植物オイルと植物エキスによる毛髪成長促進効果を発見

プレスリリース発表元企業:日華化学株式会社

配信日時: 2023-02-15 11:05:41

-毛根を活性する育毛製品、スカルプケア製品の開発に期待-

日華化学株式会社 毛髪科学研究所(本社:福井県福井市文京四丁目23番1号 代表取締役社長 江守康昌、以下「日華化学」という)は、国立研究開発法人 理化学研究所 生命機能科学研究センター 器官誘導研究チーム(兵庫県神戸市中央区港島南町二丁目2番3号 辻孝チームリーダー、以下「理化学研究所」という)と共同研究を行い、特定の植物オイルと植物エキスの組合せが毛髪成長促進効果を有することを発見しました。




本研究のポイント

・髪のヘアサイクルの中で毛髪の成長期に毛根が脂肪層に潜り込む現象から、素材選定では油性成分に着目
・エゴマオイル・ルイボスエキスの組み合わせが育毛関連遺伝子の発現を促進し毛根活性化の機能を高めることを発見


研究の背景

不規則な生活やストレス等の社会環境、食生活の変化により、抜け毛や脱毛、細毛、薄毛の悩みは、壮年男性だけでなく世代や性別を問わず広がっており、育毛促進、脱毛予防等を目的とした頭皮頭髪用の製剤開発がますます期待されています。
日華化学では日本人の地肌と毛髪を40年以上にわたって研究し続け、あらゆる年齢の人に10代のような美しい髪を蘇らせるために基礎研究ビジョン「すべての人に10代の髪を生やす」を掲げ研究活動に取り組んでおります。毛髪の成長促進効果を有する機能性成分探索を目的として、毛髪再生研究に取り組む理化学研究所と共同研究を実施しました。


共同研究概要

 共同研究では髪のヘアサイクルの中で毛髪の成長期に毛根が脂肪層に潜り込む現象から、素材選定では油性成分に着目し、新たな育毛成分の発見を目指して成分探索を行いました。理化学研究所が保有する評価系によりα-リノレン酸を含むエゴマオイルなどの植物オイルやルイボスエキスなどの特定の植物エキスにおける毛幹長上昇の有意性を確認し、日華化学の育毛素材探索および機能性確認技術のノウハウを生かし検討を進めた結果、α-リノレン酸を含むエゴマオイルとルイボスエキスの組合せが、すでに育毛効果が確認されているミノキシジルやアデノシンと同等に毛髪の成長を制御する育毛関連遺伝子(※1,2)の発現を促進し、毛根活性化へと導く機能を高めることを発見しました(図1)。また、本研究成果から、日華化学と理化学研究所は共同で当オイル、当エキスの組合せの育毛効果において特許出願を行いました。
研究内容の詳細については「補足資料」をご参照ください。



今後の展開

日華化学では、本研究にて確認された成果を活かし、これらの組合せ成分を配合した多くの髪の悩みを抱える人々に向けた育毛商品、スカルプケア商品の開発を目指します。

[画像1: https://prtimes.jp/i/89007/7/resize/d89007-7-1471ef927c6f2f60f492-0.jpg ]


図1 植物オイルと植物エキスによる毛髪成長促進効果

※1 毛乳頭細胞から産出され、毛母細胞に作用し、毛母細胞の増殖・分裂を促すことで毛幹を成長させ、毛髪の太毛化を維持・促進させる細胞成長因子「FGF-7」
※2 毛乳頭細胞から産出され、毛母細胞の毛幹や内毛根鞘細胞への分化を担い、毛髪を抜けにくくする因子「Wnt10b」

■日華化学株式会社 デミ コスメティクス「毛髪科学研究所」について
毛髪科学研究所は、1984年に設立されてから約40年にわたり毛髪・頭皮の研究に取り組んでいます。日本人の毛髪・頭皮を科学的に分析・研究すると共に、薬剤や成分についても研究し、画期的な商品開発に繋げています。これまでに、ヘアケア剤、スタイリング剤、スカルプケア剤、ヘアカラー剤、パーマ剤などデミ コスメティクス独自の処方を数多く生み出してきました。 また、研究所内だけではなく各研究機関と共同研究、商品開発を実施したり、髪のスぺシャリストでもある美容師とも深く連携したりと、より良い商品をつくるため、深い探求を続けています。https://www.demi.nicca.co.jp/hair_labo/


【補足資料】研究概要詳細

1.本研究の概要
 本研究では、育毛に有効な素材の探索を目的として、理化学研究所が保有する評価系を用いた育毛成分のスクリーニング試験を行いました。さらに日華化学では、育毛効果を示した成分の作用機序の確認を目的とし、毛乳頭細胞における育毛関連遺伝子の発現確認と、これらの成分の組合せによる育毛関連遺伝子の発現促進効果の確認を行いました。また、組合せによってより高い育毛効果を示した2種類の成分を配合したエッセンスによるヒト頭皮塗布試験を行いました。

2.育毛素材のスクリーニングとその結果
 共同研究における育毛成分のスクリーニング試験は、理化学研究所が開発した生体モデル(毛周期長約20日の非臨床モデル)を用いて、毛幹伸長速度と最大毛幹長を測定することにより実施しました。毛髪のヘアサイクルの中で毛の成長期に毛根が脂肪層に潜り込む現象から、素材選定では油性成分に着目しました。
 スクリーニング試験を実施した結果、未塗布に比べて、ミノキシジル(既に育毛効果が確認されている)およびα-リノレン酸などを多く含む特定の植物オイルやルイボスエキスなどの特定の植物エキスにおいて最大毛幹長が有意に上昇することが明らかとなりました(図2)。
[画像2: https://prtimes.jp/i/89007/7/resize/d89007-7-e1b5f64a4f0335cb3122-1.jpg ]



図2 育毛成分のスクリーニング試験と測定結果

3.毛乳頭細胞における育毛関連遺伝子の発現促進効果の確認
育毛効果を示した成分の作用機序の確認と、これらの成分の組合せによる育毛関連遺伝子の発現促進効果の確認は、日華化学にてヒト由来毛乳頭細胞への成分添加試験にて行いました。検討の結果、無添加、ミノキシジル、アデノシンに比べて、α‐リノレン酸を多く含むエゴマオイルとルイボスエキスの組合せにおいて、毛乳頭細胞から産出され、毛母細胞に作用し、毛母細胞の増殖・分裂を促すことで毛幹を成長させ、毛髪の太毛化を維持・促進させる細胞成長因子の「FGF-7」の発現量は有意に増加し、毛乳頭細胞から産出され、毛母細胞の毛幹や内毛根鞘細胞への分化を担い、毛髪を抜けにくくする因子「Wnt10b」の発現量は増加傾向が認められました(図3)。
[画像3: https://prtimes.jp/i/89007/7/resize/d89007-7-87c9340ec881d78d9625-2.jpg ]


図3 毛乳頭細胞を用いた育毛関連遺伝子発現結果

4.育毛作用効果の確認
実使用における育毛作用効果の確認のためのヒト頭皮塗布試験は、日華化学にて組合せによってより高い育毛作用を示したエゴマオイルとルイボスエキスを配合した剤と、比較対照として未配合の剤で3か月間の塗布試験を行い、抜け毛数の確認と太さ計測を行いました。試験開始前の状態を100%として3か月後の変化量を算出した結果、未配合の剤を塗布した群に比べて、エゴマオイルとルイボスエキスを配合した剤を塗布した群において、有意な抜け毛数の減少と太毛化の傾向が確認されました(図4)。
[画像4: https://prtimes.jp/i/89007/7/resize/d89007-7-1c790ccf9502f64ea3d1-3.jpg ]



図4 ヒト頭皮塗布試験結果

5.本研究の結論と今後の展望
 本研究では、育毛に有効な素材の探索、育毛効果をもたらす成分の作用機序および育毛関連遺伝子の発現促進効果の確認を行い、植物オイルであるエゴマオイルと植物エキスであるルイボスエキスの組合せによって、毛髪の太毛化を維持・促進させるFGF-7と、毛髪を抜けにくくさせるWnt10bの発現量が増加することを発見しました。さらに本研究成果の育毛成分であるエゴマオイルとルイボスエキス配合したエッセンスによるヒト頭皮塗布試験の実施により、これらの成分に育毛および脱毛抑制の傾向が認められたことを確認しました。本検討結果により、毛根活性化へと導き、毛髪成長を促進する機能を付与するスカルプ製品の開発が期待されます。
日華化学では、この度の研究成果を活かし、抜け毛や脱毛、細毛、薄毛の悩みを抱える人々に向けたスカルプケア製品への開発に取り組んでまいります。

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