富士ソフトの指摘について3Dが見解を発表

プレスリリース発表元企業:3D Investment Partners Pte. Ltd.

配信日時: 2022-03-02 16:00:00

富士ソフトの指摘について3Dが見解を発表

3Dは富士ソフトとの過去のコミュニケーション過程を正確に伝えるため、その概要を開示

(東京)-(ビジネスワイヤ) -- 3D Investment Partners Pte. Ltd.(3D OPPORTUNITY MASTER FUNDと総称して 、以下「3D」もしくは「当社」)は本日、富士ソフト株式会社(以下「富士ソフト」)(9749.T)の2022年3月1日付開示資料「株主提案等に対する当社取締役意見に関する補足説明」(以下「本件開示」)を受けて、下記の通り公表いたします。

富士ソフトは、本件開示において、当社と行ってきたこれまでの対話に関して、「2021年6月には、創業家の保有する株式の生前贈与と併せて3D様の資金で全ての株式を取得するMBOにより非上場化を行い、保有不動産を私募REITに移転することで創業家に収入をもたらした後に再上場をするスキームの提案も頂いております。本提案につきましては、必ずしも3D様以外の少数株主様の利益とならないこと、保有不動産は当社のコア事業に必要であり個人の利益に転嫁することは望んでいないこと等から、お断りをする旨を2021年6月29日開催の取締役会に報告しております。このような経緯も踏まえまして、株主提案の候補者2名は、いずれも提案株主と同一の投資グループに属する関連法人(3D様)のCEOまたは特別顧問でもあり、必ずしも客観的な中長期の企業価値向上の観点ではなく、特定の株主の利益代表になりえる可能性を危惧しています。」と開示しています。
しかし、上記の内容は、これまで当社が富士ソフトと行ってきた対話の一部のみを誤った評価を交えて言及することで、当社が自らの利益のみを追求しているかのように印象付けることを意図するものであり、当社が富士ソフトの経営陣に対して行ってきた、富士ソフトの企業価値を高めるための具体的な提案には触れていません。
そこで、当社が富士ソフトと行ってきた対話について、正確にお伝えするため、その概要を公表いたします。

まず、2020年3月、当社は書簡「貴社の成長戦略に関する御提案」を送り、富士ソフトの企業価値には多大なる成長余地があること、しかしそのためには資本配分方針に課題があり、コア事業に集中的に資金を投じるべきであることを提案しました。

その後、「企業価値・株主価値一般と貴社経営の問題点についての私どもの基本的な考え方」「坂下社長宛ディスカッション資料」「ROE経営について」等の書簡、資料を通して、ROEや営業利益率が競合比で著しく劣後していることなどの問題を提起し、また、営業利益率の向上、プロフェッショナルCFOの活用、企業価値に連動した報酬等の導入による株主とのインセンティブ・アラインメントなどを通し、ROE向上を通した複利的な企業価値の成長を目指すべきであると訴えてきました。

しかし、それらの提案に対し、富士ソフトの事業方針・開示方針に何ら変化が見られないことから、当社として、創業家の意向が色濃く経営に反映されており、創業家、経営陣、従業員、株主のインセンティブが揃っていないことが本質的な問題なのではないかとの結論に達しました。

そこで、当社は、創業家、経営陣、従業員、株主のインセンティブを揃える上で、文字通り皆が株主となる、MEBOが最も優れたインセンティブスキームになり得るのではないかと考えました。その後数か月を費やし、元従業員の方々へのインタビューや税務スキームなどを詳細に分析した上、「創業家・経営陣・従業員の皆様による株式非公開化の御提案」と題する資料を作成しました。当該資料3ページ目「根底にある考え方」に記載していた通り、その基本的な発想は「株主とのインセンティブの一体化による企業価値向上」を目的としたものでした。

「創業家・経営陣・従業員の皆様による株式非公開化の御提案」3ページ目抜粋

1  株を組織の絆にする
株式を非公開化。特別目的会社を設立し、創業家、経営陣と従業員の皆様で株を保有します。ともに価値をつくり、ともにその成果を享受するというチーム関係をつくることで、強い絆で結ばれた共栄的な企業環境へと変革します。2  成長を、従業員の夢にする
従業員の皆様が株を保有することで、仕事への主体性と動機が高まり、本質的、長期的な価値の向上に取り組める企業環境へと変革します。ひとりひとりが経営の主役となることで、仕事に深く関わるという歓びのある企業文化を育みます。3  ぶれずに、長く
資本市場からの短期的な要求から解放され、本質的な経営に集中、専念できる企業環境へと変革します。「単なる儲けから、ゆたかな価値の向上へ」「一過性の成長から、有機的・複利的な成長へ」「見かけの評価から、規律ある評価へ」企業の存在使命と、中長期的な視座に沿った経営へと変革します。このMEBOのスキームは、創業家が賛同しない限り、実現不可能であるため、当該資料の内容は創業家にとっての経済的メリットを詳細に説明する構成としておりましたが、当該資料14ページ目「各ステークホルダーにとってのメリット」に記載していたように、当社は、少数株主に正当なコントロール・プレミアムを支払った上で企業価値向上を実現することで、創業家、経営陣、従業員、株主全てにメリットがある施策として、MEBOのスキームを提案しました。

「創業家・経営陣・従業員の皆様による株式非公開化の御提案」14ページ目抜粋

既存株主
非公開化TOB時、現状では実現し得ないコントロール・プレミアムが反映された株価で売却可能また、当社は、当該資料7ページ目において、「貴社の御要望があれば、当社がファンドとして資金を用意することもできます。」と記載しましたが、これは文字通り、富士ソフトの創業家・経営陣・従業員が希望した場合に当社が資金提供を行うことも可能であることを述べたものに過ぎません。また、当該資料では、随所に金融機関から資金調達を行うことを前提とした記載も行っています。本件開示における、「創業家の保有する株式の生前贈与と併せて3D様の資金で全ての株式を取得するMBOにより非上場化を行い」との記載は、読み手に対し、当社が資金提供を行うことが前提のスキームであり、このスキームから当社が少数株主とは異なる利益を得るかのように印象付けるものとなっていますが、不適切な記載と指摘せざるを得ません。

なお、経済産業省が2019年6月28日に公表した「公正なM&Aの在り方に関する指針 - 企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(以下「本指針」)においても、MBOの意義に関して、「これにより対象会社の株主構成が変更され、その株式が事業内容に通暁した経営者等や支配株主に集中することで、資本市場における短期的利益の実現への期待や圧力から解放された長期的思考に基づく柔軟な経営戦略や、大胆な事業構造改革を伴うビジネスモデルの再構築、機動的な事業ポートフォリオの転換等が実現しやすくなる、株主による経営陣の監視が容易になる等の経済的意義が指摘されている。」とされ、さらに、「対象会社の一般株主にとっても、市場株価を超える価格での株式売却の機会が提供される場合には、このような機会が提供されること自体にも意義が認められるとの指摘もある」とされています(本指針6~7頁)。そして、本指針は、MBOにおいては、売手である一般株主と買手との間に構造的な利益相反関係が生じることを前提に、一般株主が享受すべき正当な利益が確保されるために講じるべき公正性担保措置に関する提言が行われています。

このことから明らかなように、MBOは、必ずしも少数株主の利益を害するものではなく、一般株主に対して正当な利益が確保されることで、少数株主の利益にもなり得るものです。当社が富士ソフトに行った提案は、充実した公正性担保措置を講じることにより、一般株主に対して正当な利益が供与されることを前提としており、客観的に見ても、富士ソフトが指摘するような「3D様以外の少数株主の利益とならない」ものではありませんでした。

本件開示では、MBOが当社以外の少数株主の利益にはならないと述べていますが、これは誤った評価であると指摘せざるを得ません。

以上のように、当社は、富士ソフトの創業家、経営陣、従業員、株主のインセンティブが揃っていないとの本質的な問題を解決する1つの施策として、MEBOのスキームを提案しましたが、残念ながら、2021年6月に坂下社長に説明した際、即座に興味がないとのご返答を頂戴したため、当社は、2021年7月書簡「面談の御礼」にて、非公開化MBO提案は撤回すること、非公開化MBO提案は建設的な対話を促す目的で行ったこと、今後は上場維持を前提として富士ソフトの更なる企業価値の成長を主眼とした対話を継続する旨を送らせて頂きました。

その後、当社は、「貴社の市場における評価について」と題する資料にて、富士ソフトの市場評価についての客観的なコメントを収集してお伝えしたり、断られはしたものの、従業員エンゲージメント企業やリサーチ企業の紹介を打診しました。

それでもなかなか改善が見られないため、当社は、富士ソフトを詳細に分析し、富士ソフトに受け入れられる可能性がより高い施策に落とし込んで提案すべきではないか、との考え方に至りました。そこで、2021年11月に、80ページからなる営業利益率が3~7%改善し得る「収益改善策」資料、150ページからなる「事業詳細分析」資料、35ページからなる「更なる企業価値成長に向けて御提案資料」を提出しました。提案資料では、事業の更なる成長のために、①成長分野への集中的な経営資源の投下による売上高成長、②従業員の生産性向上による営業利益率の改善、③自社使用オフィスの減床と新規貸出による不動産収益の改善を提案し、また、低い市場評価と実体との乖離を埋めるために、①成長戦略の明確化(年率8%の売上高成長)、②利益率改善計画の策定とコミット(営業利益率13%の達成)、③各不動産と上場子会社に対する投資の合理性の検証、④新規投資方針と株主還元方針の明確化を求めました。

しかし、資料による提案の過程で取締役の方に直接ご説明する機会を設定してもらうことは叶わず、参考にする旨の返答はあったものの、具体的なアクションに結び付く印象は持てませんでした。その後、コンサルティング・ファームを登用した上で、当社が納得できる透明性を確保した上で確実に事業課題に取り組むことを提案したものの、結局、現時点では実現していません。

当社は、これまでの多大なる提案が2022年2月10日発表の中期経営計画に反映されることを期待していましたが、実際に出てきた中期経営計画は、利益率は横ばい、売上高成長目標は年率5%、成長戦略欠如の方針は変わらず、また、自社オフィスを生産工場と見なすこと、投資に対する収益率は30%であること、今後も自社オフィスに投資し続けることを改めて表明するなど、当社を非常に落胆させるものでした。

以上のような経緯を通し、当社は、富士ソフトの現状の取締役会は、企業価値の向上という視点で経営方針を再検証するための資質やガバナンス機能が不十分であり、新取締役の選任による監督機能の強化が必須であるとの判断に至っております。

従いまして、当社が過去においてMEBO提案をしていることを理由とする、当社から推薦する取締役が「客観的な中長期の企業価値向上の観点ではなく、特定の株主の利益代表になりえる」という富士ソフトの指摘は、他の株主の方々の誤解を招くものであり、当社がこれまで目指してきた建設的な対話を無視したものであると考えざるを得ません。

また、当社が公表しているプレゼンテーション資料「富士ソフトの企業価値創造のために」1の16ページ目に「企業価値向上の一案として、創業家・経営陣・従業員による非公開化MBOスキームを提示」と記載している通り、当社は本コミュニケーションは建設的な対話の一環であり、他の少数株主に対しても堂々と説明することができる事実と考えています。

当社の推薦する取締役は、株主の皆様の信任を得て選任された場合、当然ながら受託者責任を全うし、富士ソフトの企業価値成長を通し、全ての株主の皆様に恩恵をもたらすものと確信しております。

1 2022年2月「富士ソフトの企業価値創造のために」3D Investment Partners Pte Ltd. https://www.3dipartners.com/engagement/presentation-on-shareholderproposal-jp.pdf

プレゼンテーション資料:
https://www.3dipartners.com/engagement/presentation-on-shareholderproposal-jp.pdf
ウェブサイト:
https://www.compoundfujisoft.com/
議決権行使助言会社からの賛同に関するプレスリリース:
https://www.businesswire.com/news/home/20220227005133/ja/

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