発を支援

アリババグループのデータ・インテリジェンスの中枢であるアリババクラウドは本日、個人や企業向けにモデル展開と推論のためのコスト効率の高いソリューション、AIプラットフォーム-エラスティック・アルゴリズム・サービス（Platform of AI - Elastic Algorithm Service, 以下「PAI-EAS」）のサーバーレスバージョンを発表しました。



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また、アリババクラウドは、シンガポールで同社が主催した第1回のAI＆ビッグデータサミット「AIフォワード」で、データウェアハウス「ホログレス（Hologres）」、検索サービス「エラスティックサーチ（Elasticsearch）」、「オープンサーチ（OpenSearch）」を含む、より多くの製品にベクトルエンジン技術を新たに統合したことを発表しました。この統合は、企業が多様な大規模言語モデル（LLM）にアクセスし、カスタマイズされた生成AIアプリケーションを容易に構築できるよう支援します。

「PAI-EAS」プラットフォームのサーバーレス機能により、ユーザーは必要に応じてコンピューティングリソースを利用できるため、物理サーバーや仮想サーバーの管理や保守を行う必要がありません。さらに、ユーザーは使用したコンピューティングリソースに対してのみ課金されるため、従来の価格モデルと比較して推論コストが約50%削減できます。

現在ベータテスト中のサーバーレスバージョンは、画像生成モデルのデプロイメントへのアクセスを提供します。今年3月には、サーバーレスバージョンの機能を強化し、オープンソースの大規模言語モデル（LLM）やアリババのAIモデルコミュニティであるModelScopeのモデルのデプロイメントをサポートする予定です。これには、画像分割、要約生成、音声認識などのタスクに適したモデルも含まれます。

アリババクラウドは、LLMのサービス、トレーニングサービス、ベクターエンジン技術を活用して、LLMと外部知識検索を組み合わせた生成AI設計パターンのRAG（Retrieval-Augmented Generation）プロセスをサポートし、企業がLLMをナレッジベースで拡張して成果を向上させることを可能にします。これにより、企業は精度の向上や関連情報の検索の高速化、より精緻な洞察が可能になり、幅広いアプリケーションで効率性と意思決定能力の向上に貢献します。

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アリババクラウドインテリジェンスの最高技術責任者（CTO）の周 靖人（Jingren Zhou）は、「AIフォワード」サミットで、次のように述べています。
「アリババクラウドは、AIとクラウド技術の革新の最前線に立ち続けています。当社のテクノロジーアップデートは、効率とパフォーマンスを高める最新のインテリジェンス主導型ソリューションによって企業の能力を高めるという当社のコミットメントを強調しています。これは、多様なアプリケーションにおいてAIの可能性を再定義する革新的なソリューションを提供するという当社の使命において重要な前進を意味します。」

モデルトレーニングをより簡単に
アリババクラウドは、AI関連のコンピューティング・タスクにおけるデータ前処理とデータのオフライン・オンライン分析に対する需要の高まりに対応するため、ビッグデータ・サービスのアップグレードとして、分散Pythonデータ処理フレームワークである「MaxCompute MaxFrame」を発表しました。これにより、ユーザーはLLMトレーニングなどのAIタスクの立ち上げにおいて、大量のデータをより効率的かつ柔軟に処理できるようになります。

また、デザイナーの創造性を促進するために、アリババクラウドはモデルトレーニングと画像生成向けに包括的なプラットフォームである「PAI-Artlab」を発表しました。このソリューションにより、デザイナーはプロフェッショナルレベルのデザインを迅速に作成し、より大きな創造の可能性を引き出すことができます。

デザイナーはこのプラットフォームを活用して、インテリアのホームデザイン、製品の販促ポスター、ゲームのキャラクター作成、ゲームシーンの開発など、さまざまな用途のデザイン画像を生成することができます。また、このプラットフォームは、すぐに使用できるツールの豊富なエコシステムを提供しており、コーディングの知識がないデザイナーでも、特定の要件に合わせた画像を生成するカスタムモデルを開発し、トレーニングすることができます。現在、このプラットフォームは中国本土で稼働しており、今後数カ月でシンガポール地域にも提供する予定です。

昨年の取り組みとして、アリババクラウドは、クラウドネイティブデータベースのPolarDB、クラウドネイティブデータウェアハウスのAnalyticDB、クラウドネイティブマルチモデルデータベースのLindormなど、データベースソリューションの全シリーズを強化し、独自のベクトルエンジン技術を統合してパフォーマンスと機能を大幅に強化しました。

ベクトルエンジンは、テキストやデータを高次元空間に変換し、大量の構造化・非構造化コンテキストを複雑かつ効率的な方法で埋め込むことで、AIのパフォーマンスを最適化します。これにより、類似比較や意味解析などのタスクが容易かつ合理化され、特にLLMに大きな恩恵をもたらし、さまざまな高度なAI機能の実現を促進します。

顧客の成功を支援
大企業からスタートアップまで、多岐にわたるグローバル企業がアリババクラウドの最新テクノロジーを利用し、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。

アリババクラウドの大規模言語モデル（LLM）である「通義千問（Tongyi Qianwen）」と「Retrieval-Augmented Generation（RAG）」のテクノロジーの機能を活用し、コンシューマーヘルスケアに特化する企業であるヘイリオン（Haleon）社は、中国の消費者向けに専門のAI栄養士を提供しています。このAIを搭載した栄養専門家機能は、消費者からの問い合わせを的確に解釈し、ユーザーに包括的かつ効率的な価値ある栄養指導を提供します。通義千問の堅牢な機能とHaleon社が持つ広範な栄養知識ベースの統合により、AI栄養士は正確性と関連性において高い性能を発揮します。

ヘイリオン社のデジタル＆テック事業部グローバル・バイス・プレジデントであるシバニ・サイニ（Shivani Saini）氏は、ヘルスケア領域におけるデジタル・イノベーションの重要性について、次のように述べています。
「医療業界でのデジタルサービスがますます重要になる中、アリババクラウドと協力して人工知能の可能性を活かすことは、中国の消費者に個別に健康アドバイスを提供するという当社の取り組みを反映しています。当社の目標は、お客様の食事や栄養管理を強化するために必要なツールを提供することです。」

他方で、日本語処理に優れた事前学習済み基礎モデルの開発に特化した日本のスタートアップ企業、rinna株式会社は、最新の日本語継続事前学習モデル「Nekomata」の提供を開始しました。この新モデルは、アリババクラウドが開発したオープンソースの大規模言語モデル (LLM)、通義千問（Tongyi Qianwen）LLMのQwen-7BとQwen-14Bをベースにしています。Nekomataシリーズは、Qwenシリーズの語彙サイズを活かし、Nekomataモデルは同社がLlama2アーキテクチャをベースに開発した初期のシリーズと比較して、日本語テキストをより高い効率で処理できます。また、このモデルは、日本語モデル能力を評価するベンチマークである「Stability-AI/lm-evaluation-harness」において、卓越した性能を示しました。

rinna株式会社のAI Scientistである趙 天雨（Tianyu Zhao）氏 は、以下のように述べています。
「当社は、アリババクラウドのLLMの能力に感銘を受けました。このLLMは、費用対効果の高い方法で当社のモデルのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。アリババクラウドのオープンソースコミュニティへの貢献は、他の中小企業や新興企業がAIイノベーションを加速する手助けになると信じています。」

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アリババクラウドの国際事業担当プレジデントであるセリーナ・ユアン（Selina Yuan）は、次のように述べています。
「当社のグローバルな顧客からは、AIテクノロジーに対する需要が高まっています。アリババ独自の言語モデルをオープンソース化することで、強力なコンピューティングソリューションと先端のAIイノベーションを提供し、お客様が独自の課題に対処するためのカスタマイズされたジェネレーティブAIアプリケーション開発をサポートしダイナミックなジェネレーティブAI分野から生まれる機会の波を活かせるように準備しています。」

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