台湾メーカーの電池、空飛ぶクルマ・ハイパーEV・蓄電池電車に採用<ワイズ機械業界ジャーナル2023年3月第5週号発行>

プレスリリース発表元企業:威志企管顧問股イ分有限公司(ワイズコンサルティンググループ)

配信日時: 2023-03-30 09:50:00

~台湾機械・エネルギー・電子・自動車業界の最新動向を分析する~

ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2023年3月第5週号を発行しました。今週号ではエネルギー業界、金型業界、電池業界と台湾製造業のESG対応の動向を紹介します。



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<最新号目次>


台湾再生可能エネルギー産業の2022年Q4振り返りと産業動向
台湾金型産業の2022年振り返りと2023年の展望
台湾メーカーの電池、空飛ぶクルマ・ハイパーEV・蓄電池電車に採用
台湾製造業メーカーのESG対応


<台湾メーカーの電池、空飛ぶクルマ・ハイパーEV・蓄電池電車に採用>
リチウム電池の世界生産額がPC超えへ、台湾の大手企業が参入
 コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、電気自動車(EV)などの電動車両やエネルギー貯蔵施設の需要拡大に伴い、リチウムイオン電池の世界生産額は今後8年間、年平均30%増加し、2030年に4000億米ドル以上となる見通しだ。現在のパソコン世界生産額を80%上回る規模だ。台湾ではここ2年間、多くの企業がリチウムイオン電池の原材料、電池セル、電池モジュールの分野に投資しており、▽セメント最大手の台湾水泥(台湾セメント、TCC)、▽鴻海精密工業、▽台塑集団(台湾プラスチックグループ)、▽台湾中油(CPC)の投資額だけで計430億台湾元に上る。

 台湾の電池産業は過去25年間、主にノートPCや携帯電話向けの製品を手掛け、投資ブームが2度あったものの、技術力や価格競争力不足で10年にもわたって低迷していた。

 台湾の電池サプライチェーン(供給網)は川上の材料、川中の電池、川下の電池モジュールに大別できる。材料のうち、コスト比率が高く、電池の性能を大きく左右する正極材、負極材は台湾立凱電能科技(アドバンスド・リチウム・エレクトロケミストリー、Aleees)やCPCが手掛けている。電池は▽台湾セメント傘下の能元科技(E-One・モリ・エナジー、モリセル)、▽有量科技(アミタ・テクノロジーズ)、▽台塑新智能科技(フォルモサ・スマート・エナジー・テック)が製造しており、3社とも今後2年以内に新たな生産ラインを稼働する予定だ。電池モジュールは台湾が強みとする分野で、年間売上高が900億元を超える世界最大手の新普科技(シンプロ・テクノロジー、SMP)が代表的なメーカーだ。
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市場拡大・脱中国化で台湾メーカーにチャンス
 EV用電池市場は現在、▽中国の寧徳時代新能源科技(CATL)、▽比亜迪(BYD)、▽韓国のLGエナジーソリューション、▽SKオン、▽パナソニックの大手5社が計70%以上のシェアを握る寡占状態だ。工業技術研究院(工研院、ITRI)材料・化工研究所(材化所)の担当者は、市場が拡大し、サプライチェーンの脱中国化も進む中、台湾メーカーには長年蓄積してきたノウハウもあり、シェア拡大が可能だと指摘した。携帯電話、ノートPC向けのリチウム電池使用量は年間で計100ギガワット時(GWh)未満だったが、▽自動車、▽船舶、▽軍事設備など向けの需要増により、リチウム電池使用量は30年に3300ギガワット時へと33倍以上に拡大する見通しだ。
 また、現在はEV用電池の大手上位10社のうち、6社が中国メーカーで、中国メーカーの支配力が強まっているため、欧米などのEVメーカーは中国以外のメーカーからの電池確保を進めている。
 さらに、自動車の大手ブランドを有する日本と韓国の電池メーカーは、自国内に工場を建設し、自国の顧客向けの供給を優先する傾向があるが、自動車の大手ブランドが存在しない台湾の電池メーカーは海外市場の開拓に注力できる。

能元科技の電池、空飛ぶクルマやハイパーEVに採用
 能元科技は電池開発・生産を25年手掛けてきた。23年にはEV用などのハイエンド電池を製造する生産能力1.8ギガワット時の高雄工場(小港区)を稼働する予定だ。能元科技の電池は▽電動オフロードバイク、▽電動ウエイクボード、▽「空飛ぶクルマ」と言われる電動垂直離着陸機(eVTOL、イーブイトール)や、価格7000万元で世界最速のEVハイパーカー「リマック・ネヴェーラ」にも採用されている。

有量科技、タイEAの電動バスや蓄電池電車向け供給
 創業23年を迎える有量科技は、17年にタイのエネルギー大手、エナジー・アブソルート(EA)から出資を受け、昨年、タイで生産能力1ギガワット時の電池セル工場を稼働した。EAの時価総額は台湾元換算で2500億元以上。有量科技の株式60%以上を保有している。
 有量科技はタイ工場の電池生産能力を23年末に2ギガワット時まで拡大する計画だ。生産能力50ギガワット時の工場建設も予定している。EAの電動バスや電動フェリー、蓄電池電車向けの需要増に対応するためだ。
 EAは昨年、バンコクに電動バス1250台、バンコクを南北に流れるチャオプラヤー川に電動フェリー26隻を導入し、今年1月にはグループ初の蓄電池電車の試験運転を開始した。いずれも有量科技のタイ工場で生産する電池を採用している。EAは今後も電動バス、電動フェリー、蓄電池電車の導入を拡大する方針だ。

安定した量産とリチウム確保が鍵
 台湾の電池メーカーには量産の安定性と重要原料リチウムの安定した供給確保という2つの点でリスクがある。
 東芝やカネカなどの日本企業に電池を供給する格斯科技(GUSテクノロジー)は、4月に台湾で生産能力1ギガワット時の工場を稼働する予定だ。張忠傑・董事長は、少量生産した製品の品質は顧客に高く評価されているものの、1ギガワット時級の量産には依然課題があると指摘。顧客から海外での合弁工場建設を打診されているが、台湾工場の量産、出荷が安定してから検討すると説明した。
 顧客の中でも、特に自動車メーカーは車両の安全性を確保するため、電池メーカーに対して高いレベルの安定した品質を求める。年内に生産能力1ギガワット時以上の生産ラインを稼働する▽格斯科技(GUSテクノロジー)、▽能元科技(E-One・モリ・エナジー、モリセル)、▽台塑新智能(フォルモサ・スマート・エナジー・テック)、▽鴻海(フォックスコン)にとっては、中国、日本、韓国の同業と同水準の品質を確保できるかが最大の試練となる。
 また、台湾の電池メーカーの中では、台塑グループのみがリチウム鉱山やリチウム精製所の確保に努めたり、リサイクル技術に投資したりしてリチウムの安定した供給を確保しようとしている。
 台湾の電池メーカーが中国、日本、韓国メーカーの寡占状態を打ち破るには、十分かつ安定したリチウムの供給確保も重要で、今後2年が鍵となるだろう。

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