食育の日によせて 保育施設ならでは、子どもたちの「食べたい」気持ちを育てる食育活動とは?

プレスリリース発表元企業:株式会社コドモン

配信日時: 2022-07-19 10:00:00

食育の日によせて 保育施設ならでは、子どもたちの「食べたい」気持ちを育てる食育活動とは?


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食育の日によせて 保育施設ならでは、子どもたちの「食べたい」気持ちを育てる食育活動とは?


毎月19日は「食育の日」です。2005年6月に食育基本法が施行されて以来、保育園では様々な食育のための取り組みがなされてきました(※1)。2006年3月に出された食育推進基本計画においては毎月19日を「食育の日」と定め、一年を通じて継続的に食育の活動に取り組むよう推進しています(※2)。今回コドモンでは、2つの保育施設へのインタビューを通して、保育園ではどのような取り組みがなされているのか紹介していきます。さらに、保育園で子どもたちが食べる給食はどのように考えられ、作られているのか、現役の管理栄養士とコドモン給食チームとの対談を通してお伝えします。


※1 「食育基本法」平成17年6月
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC1000000063
※2 農林水産省「第4次食育推進基本計画 」令和3年3月
P.29食育月間及び食育の日の取組の充実
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/kannrennhou-24.pdf


「食育」とは?なぜ保育園では食育に取り組むのか


食事は空腹を満たすだけでなく、人間的な信頼関係の基礎をつくる役割もあります(※3)。そのため、乳幼児期の子どもたちが通う全国の保育園では、食育を推進するため様々な取り組みが行われています。その取り組みが「食育」です。食育とは、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものです。さらに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることとされています(※1)。「保育所における食事の提供ガイドライン」においても、乳幼児期からこうした食育に取り組むことが、子どもたちの心身の健全育成のために必要だと述べられています(※3)。
食育の方法に決まりはなく、どうしたら食を通して子どもの成長に寄与できるかを施設ごとに考え、進められています。
では具体的にどんなことをしているのか、2つの保育施設での取り組み事例をご紹介します。
※3 厚生労働省「保育所における食事の提供ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/shokujiguide.pdf


北国分駅前しゃりっこ保育園 管理栄養士 佐々木さまインタビュー


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北国分駅前しゃりっこ保育園


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管理栄養士 佐々木さま


北国分駅前しゃりっこ保育園(2~5歳児、50名程度) 管理栄養士 佐々木 香菜
実家が農家であり、幼い頃から豊富な食材が身近にある環境で育つなど様々な経験を通して管理栄養士となる。保育園での勤務歴は19年目を迎える。


■「好きのきっかけ」を作りたい。子どもが「やりたい!」と思ったタイミングを大切に。


━━ 食育のためにどのような取り組みをされているか教えてください。


基本的に子どもから出てきたことに応えること、そして子どもの興味関心が一番高いタイミングで「これやろう!」と実行することを大切にしています。
それまでは毎年同じ内容で取り組むことが多く変わり映えがないなと考えていたところ、調理師の方が専属で入ってこられました。そこから調理をお任せできるようになったので保育室で子どもと触れ合う機会も増えました。「給食の先生」ということが子どもたちに分かってもらえるようになり、「これやってみたい!あれ教えて!」という声が子どもたちから出てきて、子ども主体の食育に取り組むようになりました。


━━子ども発信の取り組み、素敵ですね! 中でも特に印象的だった内容を教えてください。


トウモロコシの皮むきをしたときに、「トウモロコシのひげでお茶を作りたい」という声が子どもからあがりました。私も初めての取り組みでしたが、担任の先生も「やろう!」と言ってくれて、作り方を調べるところから始めました。ひげを乾かして、煎じて、みんなで飲んでみる、という活動が印象に残っています。記憶に残った子どももいたようで、卒園のときに「トウモロコシのお茶飲んだよね」と言ってくれた子もいました。
他にも、芋掘りをしたときに干し芋にしたいというリクエストがありました。さらにその干し芋を水に戻したらまたサツマイモに戻るの?という疑問を持つ子がいて、干し芋を水につけたら元に戻るのか試したこともあります。取り組みの中で大人が学ばせてもらうことがとても多いですね。


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とうもろこしのひげ


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干し芋作り


━━子ども発信の食育に変えてから子どもたちの反応は変わりましたか?また、保護者の方からはどういった反応がありますか?


興味のある子や発案した子は飛びついてきます。子どもたちの間で口コミが広がってそこから興味を持つ子も出てくるようになりました。活動に使った食材を給食に出すと「これさっきやってたあの野菜だよね!」という子もいて、食への興味が増していると感じます。
「うちでもやってみたい!」という声がかかったら個別にお伝えし、反響が大きかった時には、給食だよりにレシピを載せて全体的にお知らせしています。中でもジャム作りが特に反響があり、夏みかんのジャム作りをみんなで一緒にしたこともあります。「お家でもイチゴでジャム作ったよ~」という声もあり、家庭での食育にも繋がっているようです。


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夏みかんのジャム作り


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夏みかんのジャム 試食の様子


━━ 佐々木さんにとって食育とは?大切にしていることや実現したいこと、今後取り組んでみたいことを教えてください。


食育は、出会いのきっかけ・好きのきっかけ作りだと思います。食べていくことは生きていくために欠かせないことなので自分で食材を選べる子になってほしいです。そのためには様々な食材を知っていたり好きじゃないと選ばないと思うので、出会いと好きのきっかけを作りたいです。最終的には季節に合わせて「夏になったね!この野菜食べたい!」といったような子どもからリクエストが出てくると嬉しいです。
今後やってみたいこととしては、クラスを超えてやりたい人みんなで取り組める環境を作ることです。その中で大人から子どもに教えるのではなく、年長さんが経験したことを年少さんに教えるなど子ども同士で教え合えるようになると嬉しいです。今後もきっかけ作り・タイミングを大切に取り組んでいきたいと思います。


コビープリスクールおおたかのもり 園長 三鍋さまインタビュー


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コビープリスクールおおたかのもり


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園長 三鍋さま


2003年に入社し、2011年より園長職を務める。コビープリスクールおおたかのもりの開園に伴い、2021年より現職。ICT保育を実践して注目を集めるほか、保育設備を活かした多彩な食育を展開する。


■ライブキッチン、こだわりの逸品など、ここでしかできない体験を子どもたちに


━━ 食育のためにどのような取り組みをされているか教えてください。


調理する手元を大型モニターで映し出して子どもたちの食への関心を高めたり、「こだわりの逸品」というオリジナルカレーの提供や食材の食べ比べをする企画を実施したり、野菜栽培を行ったりしています。テーブルマナーという点では、プラスチック製ではなくあえて陶器のお皿やガラスのコップを使って割らないように大切に扱うことや、ワンプレートにせず、いくつかお皿を用意してお茶碗を持って食べることを教えています。どの取り組みにおいても「体験」や「五感」を大切にしています。


━━ キッチンのライブ映像が映し出されるのは特長的な取り組みですね!


どんな風に料理が作られているのか4つのモニターに映し出し、子どもたちが見られるようにしています。家庭では台所は子どもたちの目線より上にあり、まな板や包丁を使っているシーンをなかなか見ることがないと思いますが、自分たちが食べるものが目の前で作られている様子に子どもたちは興味を持ちますし、「今日のごはんなに?」とガラスの扉越しに調理の先生に聞くようになりました。作ってくれる人がいるから食事が取れるということを伝えながら、従来だとあまり見えないキッチンをオープンにして、調理の先生と子どもたちの交流を大切にしています。


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ライブキッチンが映し出されるモニター


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調理師と子どもたちが会話する様子


━━ 毎日のメニューにはどういった工夫をされていますか?「こだわりの逸品」プログラムについても詳しく教えてください。


献立は月ごとに考えており、同じ月でメニューが重ならないようにするほか、毎月10品以上の新メニューが登場し、飽きのこないバラエティ豊かな食事を提供しています。3月には年長児のリクエストを取り入れることで、好きな味を卒園前にもう一度楽しめるようにしています。はんぺんチーズフライ、ハンバーグ、唐揚げ、オリジナルの「コビーカレー」、ちゃんぽんなど幅広くリクエストがきます。
「こだわりの逸品」は調理師たちが集まって毎回テーマを決めて試行錯誤する中で生まれたこだわりのものを提供しているプログラムで、10年以上前から続いています。先日はコビーグループがオリジナルに開発した水と水道水(白湯)との飲み比べをしました(※1)。その他にも塩や芋の品種の食べ比べや、出来上がりにこだわった調理方法の味の比較も体験しました。今度はお酢の味比べを予定しています。


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こだわりの逸品


※1 コビーグループが子どもたちのためにオリジナルに開発したミネラルウォーター「AQULIA for coby(アクリア)」と「水道水」の飲み比べ。


■食事は楽しく幸せになる時間。美味しいと感じる経験を大切に。




━━ 様々な取り組みをされる中で、保護者への働きかけも大切にしているのですね。


とても大切にしています。毎月の献立だよりに「Coby FUN FUN Cooking」というコーナーがあり、園のメニューから家庭でも再現しやすいレシピを記載しています。エントランスにも当日のメニューと実際の料理をディスプレイしています。当園には保護者さま向けのスペースがあるので、時には焼き菓子などのおやつを提供しご自由に食べていただけるようにしています。子どもたちが食べているものを知ってもらう機会も大切にしています。


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保護者向けレシピ「Coby FUN FUN Cooking」


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エントランスにディスプレイされているメニュー


━━ 三鍋園長にとって食育とは?大切にしていることや今後取り組んでみたいことを教えてください。


食育は、生きるために欠かせない「食を楽しむ体験」を重ねることだと思います。だから、子どもたちに「食事は美味しくて楽しくて幸せになる瞬間だな」と感じてほしいという思いがあります。美味しいと感じる体験を重ね、さらに、どうやって美味しく作られているのかを子どもたち自身も学んでほしいと思います。「美味しかった」という体験は「好き」に繋がる貴重な学びですので、特に大切にしています。今後は、子どもたちが自分たちで作ったり育てる体験をさらに増やしていきたいです。「食べさせられる」のではなく、自分たちから「食べたい」と思える環境作りをして、たくさんの食材や味を好きになってほしいです。


子どもたちの心と体の成長を願って コドモン給食チーム×北国分駅前しゃりっこ保育園 佐々木様 対談


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コドモン給食チーム×北国分駅しゃりっこ保育園佐々木様


子どもたちが食べる給食はどのように考えられ、子どもの成長に対しどのような想いを込めているのでしょうか。コドモンの給食チームと北国分駅前しゃりっこ保育園の管理栄養士佐々木さまとの対談を通してその秘密に迫ります。


■安心安全を考え、みんなが楽しめる食事を


━━ 日々の献立はどのように考えられているのか、詳しく教えてください。


佐々木さん


私はアレルギーがある子もない子も食事が楽しいなと思ってもらえる献立を作ることを心がけていて、アレルギー対応のための除去食が多くならないようにみんなで食べられるものを作るようにしています。あとは季節の野菜を多く取り入れて、家庭の食卓には並ばない食材もあるかもしれないので、子どもと食材の出会いのきっかけを作れるといいなと思っています。子どもが好きな定番メニューだけでなく、味付けが「大人向け」と言われる野菜独特の苦味や酸味を体験できるようにもしています。


森山


そうなんですね。私が保育園に勤めていたときは、アレルギーがある子は別メニューを提供していたので、「アレルギーがある子もない子も楽しめる」という佐々木さんのような考え方もあるんだなと思いました。


川口


たしかに、佐々木さんの考え方だと、食事を提供する保育士さんたちの心の余裕にも繋がりますね。


佐々木さん


そうですね。保育士さんたちは日々の保育に集中して取り組んでいるので、給食の時間は少しでも子どもたちと一緒に楽しい時間を過ごしてほしいなと思います。


━━ 献立を考えるサイクルはどのくらいですか?


佐々木さん


1ヶ月ごとに献立を考えています。前年度の同じ月の献立を参考に、子どもたちが食べたいメニューも取り入れるようにしています。


森山


毎回1ヶ月分の献立を被らないように考えるのは大変ですよね。



川口


ちなみに行事食や旬の食材などは、どう配慮しながら取り入れているのですか。


佐々木さん


「食べやすい」が一番配慮していることです。行事食はなぜその行事に合わせて食べるのかということを知ってほしいので、食べやすいメニューに変更した上でなぜこれを食べるかの説明をしています。例えば、「お月見はお団子を食べるよ」というのを伝えつつ、白玉粉の代わりにじゃがいもで作ったお団子を使ったりと、特別なメニューでも安心安全を考慮しています。


━━ ありがとうございます!子どもたちにどのように成長してほしいと考えているか、それぞれの想いを教えてください。


森山


私たちは給食や食育などの「食」を通して子どもたちと関わっていますよね。佐々木さんは食を通して保育園の子どもたちにどのような体験をしてほしいと思いますか?


佐々木さん


そうですね。私は子どもたちの「好きのきっかけ作り」を大切に考えています。給食ではじめて出会う食材やメニュー、味付けもあると思うので、その中で好きなものを増やしていってほしいなと思っています。給食を通して子どもから大人にも発信してほしいです。


川口


「好きのきっかけ作り」という言葉、すごく素敵ですね!


森山


今日はお時間いただき、ありがとうございました!私たちは今は現場を離れている立場ではありますが、佐々木さんと同じように子どもの成長を願っています。今後も現場で働く管理栄養士・栄養士をはじめとした給食に携わる方たちがもっと働きやすい環境を作れるようお手伝いをしていきたいなと思っています。


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