室内飼育しているペット用マットなどの布製品に付着した“菌”は抗菌成分配合仕上げ剤で抗菌・除菌できることを確認~ペットまわりの布製品の衛生状態に関する研究~

プレスリリース発表元企業:ライオン商事株式会社

配信日時: 2015-02-13 14:30:00

 ライオン商事株式会社(代表取締役社長・榊原 健郎)は、この度、東京農工大学農学部獣医学科 林谷 秀樹准教授と共同で、室内飼育しているペット用マットをはじめとするペットまわりの布製品の衛生状態について研究した結果、これらの布製品に付着した菌は、抗菌成分としての働きをもつ、構造の異なる複数のカチオン性化合物を配合した仕上げ剤で抗菌及び除菌できることを確認しました。


1.研究の背景
 ペットを室内で飼育することは一般的になっており、犬オーナーの81%、猫オーナーの86%が主に室内で飼育しています(2014年 一般社団法人ペットフード協会調査)。
 室内飼育では、ペットとオーナーとのスキンシップによりヒトとペットが接する機会が多いため、菌を原因とするニオイの悩みだけでなく、各種感染症など“見えない脅威”に対する不安を抱えているペットオーナーがいます(2014年 当社調査)。
 当社は、2014年にペットまわりの布製品の衛生状態の研究を通じて、それらの布製品から通常の生活環境レベルを著しく上回る一般細菌や真菌(カビ)を検出しています。その中に、犬や猫の口腔内に常在する病原菌の一種である、パスツレラ菌も検出いたしました(*1)。パスツレラ菌は、咬み傷などの傷口からヒトに感染した場合、患部が著しく腫張して化膿したり、肺炎を起こすこともある菌であることが知られています。
 また、2001年には「人と動物の共通感染症研究会」が発足し、動物由来感染症の発生予防とその蔓延防止のため、医学、獣医学など複数の専門分野の研究者による研究がスタートしています。

 ペットとともに暮らしていく上で重要なことは、ペットからヒトに感染する病気に関する正しい知識を持ってペットに接すること、そしてペットを飼育する環境を清潔に保つことです。
 また、室内飼育しているペットオーナーは、室外飼育オーナーと比較してペット用マットや毛布などの布製品の洗濯頻度が高く、「見える汚れだけではなく、見えない菌もしっかり落としたい」と衛生状態に対して強い関心を抱いていることがわかりました(2014年 当社調査)。

 そこで当社は、ペット用布製品に付着した菌への対策を、“洗濯行動”において行う技術開発を東京農工大学と共同で進めてまいりました。

*1:『イヌ・ネコの飼育環境に関する衛生学的研究』
日本獣医内科学アカデミー 第10回記念学術大会(2014年2月7~9日 パシフィコ横浜)にて報告済


2.研究の概要
2-1) 洗濯行動で抗菌効果を発揮する技術として、構造の異なる複数のカチオン性化合物の菌に対する発育抑制効果を確認

 衣料用仕上げ剤に広く用いられているカチオン性化合物に着目して検討した結果、構造の異なる複数のカチオン性化合物を仕上げ剤に配合することで、実使用相当の濃度において、菌に対して発育を抑制する効果があることを確認しました(図1)。
 尚、評価に用いた菌種は、一般細菌及びヒトと動物の共通感染症の原因菌の代表的な菌であり、また本実験は東京農工大学で実施しました。

<実験方法>
 抗菌成分配合仕上げ剤を段階的に希釈して各菌液と混合し、18時間培養後に菌の増殖を確認

(図1)
http://www.atpress.ne.jp/releases/57147/img_57147_1.jpg


2-2) 洗濯時の“すすぎ時”に除菌効果を発揮する技術として、2-1)の抗菌成分を配合した仕上げ剤が効果を発揮することを確認

 2-1)の抗菌成分を配合した仕上げ剤の実使用相当の濃度において、当社がペットまわりの布製品から検出したペット特有の菌のひとつであるパスツレラ菌について評価したところ、処理前と比較して菌数が1000分の1未満に減少したことから、除菌効果を発現することを確認しました(図2)。尚、本実験は東京農工大学で実施しました。

<実験方法>
 パスツレラ菌の菌液を抗菌成分配合仕上げ剤の実使用相当の濃度で5分間処理

(図2)
http://www.atpress.ne.jp/releases/57147/img_57147_2.jpg


 以上の結果より、洗濯のすすぎ工程で使用する仕上げ剤に構造の異なる複数のカチオン性化合物を配合することで「菌の発育抑制効果及び、除菌効果」があることを見い出し、さらにペット特有の菌のひとつである、パスツレラ菌に対しての抗菌及び除菌効果を確認いたしました。

 当社は今後、本研究より得られた知見を応用し、ペットまわりの布製品の菌対策製品の開発を進めてまいります。

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