文字の読み書き困難がある人に読みやすい「じぶんフォント」の有効性を確認
配信日時: 2023-09-01 10:00:00
多様な読み書き特性に配慮した「じぶんフォント」が、実生活における文章読みにも効果を発揮します
ファシリティジャポン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:イヴ コルニュ、以下 ファシリティ)が参加している「じぶんフォントプロジェクト」(以下 本プロジェクト)において、大日本印刷株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:北島 義斉、以下 DNP)と国立大学法人東京工業大学(以下 東工大)は、文字の読み書き困難を抱える人々に対して、開発された「じぶんフォント」の有効性を実証する重要な進展がありました。この成果についての詳細な結果をお知らせいたします。
2022年以降、本プロジェクトでは、多様な読み書き特性を有する個々の人々を含めたインクルーシブな読字環境の創出を目指し、読み書き困難を抱える人々(発達性ディスレクシアを含む)にも適切に配慮した「じぶんフォント」の開発と社会実装に取り組んできました。この取り組みの一環として、書体の主観的な読みやすさと個人の読み書き特性の関係を解明するための調査を実施しました。その結果、読み書き困難の症状を抱える人々のうち、「じぶんフォント」が最も読みやすいと回答した割合が約49%であり、一方で読み書き困難の症状がない人々のうち、同様の回答をした割合は約37%でした。これにより、「じぶんフォント」の有効性が、特に読み書き困難を抱える人々において確認できました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/43719/13/resize/d43719-13-23794fd896bbabe8df0a-0.png ]
調査した画面のイメージ
(左:「じぶんフォント」の1種「はっきりまるご」、右:明朝体)
【調査の目的と概要】
発達性ディスレクシアは、知的能力や教育環境に問題がないにも関わらず、文字の読みにくさがみられる学習障がいです。日本では学齢期児童の約8%*1、英語圏では約10~15%*2にこの症状が見られるとされています。これに鑑み、DNP・東工大・ファシリティ・株式会社リアルタイプの4団体は、2022年に、個々人に合った読みやすい書体が存在するという仮説に基づき、「じぶんフォント」のプロトタイプを開発しました。そして、今回の調査により、異なる読み書き特性を持つ人々にとっての主観的な読みやすさに関する傾向を明らかにしました。
○調査方法 : 「じぶんフォント」公式サイトでの匿名調査
○調査内容
書体の主観的な読みやすさに関する一対比較(「じぶんフォント」3種、丸ゴシック体1種、明朝体1種、角ゴシック体2種の計7種類の書体を2つずつ比較し、主観的な読みやすさの順位を評価)
読み書き特性に関する質問票
○調査期間 : 2022年9月26日-2022年11月18日
○有効回答数 : 5,180件(総回答数:5,189件)
○詳細な調査結果は、「じぶんフォント」の公式サイトでご覧いただけます。 https://www.jibun-font.com/survey-report.html
[画像2: https://prtimes.jp/i/43719/13/resize/d43719-13-661bb5fdf98e755e30fe-1.png ]
【主な調査結果】
1.読み書き困難者にとって「じぶんフォント」の読みやすさが高く評価される
「読み書きを苦手と感じ、かつ文字が動いて見えるなどの視覚的な症状がある」グループ(回答数408件)において、「読み書き困難がない」グループと比較して、書体の読みやすさに関する興味深い傾向が見られました。具体的には、「明朝体」が読みやすいと感じる人は少なく、「じぶんフォント どっしりまるご」と「じぶんフォント すっきりまるご」を読みやすいと感じる人が多数でした。また、「じぶんフォント(3種類)」を読みやすいと回答した割合は、同グループ内で49%(回答数200件/408件)となり、一方で読み書き困難のないグループ内の37%(回答数1,022件/2,706件)を上回る結果が得られました。これらの結果は統計的にも有意性が高いことが確認されています。
以上の調査結果から、読み書き困難の視覚的な症状を抱える人々には、文字に丸みがあり抑揚が少ない(太さが一定の)書体、文字の底辺が安定しており重心が分かりやすい書体が、より読みやすい可能性が示唆されました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/43719/13/resize/d43719-13-99af6d7c7f55ada8ee38-2.png ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/43719/13/resize/d43719-13-b7a9e0b29bb021b7079d-3.png ]
2.「じぶんフォント」の「はっきりまるご」は、約25%の人が読みやすいと評価
読み書き困難の有無に関わらず、全体の回答数5,180件のうち約25%の人が、調査で使用された7つの書体の中で「じぶんフォント はっきりまるご」を最も読みやすいと評価しました。この結果は、1位となった丸ゴシック体の約35%に次ぐ結果であり、多くの人にとって読みやすい書体として評価されました。さらに、3種類の「じぶんフォント」を合わせると、約40%の人が最も読みやすい書体と評価しています。
[画像5: https://prtimes.jp/i/43719/13/resize/d43719-13-0a2a788c65873ea2958b-4.png ]
【今後の展開】
ファシリティは引き続き本プロジェクトに参加し、今回の調査結果がより実生活に近い環境で文章を読む場面でも確認できるか、実証実験に協力して参ります。また、ファシリティは「FACIL'iti」(ファシリティ)というインクルーシブなウェブサイト実現のためのソリューションを提供しており、FACIL'itiを導入しているいくつかのウェブサイト*3ではすでに「じぶんフォント」をテスト実装し、ウェブサイトのユーザーが「じぶんフォント」にフォントを変更してウェブサイトを利用することができます。これにより、引き続きインクルーシブなデジタル社会の実現を目指して、その有効性を確認してまいります。
*1 Uno, A., Wydell, T. N., Haruhara, N., Kaneko, M., & Shinya, N. (2009). Relationship Between Reading/Writing Skills and Cognitive Abilities among Japanese Primary-school Children: Normal Readers Versus Poor Readers (Dyslexics). Reading and Writing, 22(7), 755-789.
*2 Vellutino, F. R., & Fletcher, J. M. (2005). Developmental Dyslexia. In M. J. Snowling & C. Hulme (Eds.), The Science of Reading: A Handbook (pp. 362-378). Blackwell Publishing.(p. 363)
*3 トップページの「見やすさ・使いやすさの調整」で、Webサイトの表示体裁をユーザーごとに設定できる「 FACIL'iti (ファシリティ)」を立ち上げ、「カスタマイズ作成」のフォント選択メニューから「じぶんフォント」を選択して利用。
・DNPビジネスパートナーズ → https://www.dnp.co.jp/group/dnp-businesspartners/index.html
・NTTドコモ → https://www.docomo.ne.jp/
※記載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
※記載された製品の仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
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