Shinwa Wise Holdings(JQ:2437)に対し、第三者機関の算定レンジを大幅に超えたアイアートを対象とする株式交換について、追加事前質問を送付
配信日時: 2021-08-18 10:00:00
サイブリッジ合同会社(代表:水口翼)は、Shinwa Wise Holdings株式会社(代表取締役:倉田陽一郎、 証券コード:2437 東証JASDAQ スタンダード)の発行済株式359,100株(持株比率(自己株式を除く):5.05%)を保有する筆頭株主です。当社はShinwa Wise Holdings株式会社に対して、2021年7月29日に開示された同社によるアイアート株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換について事前質問状を送付しておりましたが、株主として株式交換の是非を合理的に判断するために十分な回答を得ることができなかったため、本文記載の内容の事前質問状を送付して、追加の事前質問への回答を要請いたしました。
事前質問状
まず、当社からShinwa Wise Holdings株式会社(以下「SWH社」といいます。)に対して送付した2021年8月5日付「事前質問状」にご回答いただき感謝申し上げます。
2021年8月5日付「事前質問状」に対するSWH社のご回答を踏まえまして、2021年8月26日に開催される予定のSWH社定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)に先立ち、SWH社の発行済株式359,100株(持株比率(自己株式を控除して計算):5.05%)を保有する筆頭株主であるサイブリッジ合同会社(以下「サイブリッジ」といいます。)は、SWH社に対して本事前質問状を提出し、下記の質問に対して具体的な内容を伴う回答を求めます。
また、公平な情報開示の観点から本定時株主総会にご出席されない株主の皆様も平等に確認できるよう、2021年8月20日午後5時までにSWH社ウェブサイト上にて回答を公開することを求めます。
万が一、本事前質問状記載の質問のうちSWH社によるアイアート株式会社(以下「アイアート」といいます。)を完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)に関する質問に対して、了解可能なご回答をいただけなかった場合には、サイブリッジは、やむを得ず本株式交換に反対する立場を鮮明にせざるを得なくなることを付言いたします。
記
1. 本株式交換について
(1)2021年8月16日付「当社株主による事前質問状への回答について」(以下「本回答」という。)のうち、本株式交換の必要性及び株式交換比率の妥当性の判断理由について
まず、本回答において、本株式交換を行うことでアイアートをSWH社の完全子会社にする理由として、2020年のアートオークション市場取扱高第3位のアイアートと第4位に甘んじる状態となっているシンワオークションが一つのグループになることにより、今後業界シェアトップを奪還することを目標としていることが挙げられています。この点、アートオークション市場取扱高第3位と第4位が合併をして規模の拡大を目指すビジョンについてはサイブリッジとしても賛同できます。
また、本回答においては、アイアートの子会社化に先立ち、アイアートの代表取締役である伊勢彦信氏がこれまで取得してきたアートを所有管理しているイセ株式会社との間で、そのアートの一部をSWH社が専属売買する権利を得るという内容の基本合意書を締結しており、本株式交換後は、伊勢氏個人の所有であるコレクションについても専属売買権を大いに期待できるものとなるとされております。この点、イセ株式会社及び伊勢氏個人が所有しているコレクションについて専属売買権を取得することは、SWH社での年間取扱高を大きく増加させることに繋がる可能性があるため、サイブリッジとしても賛同できます。
しかし、イセ株式会社及び伊勢氏個人が所有しているコレクションについて専属売買権を取得することは、あくまでSWH社とイセ株式会社及び伊勢氏個人との取引に関することであり、アイアートを完全子会社化することとは直接関係はありません。
さらに、本回答において、伊勢氏がSWH社の大株主となることで、今後世界的なオークション会社として発展・飛躍するための礎を築くということが本株式交換の目的であるとされております。サイブリッジとしても、伊勢氏が卓越した経営手腕を有しており、かつ世界有数の美術品コレクターであることから、伊勢氏がSWH社の大株主となること自体には理解をすることができます。
しかし、なぜ第三者算定機関の算定レンジを大幅に上回る株式比率により本株式交換が行われなければならないのかという点についての合理的な説明にはなっていないものと考えております。なお、伊勢氏はすでにSWH社の取締役会長という立場にあるため、本株式交換がなかったとしても、本回答で記載されているSWH社が期待をするような役割を十二分に果たして欲しいと考えております。
また、本株式交換に先立つ形で、伊勢氏の部下であるイセ食品株式会社の役員でもある秋元之浩氏をSWH社の社外取締役に招聘していることに加え、秋元之浩氏の部下である高橋健治氏(アイアートの株主となっており秋元之浩氏が代表取締役を務めるリーテイルブランディング株式会社の従業員)もSWH社の取締役に招聘されております。
このように実質的な利益相反の可能性のある者がSWH社の取締役に就任しており、後述のように、現に伊勢氏や秋元氏を含む社外取締役には従前と比較すると高額な役員報酬が支払われることになっているという状況において、本株式交換比率のような著しく高い価格での株式交換が実施されることは、SWH社に損害を与える利益相反取引である可能性が高いと考えております。
それにもかかわらず、上述のとおり、本回答においては、なぜ本株式交換比率で株式交換を行わなければならないのかについて合理的な説明がなされておりません。このままでは、サイブリッジが本株式交換について賛成をすることが難しい状況となりますので、第三者算定機関の算定レンジを大幅に上回る高値での株式交換を実施すべき合理的な理由について、改めて、本株式交換後の具体的な計画や予想される今後の業績への影響を含めて具体的にご説明を願います。
なお、合理的な理由についてのご説明がなされないまま、本株式交換比率で株式交換が行われる場合には、SWH社の取締役及び監査役の責任を追及することも検討せざるを得なくなることを付言いたします。
(2)本回答のうち、中立的な社外取締役の選任について
本回答において、中立的な立場で発言ができる社外取締役の任命については必要であると認識をしていたにもかかわらず、時間的な観点と慎重な人選を含めて困難との結論に達したとされております。
本株式交換による合併のビジョンについて、伊勢氏がSWH社の社外取締役に就任をした時点から検討をされていたのであれば、約1年半は本株式交換について検討をする期間があったものと理解をしております(本回答においても「1年にわたるデューデリジェンスと社内での議論を進めて」との記載がございます。)。
そこで、中立的な社外取締役の選任について、SWH社の取締役会において、どのように議論がなされたのかについて(選任の検討をはじめた時期、人選の進め方、選任するに至らなかった理由など)、具体的にご説明を願います。
この点についての議論がなされた際の取締役会議事録の開示を合わせてお願いいたします。仮に取締役会議事録をご開示いただけない場合には、その理由もご説明を願います。
(3)本株式交換における株式交換比率の算定方法が適切ではない可能性について
2021年7月29日付「Shinwa Wise Holdings株式会社によるアイアート株式会社の完全子会社化に関する株式交換契約締結のお知らせ」(以下「本プレスリリース」といいます。)によれば、SWH社は、株式交換に用いられる株式交換比率の算定にあたって、公平性・妥当性を担保するため、当社及びアイアートから独立した第三者算定機関である株式会社キャピタル・ストラテジー・コンサルティング(以下「キャピタル・ストラテジー」といいます。)に算定を依頼しております。そして、キャピタル・ストラテジーは、SWH社については市場株価法を、アイアートについてはディスカウンテッド・キャッシュフロー法(以下「DCF法」といいます。)を採用して算定を行なっておりますが、キャピタル・ストラテジーが採用したSWH社及びアイアートの価値を算定する評価手法の選択またはその適用方法が適切ではない可能性があるため、以下のとおり、質問いたします。
■質問1
「アイアートについては、美術商を営む上場会社の中で、美術品関連がテーマの企業を選定したが、アイ―アートの主たる事業であるオークション事業を営む比準対象の想定類似会社が1社であったため、類似会社比準法の適用が困難であることから、類似会社比準法を不採用といたしました。」(本プレスリリース6頁「3.(3)②」)との記載について、想定類似会社となる1社とはアールビバン株式会社(証券コード 7523)を指しているという理解でよろしいでしょうか。
■質問2
アイアートの価値評価手法として採用されたDCF法に適用した加重平均資本コスト(以下「WACC」といいます。)は、想定類似会社が1社であったために類似会社比準法を不採用としながら、どのような算定ロジックに基づいて評価をしたのかご教示ください。
WACCについて、機械的・簡便的に関連業種の平均的な値を引用するケースもありますが、多くのステークホルダーに影響を及ぼすような上場会社の株式交換では証券理論に基づいた評価をするのが通常です。そして、理論性重視のDCF法を適用するにあたり、きわめて重要なパラメータであるWACCは理論的である必要があると思料いたしますので、具体的にご説明を願います。
■質問3
「上記DCF法による算定の基礎となるアイアートの財務予測には、今後の新型コロナウイルス感染拡大等に伴う、事業運営への影響や当社の完全子会社化によるシナジー効果などは考慮しておりません。」( 本プレスリリース7頁)との記載は、DCF法によりアイアートの価値を算定するに際して用いられる事業計画に関する数値には今後の新型コロナウイルス感染拡大等のリスクを考慮していない旨を明記したものと理解しております。
SWH社は直近開示 2021 年 5 月期決算短信において、2022年5月期の連結業績予想について、新型コロナウイルスの感染拡大による影響により合理的な算出ができないことを理由に未定としていますが、アイアートと同様に今後の新型コロナウイルスの感染拡大による影響を考慮せずに価値を算定するのであれば、アイアートと同じDCF法を適用してSWH社の価値を算定することができたのではないでしょうか。本株式交換の株式交換比率の算定に際して、SWH社についても、上記の前提をおいた上でアイアートと同様にDCF法を適用しなかった理由を具体的にご説明を願います。
■質問4
本プレスリリースによれば、キャピタル・ストラテジーは、市場株価法とDCF法を対比させることで、本株式交換における株式交換比率の算定レンジを算出しております。市場株価法が客観性に優れたものであるのに対し、DCF法は理論性に優れるものの恣意性介入リスクのある評価方法です。このため、各評価手法それ自体が適切な手法であっても、異なる性質を有する評価手法同士を同じ土俵で対比させることは、他に有効な手法があるならば、とりわけDCF法の最大の欠点である恣意性リスクを考慮して回避すべきです。この点、アイアートが非上場会社であるため、両社に修正簿価純資産法を適用するなどして同一の評価手法により対比をしなかった理由を具体的にご説明を願います。
2. 役員報酬について
「第32回定時株主総会 招集ご通知」(以下「本招集通知」という。)によれば、本年の取締役及び監査役の報酬等の総額は99,592,000円で、前年の61,169,000円と比較すると、取締役及び監査役の人数は15名から11名に減少しているにもかかわらず、約1.6倍の金額となっております。特に社外取締役への報酬等の総額は22,400,000円(前年6,812,000円)、社外取締役1名あたりの報酬等の金額は7,466,666円(前年1,703,000円)となっており、社外取締役1名あたりの報酬等の金額が前年と比較して約4.4倍となっております。
上述のことから、本年における取締役及び監査役の報酬等の金額の増加は、主に社外取締役への報酬等の金額が増加したことに起因するものと考えております。そこで、社外取締役への報酬等を大幅に増加させるという判断に至った検討のプロセスを具体的にご説明を願います。なお、個々の社外取締役の報酬の決定に際しては、社外取締役それぞれの職責を個別に判断をした上で決定をされているものと理解をしておりますので、各社外取締役の個別の報酬等の金額を明らかにしていただいた上で、具体的なご説明を願います。
3. 中期経営ビジョンについて
2021年1月15日付で公表されました、開示資料「中期経営ビジョン Grand Picture 2021年度ー2023年度3カ年計画」では数値に関するビジョンが全く入っておりません。この点、コロナ禍にあって合理的な算定が困難である、あるいは、コロナ禍の影響を受けずとも事業の特質上きわめて不確実なものだから定量評価することは逆に投資家の判断を誤らせるおそれがある、という一応の理由があったとしても、当該開示資料に記載の中長期ストーリーについては、内容のみならず数値に関するビジョンも示すことが説明責任の履行といえると考えております。
上記の本株式交換なども踏まえた中長期ストーリーの数値に関するビジョンのご説明を願います。
4. 業績予想について
2021年5月期決算短信において、SWH社は翌期予想を非公表にしています。他方、絵画販売を手掛けるアールビバン株式会社(証券コード 7523)は、2022 年3月期第1四半期決算短信で業績予想を公表しています。両社はオークション事業の有無で相違してもコロナの影響を受けている点では変わらないかと存じます。SWH社において、アールビバン株式会社と異なり、翌期業績予想を公表できない理由のご説明を願います。
以上
サイブリッジグループ 本件お知らせ
https://www.cybridge.jp/news/press/00328/
サイブリッジグループ 本件note
https://note.com/cybridge/n/n45c6962692ae
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プレスリリース情報提供元:valuepress
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