アルコール検知器は本当に新型コロナウィルスを拡散する「危ない」機器だったのか?アルコール検知器の消毒受託件数と新型コロナウィルス感染者数の関係性、最後のレポート2023年3月版

プレスリリース発表元企業:東海電子

配信日時: 2023-03-17 09:46:17

3年間、654件の消毒依頼件数のうち、アルコール検知器の2次感染・拡大の可能性を示唆されたのは 2 件のみという結果に。

アルコール検知システム、IT点呼システム、運行管理システムを開発・販売する東海電子株式会社(本社:静岡県富士市 代表取締役 杉本 哲也)は、この度、新型コロナウィルスの感染者発生事業所へのアルコール検知器引取消毒サービスの最終レポートを公表致します。



1.アルコール検知器は本当に新型コロナウィルスを拡散する「危ない」機器だったのか?
当社は2020年4月から、アルコール検知器をお使いの企業様に対し、新型コロナウィルスの感染発生時について重要なお願い(注意喚起および消毒サービス提供)をさせていただいておりました。

2020年5月1日 当社ウェブサイト掲載 “検知器使用者が新型コロナウィルス感染者だと判明したら”
https://www.tokai-denshi.co.jp/app/usr/topics/file/528_20200501194535_topic_file.pdf

本サービスは、契約ユーザに限り、感染発生時速やかに使用していたアルコール検知器引取り、消毒を行って返却するサービスでした。これは、感染者が使用したアルコール検知器の物理的な処置に困っている事業者様に対し、二次的な接触感染の可能性を排除する意図、及び、アルコール検知器が二次感染やクラスターの原因になっていないかをメーカー責任としてモニタリングする意図、両方を兼ねていました。この3年間、このようなフィールドワークのレポートを発信してきたアルコール検知器メーカーは当社のみでありますが、何よりお客様の情報提供のご協力があってこそ、このような一定の結果を共有することが出来ました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/70819/162/resize/d70819-162-6d81933690f99605f07b-0.png ]

2.3年間の消毒件数と、新型コロナウィルス感染者数の相関について
約3年間で依頼を受けた消毒件数は、654件でした。結果的には、2022年夏のオミクロン株からBA5への置き換え流行ピーク時に消毒件数が過去最多となりました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/70819/162/resize/d70819-162-016615c900af0732bbf8-1.png ]

感染者数の推移(月間)と消毒(月間)を重ねてみると、ほぼ第X波と一致しています。
しかしながら、アルコール検知器を使用していない企業群の情報がないため、緑ナンバー・白ナンバー等アルコール検知器使用業界だけが特別多いとも、少ないとも言えません。言えるのは、とある業種のとある職場で認知された感染者数は、日本全国全数の感染者数の総計と相関しているようだ、ということだけです。
出典:新型コロナウィルスの感染者数データは厚生労働省のサイトから。当社が月間数に換算。
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html

3.アルコール検知器使用業界、業種ごと 3 年間の消毒件数実績
当社の検知器ユーザは、トラック業が最も多いことから、必然的にトラックが最も多いという結果となりました。そして、昨今の白ナンバー義務化・法制化動向により、運輸業以外の一般企業の事業所からの消毒依頼件数が一気に増え、2番目に多いという結果となりました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/70819/162/resize/d70819-162-7dddff701b9010ea40f3-2.png ]

4.設置型アルコール検知器が危なくて、個人持ちが危なくないのか?
多人数共用型のアルコール検知器は、コロナウィルス感染拡大の原因になるのではないかとの懸念から、使用停止する企業様が一定数いました。しかし結果的には、携行型(モバイル型)のアルコール検知器、どちらでも発生しておりました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/70819/162/resize/d70819-162-820d8b8f2f66d18d1554-3.png ]

この事実は、ひとり一台・携行型アルコール検知器を使用する運用であったとしても、検知器以外の感染ルートが当然あり得る(個人の行動次第)ということを意味する一方で、携行型アルコール検知器を使用することで多人数共用型を使用する機会を減らし、二次感染の可能性を低くできたのではないかというプラスの仮説立ても可能です。いずれにせよ、個人持ち・携行型にしてから安心、という油断・過信は禁物であるというのが、3年間の総括です。

5.鳥取県のアルコール検知器使用事業所でのクラスター事案
2022年3月中旬、鳥取県のとある事業所で、アルコール検知器を使用している場所で、かつ、換気が悪いと思われる環境で数人の感染者が出たとの報道がありました。
https://transport-safety.jp/archives/11489
このようなことは十分ありえました。

実際、消毒依頼時にいただいているアンケートのうち、3年間で2件だけ、このような、アルコール検知器の設置や供用環境、かつ、換気の状況が原因で二次感染が出た「かもしれない」という報告がありました。
ただし、これは、保健所や行政機関による科学的な調査ではなく、アルコール検知器を使用している現場管理者の方々の感覚・主観ではあります。
[画像5: https://prtimes.jp/i/70819/162/resize/d70819-162-c60af6f2b523741674df-4.png ]

当社顧客数(2万企業)、3年間、654件のうち、アルコール検知器の2次感染・拡大の可能性を示唆されたのは2件のみでした。3年間やってみての最終的な所感は
“もし、本当にアルコール検知器が媒介して「2次感染拡大」を誘発する事実があるとすれば、もっと多いのではないか?”
と言えます。

6.レポート公表の取りやめ、そして新・新・新型感染症が、もしまた起きたら?
この3年間、政府、国土交通省、トラック、バス、ハイタク等の運輸系業界団体のおかれましては、ガイドラインにおいて感染拡大(要因)の可能性を示唆し、かつ、個人持ちアルコール検知器の運用を推奨しながらも、実際アルコール検知器が、運輸事業所におけるクラスター発生の有無、クラスター発生時における呼気アルコール検知器の媒介の事実や可能性や事実について、調査を行った・公表した等の情報はありませんでした。前述3の鳥取県の公式報道のみが、唯一のケースでした。

さて、当社では、2020年4月 アルコール検知器と新型コロナウイルスに関する特設サイトを開設致しました。
<特設サイトURL>
https://lpfo.tokai-denshi.co.jp/breathalcohol-covid19

こちらを見ると、当時、社会がコロナというものをどう捉えていたかが感じ取れます。
今回のレポートをもちまして当社としては、いったん本調査(アルコール検知器の使用現場における消毒件数の調査)と、その内容の公表をやめることにします。理由としては、4つあります。

一、当社として十分な知見を得、かつ、その内容を顧客業界に十分共有させることができたこと
二、世界、国家、行政の感染データが不完全になりつつあること
三、顧客業界・運輸業界のガイドラインが、2020年4月当時とは違ってきていること
四、本調査やレポート公表をこれ以上続けると逆に「アルコール検知器は消毒が必要な危ないもの」という認識を、必要以上に強化しすぎるおそれがあること

約3年間、このように「アルコール検知器の臨床現場」とおぼしきレポートを発行して参りました。
が、「アルコール検知器を使っている事業所だからこそ、2次感染が増える」か否かは、次の調査をしないと真の実証とは言えません。

アルコール検知器利用事業所(白ナンバー・緑ナンバー)の感染(者)/630万事業所(*)
アルコール検知を利用していない上記以外の一般事業所の感染(者) /630万事業所 (*)
(*)https://www.stat.go.jp/data/e-census/2019/pdf/gaiyo.pdf

この方法は理論的には可能ですが、おそらく今後、政府、総務省、国交省、警察庁、厚生労働省等、どの行政もこのような調査をすることはないでしょう。

将来、「新・新・新型コロナウィルス」が発生したときにまた「アルコール検知器が媒介して感染者が増える」という議論が出てくると思われます。そのとき、アルコール検知器メーカーや業界全体が、根拠なく販売停止・営業停止にならないよう、しっかりと知見を集めてゆくことが重要だと考えています。

アルコール検知器使用企業様におかれましては、引き続き、各業界のガイドラインを参考にすることもさることながら、自社で成功した対策等、独自の知見も織り交ぜ、対策をしてゆくことになると思われます。特に、コロナ禍の折り、「対面」の概念が法的にかわり、いまや遠隔点呼も対面点呼扱いとなり、点呼態様の選択肢が増えました。
コロナ禍は終わったわけではありませんが、日本は国として、は 2月7日から実質、ウィズ&アフターコロナに入りました。ある意味、共生や終わりではなく、新・新・新型感染症に備えるはじまりとも考えられます。この3年間の運輸業界の経験は、遠隔点呼や自動点呼等ICTを活用した運行管理体制構築とは、働き方改革や人材不足ではなく、実はBCPであった、とも言えそうです。

【これまでのアルコール検知器の消毒受託件数と新型コロナウィルス感染者数の関係性レポート】
2023年09月版:https://transport-safety.jp/archives/14298
2022年03月版:https://transport-safety.jp/archives/11746
2021年12月版:https://transport-safety.jp/archives/10300
2021年09月版:https://transport-safety.jp/archives/8941
2021年05月版:https://transport-safety.jp/archives/5635

本件に関する問い合わせ先:東海電子株式会社 営業企画部
E-mail: kikaku@tokai-denshi.co.jp

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https://www.tokai-denshi.co.jp/app/exhibitions/index

■点呼機器及びアルコール検知器を開発・販売する東海電子は、
社会の「安全」「安心」「健康」を創造し、 社会に貢献する企業です。
東海電子コーポレートサイト:   https://www.tokai-denshi.co.jp/
東海電子公式 EC サイト : https://shop.tokai-denshi.co.jp/
東海電子メディアサイト : https://transport-safety.jp/

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