【日中翻訳フォーラム】2022 年第一回日中翻訳フォーラム、オンラインで開催

プレスリリース発表元企業:日本僑報社

配信日時: 2022-01-26 11:00:00


2022 年第一回日中翻訳フォーラムが 1 月 23 日、オンラインで開催された。基調講演として、日中翻訳学院院長の高橋弥守彦先生から「中日両言語の重複表現について」というテーマで講演が行われた。

【日中翻訳フォーラム】2022 年第一回日中翻訳フォーラム、オンラインで開催

【日本僑報社発】2022 年第一回日中翻訳フォーラムが 1 月 23 日、オンラインで開催された。
 基調講演として、日中翻訳学院院長の高橋弥守彦先生から「中日両言語の重複表現について」というテーマで講演が行われた。日中言語における重複表現の比較と、その違いが生じた理由を紹介した後、重複表現になっている中国語文を一文ごとに例示し、日本語訳を検討していった。
続く第二のパートでは、「翻訳デビュー体験談」として、中国書籍からの訳書を刊行する予定の平松宏子さんが、翻訳作業の体験談とともに後進へのアドバイスを提言した。

高橋先生の「中日両言語の重複表現について」講演概要は下記の通り。

 中国語の重複表現は意味上の重複“沉默寡言”と構造上の重複“无论……,无论……,更无论……”とに大別できる。どちらも文意を分かりやすくし、リズムを整える重要な要素となっている。日本語は重複表現をそのまま訳すと冗漫になるので、避けられる傾向にある。それでは、どのような理論に基づき、どのような日本語に訳せばよいのだろうか。

 中日両国にある「対の文化」と「非対の文化」は文章にも反映される。日本では、代表的な漢詩として、李白の五言絶句《静夜思》や杜甫の七言絶句《春望》が挙げられ、俳句としては芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」や短歌では阿倍仲麻呂の「天野原ふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも」が挙げられる。両者の違いは一言で分かりやすくいえば、漢詩は起承転結のある四コマ動画(漫画)であり、俳句や短歌は中心となるところにスポットを当てる一枚の絵(写真)である。

中日両国では書きつける対象物の有無により、中国語は書き言葉として発達し、日本語は話し言葉として発達する。しかし、一字で一つの意味概念を表す中国語は、話し言葉としては分かりにくいので、単語は一文字(“学”)から二文字化へと(“学习”)進む。成語では“默而不语”など類同の意味“默而”[黙る]、“不语”[しゃべらない]を重ねることによる四音節化のテクニックがある。こうすることによって、分かりやすくリズム感がよくなる。このことが中国語の重複表現を発達させる理由の一つとなる。

日本語は表音文字なので、中国語の成語などの意味的な重複をそのまま訳すと長くなり、言語表現として冗漫になる。近代になると、俳句に見られる五七五のリズムに沿って、なるべく短く訳すようになる。次の中日両言語の文も重複を好む「対の文化」(連動文)と重複を避ける「非対の文化」が根底にある。中日両言語は重複表現の面では大いに異なっている。
  他每天早上七点半骑车去学校。  彼は毎朝7時半に自転車に乗って学校に行く。  
彼は毎朝7時半に自転車で学校へ行く。

そして、参加者から下記の感想文が寄せられた。

本日のスクーリングの私の感想は一口で言うと「もりだくさん」
短い時間に、高橋先生のいつにも増して熱の入ったご講演・翻訳されて方の体験・景子先生の翻訳現場のお話どのお話も、素晴らしいので、分けてもよかったのかと感じました。
高橋先生のお話は、10回の2つの小品に絞って、お話しいただき、受講生の様々な訳がでた事例をとりあげ、解説をして頂いたり、受講生に「なぜ、そのような訳にしたか」ということを話してもらい、意見交換をしてみるのも面白いかと思いました。また、中国の方もいらしたら、感じ方や訳し方に違いがあるのかどうかしれりたいところです。また、講座の最後に先生が出される課題についても、皆さんの意見を聞いてみたいです。
また、翻訳された方のお話はYouTubeで動画配信されても、いいかと思いました。
 まだ、しばらくコロナ感染は続きそうなので、感染に気をつけながら、今だからできることに取り組みたいと思います。(佐藤正子)


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