パブリッククラウドの市場規模:2021年に1,570億米ドル到達、競合3社の収益2桁台の高成長続く
配信日時: 2022-02-09 10:30:00
株式会社グローバルインフォメーションは、市場調査レポート「クラウドコンピューティング市場(2021年~2026年)」(IoT Analytics GmbH)の販売を2月8日より開始いたしました。
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パブリッククラウド(ハイパースケーラーのIaaSおよびPaaS)の市場規模は、2021年に1,570億米ドルに達しました。
クラウド市場は、米国を拠点とする3社によって支配されています。その収益は長年にわたって2桁台の高成長を続けており、2021年も例外ではありません。大手企業では、Google CloudとMicrosoft Azureの2社が、市場をリードするAWS(Amazon Web Services)に迫る勢いで、ともに2021年の収益成長率を50%近くまで高めています。
テクノロジー市場の予測
理論的には、テクノロジーの導入は導入S字カーブで近似されることが多く、過去100年間の主要な発明について、S字カーブの分析や技術採用曲線の地図が数多く作成されて来ました。
技術市場で事業を展開する企業は、しばしばTAM(Total Addressable Market)に注目します。TAMは、市場が成熟してフラットになったときの潜在的な市場規模を表しています(注:TAMは、現時点での市場規模を表す場合と、市場が成熟した後のある時点での市場規模を表す場合があり、今回の分析では、10~20年後に市場が成熟するというシナリオを考えています)。
世界のスマートフォン市場の例を考えてみると、市場が成熟し、年間約15億台の端末販売というTAMを達成するまでには、およそ10年を要しました(Statista社調べ)。
2兆米ドルのクラウド市場への道のり
今回の調査をもとに、パブリッククラウドのTAMについて3つのケースを定義しました。
保守的なケース。最も保守的なシナリオで、クラウドのTAM総額は0.6兆米ドルになると考えています。
強気のケース。最も楽観的なシナリオで、クラウドのTAM総額は約10兆米ドルになると考えています。
ベースケース。最も可能性が高いと考えられるシナリオで、クラウドのTAM総額は2兆米ドル程度になると考えています。
1. 保守的なケース
現在のパブリッククラウドワークロードの導入率を15%から25%とし、将来の最終状態における導入率を、50%から75%と予測しています。保守的なシナリオでは、現在の市場規模である1,570億米ドルで、すでにワークロードの25%に達しており、ここからワークロードのシェアが50%に倍増すると想定しています。このシナリオでは、ベースとなるワークロードの価格がさらに低下することを想定していますが、一般的なワークロードの拡大がその価格低下を補って余りあるものになると考えています。
2. 強気のケース
強気のケースは、保守的なケースとは逆の立場で、現在の 1,570 億米ドルの市場は、クラウドでのワークロードの 15%を反映しており、最終的には約 75%になると想定しています。
3. ベースケース
ベースケースは、最も起こりうる可能性を反映しています。ここでは、現在のクラウドの普及率が20%であると仮定し、最終シナリオでは、ワークロードの60%がパブリッククラウドになると想定しています。しかし、企業のワークロードの40%は、プライベートなオンプレミスのデータセンター、もしくはその他のエッジデバイスで実行される可能性があります。
20%のワークロードという想定は、調査データとも一致しており、2020年の製造業のクラウド導入に関する調査では、企業の資産管理アプリケーションに対する現行のクラウド導入率は高いところで32%、ERPやMESタイプのアプリケーションに対するパブリッククラウドの導入率は15%程度でした。
クラウドの市場規模2兆米ドルの理由
現在のIT企業の支出は約4兆米ドルで、世界のGDPの4.4%を占めています。データ、情報技術、デジタル化の重要性を考えると、2040年には世界のGDPに占めるIT企業支出の割合が2倍以上の10%になることも想像に難くありません(世界のGDPが3%成長すると仮定すると、2040年のIT支出は15兆米ドルになります)。それに比べれば、パブリッククラウドへの2兆米ドルの支出は、予測として多いとは言えません。
企業のバリュエーションに与える影響
パブリッククラウド市場は、今後も3企業での競争が続くと思われます。2兆米ドル規模の市場でいずれかの企業が40%のシェアを維持し続けることができると仮定すると、少なく見積もっても、営業利益率を30%、PERを25と仮定すると、このビジネスは市場で6兆米ドルの評価を受けることになります。
現在、ともにクラウドが収益に占める割合が3分の1以下の、Microsoft、 Amazon、Googleの事業全体の評価額がそれぞれ2兆米ドル前後かそれ以下であることを考えると、これらの企業の評価額は大きく上昇する可能性があります。
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