農水産業を学ぶ台湾の大学生約 100 名を対象とした「日本の農水産業オンライン訪問団」を実施。(対日理解促進交流プログラム「JENESYS2020/2021」)
配信日時: 2021-12-20 18:00:00
日本も台湾も美しい自然環境と豊富な農水産資源を有し、これらの資源は国の発展
の支柱となっています。この分野で日本と台湾の相互理解と交流を促進するため、以
下のとおり、オンライン視察・交流を実施しました。
日本も台湾も美しい自然環境と豊富な農水産資源を有し、これらの資源は国の発展 の支柱となっています。この分野で日本と台湾の相互理解と交流を促進するため、以 下のとおり、オンライン視察・交流を実施しました。また、今年は東日本大震災発生から10 年の節目の年にあたります。この間、台湾からの温かい声援を受けて、津波で被害を受けた福島県内の漁港は全て復旧工事が完了するなど、福島は前進し続けました。さらに、福島の食材は厳しい基準をクリアし、日本国内で広く消費される他、世 界にも認められています。今回の交流では、台湾の若者に日本各地の農水産業の様子とともに前進した福島の現状を知ってもらうことで日本理解を深めるため、「対日理 解促進交流プログラム JENESYS2020/2021」(*)の一環として、オンライン交流を実施しました。
新型コロナウイルスの影響により渡航制限が続く状況を踏まえ、Microsoft Teams を活用したオンライン形式での実施となりました。台湾の農業・漁業を専攻する大学・大学院生から希望者を募り、計 97 名の学生が参加しました。
【開催概要】
実施日:第 1 回 2021 年 12 月 7 日(火)日本時間 14:00〜/台湾時間 13:00〜
第 2 回 2021 年 12 月 9 日(木)日本時間 14:00〜/台湾時間 13:00〜
第 3 回 2021 年 12 月 17 日(金)日本時間 14:00〜/台湾時間 13:00〜
テーマ:日本の農水産業
参加者:台湾の大学・大学院生 計 97 名
【第 1 回の様子】
1 日目、参加者は日台関係についてブリーフィングを受け、東日本大震災後の日台関係の深まりについて理解を深めました。その中の1つの議題として、安全性が証明されている日本の5県(福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県)産の食品(酒類 を除く)に対して、台湾が現在でも輸入規制を行っていることを聞いた参加者からは 「日本産食品の輸入禁止問題については台湾の人々もまだまだ理解不足の部分もあるが、今回のブリーフィングで正しい知識を得ること出来た」という意見や、日本産の 食品を輸入することに対する台湾産の食品への影響の有無に関する質問もあり、熱心に意見を交わしました。
後半は愛媛県水産研究センターをオンライン訪問し、愛媛県の水産業の概要や水産 研究センターの主な業務内容、愛情を込めて育てた養殖魚「愛育フィッシュ」の媛スマ、柑橘の果皮や精油を餌に混ぜて育てた「みかんフィッシュ」、愛媛産ブランドの 真珠「HIME PEARL」等について学び、実際に養殖を行っている生簀や実験を行う建物 をライブ配信で見学しました。参加者も水産業に関する愛媛県の取組みに対して多くの関心を示し、「柑橘類を餌として飼育する場合、一般的な餌で飼育した場合に比べて出荷時の金額にどのくらいの差があるのか。」、「他県でも同じ漁場で獲れた同種 の魚が水揚げされていると思うが、どのように差別化・ブランド化を図っているの か」等、養殖業に関する専門的なものから消費者目線の一般的なものまで、多くの質 問があり、大変盛り上がりました。
【第 2 回の様子】
2 日目の前半は一般社団法人東の食の会事務局 高橋大就専務理事より東日本大震災 後の福島県の農業の復興について学びました。福島第一原子力発電所の事故によって苦悩に直面した福島県の食の生産者たちが、どのようにして東北の食に対する信頼を 取り戻していったのかを、具体的な取組事例を交えながらお話しいただきました。高橋専務理事は地域の農水産業にブランディングやマーケティングの考え方を取り入 れ、地域を超えて新しいことに挑戦する「チャレンジャー」のネットワークを発展させてきました。科学的根拠で安全性をアピールするだけでなく、「この人が作ったもの なら間違いない」、「この人が保証するなら大丈夫」と、「人」によって東北の食に対す る信頼を取り戻していった彼らを、犠牲者ではなくヒーローだと表現し、参加者も東 北の食に対する印象が変わった様子でした。
質疑応答では「東日本大震災によって東北の自然環境、特に海は大きく変わったのか」、 「生産者たちはどのようにして地域を超えて協力していったのか」と多くの質問があり、 東北の農水産業や地域のネットワークづくりに非常に興味を持っていました。
後半は、福島県浪江町でえごま栽培を手掛けるヒーロー生産者、なみえファーム代表 和泉 亘氏より、なぜ浪江町で農業を始めたのか、福島県の食の安全に対する取組につ いてご説明いただいた後、ライブ配信でえごまの収穫が終わった畑の様子を浪江町の景 色とともに見せていただきました。
参加者からも、浪江町の農業に関する質問から、えごまの栽培方法や製品化に関する 質問まで多くの質問があがり、興味は尽きない様子で熱心に聞いていました。
和泉氏は最後に台湾の学生へ「浪江町は大変なことや課題がたくさんあるが、発想さえあればそれをビジネスに変えられる面白い町だ」とメッセージを送り、「浪江町の子 供たちが、将来ここに残って仕事をしたいと思えるようにすることが我々の責任」と 未来の展望を熱く語りました。
【第 3 回の様子】
最終日となる 3 日目の前半は北海道岩見沢市情報政策部情報政策課の鎌倉祥伍氏よ り岩見沢市の取り組みとしてスマート農業の社会実装による地域 DX の推進について説明を受けました。「人口減少」や「少子高齢化」が進んでいる同市の ICT を用いた「市 民生活の向上」と「経済の活性化」に関する事例をご紹介いただきました。続いて、 北海道大学大学院農学院の森田豪氏より北海道大学と岩見沢市と企業が産官学連携の一環として進める農業ロボットの遠隔監視技術についてお話いただき、最後に、いわみざわ地域 ICT 農業利活用研究会副会長濱本壮男氏より、生産者の視点から農業の課 題やスマート農業の導入効果、今後の期待についてお話いただきました。
質疑応答では「農業ロボットの利便性と安全性について」、「多くの農業ロボット技術 の中で実用化を目指すもの」、「具体的な農作物への活用事例」と多くの質問があり、岩見沢市と北海道大学が連携して進めるスマート農業の取り組みについて非常に興味を 持っていました。
後半は、農業と水産業のグループに別れてそれぞれ学生交流を行いました。日本側は北海道大学、東京海洋大学、神戸大学、鳥取大学から農業や水産業などを学ぶ学生 が参加し、活動紹介や研究発表を行いました。学生同士の質疑応答を通じてお互いの学校生活や研究内容について理解を深めると同時に、日本の学生の活動や研究に台湾の学生は感心し、刺激を受けたようでようで、同世代交流としてもよい機会となりま した。
3日間という短い時間ではありましたが、今回のオンライン訪問をきっかけとし て、日台の交流がさらに促進されることを期待しています。
(*)【対日理解促進交流プログラム「JENESYS2020/2021」について】 対日理解促進交流プログラムは、日本と大洋州、北米、欧州、中南米の各国・地域との間で、対外発信力を有し、将来を担う人材を招聘・派遣し、政治、経済、社会、 文化、歴史及び外交政策等に関する対日理解の促進を図り、外交基盤の拡充を目的とした外務省の事業です。 「JENESYS2020/2021」は上記プログラムのうちアジア大洋州各国・地域を対象とし た事業です。
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