日本大学理工学部・Space BD新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」1号機における超小型衛星放出技術実証ミッションに関する業務提携を締結
配信日時: 2021-08-05 13:00:00
日本大学とSpace BDは、新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」の1号機において、JAXAが実施する超小型衛星の放出技術実証ミッションに対し、日本大学が開発する超小型衛星の打上げに係る各種申請・安全審査サポートなどを含む準備作業全般に関する業務提携を締結しました。
日本大学理工学部 航空宇宙工学科(所在地:千葉県船橋市、学部長:青木義男、以下日本大学)と宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BD株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:永崎将利、以下Space BD)は、新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」の1号機において、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する超小型衛星の放出技術実証ミッションに対し、日本大学が開発する超小型衛星の打上げに係る各種申請・安全審査サポートなどを含む準備作業全般に関する業務提携を締結しました。
本件は、「HTV-X」1号機で行う超小型衛星放出技術実証ミッション事業を2020年10月にSpace BDがJAXAより受託し、搭載衛星インテグレーションを行う唯一の実施企業として選定後の初の取り組みです。
[画像1: https://prtimes.jp/i/50164/21/resize/d50164-21-36303b95b7191ef5daa6-0.jpg ]
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日本大学は、2020年4月の奥山圭一教授着任のもと、超小型衛星の開発を開始しました。
今回「HTV-X」初号機に搭載する「てんこう2」はSpace BD協力のもと、奥山研究室が2018年に打ち上げた[1]地球低軌道環境観測衛星「てんこう」の後継機として開発を進めています。大きさ約30cm×約20cm×約10cm、重さ約12kgの超小型衛星です。
「てんこう2」には「てんこう」と同じ高エネルギー荷電粒子検出器[2]が搭載され、地球低軌道周辺の高エネルギー粒子の空間分布などを観測していきます。「てんこう2」には計算速度や記憶容量が大きく、消費電力が小さい新しいマイクロコンピュータを搭載予定で、この宇宙環境耐性も評価します。仮に、このマイクロコンピュータに不具合が生じた際にはこの検出器のデータを用いて分析します。
その他、「てんこう2」では高解像度のカメラを用いた地球観測、またアマチュア無線帯を用いた新しい宇宙通信技術の確立などを行います。
さらに「てんこう2」では、日本大学理工学部と芸術学部が連携してつくりあげる「宇宙×エンタメ」ミッション、「N.U Cosmic Campus」に取り組みます。これは世界中の人たちと一緒に曲を作ったり、絵を描いたりするアート活動で、まるで世界と宇宙が一つのキャンパスになったかのような体験を提供する予定です。
[画像3: https://prtimes.jp/i/50164/21/resize/d50164-21-063351d474b9b92ee6c2-2.jpg ]
Space BDはこれまでに、JAXAによる民間開放案件である国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」からの衛星放出事業、「きぼう」船外実験設備利用事業、およびH-IIA及びH3ロケット相乗りによる衛星打上げ機会の提供事業、国際宇宙ステーション「きぼう」の高品質タンパク質結晶化実験サービスの大型案件4件において、JAXAの民間パートナーに選定されています。また衛星その他を含む打上げサービス事業においては、累計50件以上の実績があります。
このたび「HTV-X」1号機におけるアカデミア参画プロジェクトとして、これまでの打上げサービスで培った知見を元に全面的にサポートします。引続き国内外のユーザーに対してより多様な打上げ手段の提供を実現し、宇宙環境を利活用するユーザーにとって目的・課題に柔軟に対応できる打上げサービス体制の構築を加速していきます。
[1] 2018年の「てんこう」打上げ時の奥山圭一教授の所属は九州工業大学
[2] 地球の周りには高エネルギーで飛び交う粒子が存在します。宇宙線とも総称されるそれらの粒子にはまだ未解明な部分が多く、軌道上での粒子数の計測は、それを解明していくための重要な情報となっています。
「HTV-X」からの超小型衛星放出技術実証について
「HTV-X」は、宇宙ステーション補給機「こうのとり(HTV)」に続く補給機として、国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給だけでなく、軌道上技術実証や実験利用に係るプラットフォーム提供、将来の国際宇宙探査への活用などを目的とした新たな無人補給船です。
「HTV-X」は国際宇宙ステーション(ISS)よりも高い軌道(最大約500km)まで遷移することが可能であるため、高高度からの衛星放出が可能です。これにより衛星の軌道寿命において、従来のISSからの放出では半年~1年程度であったものを、1~数年程度延ばすことが可能となります。
なお「HTV-X」初号機の打上げは2022年度を予定しています。
日本大学理工学部 航空宇宙工学科 奥山 圭一のコメント
[画像4: https://prtimes.jp/i/50164/21/resize/d50164-21-c1230d896e62db7de3fa-3.jpg ]
「てんこう2」は30cm×20cm×10cmととても小さいですが、その中には先進的なカメラ、通信機、マイクロコンピュータなどが搭載され、それらが宇宙できちんと機能することを実証いたします。
「HTV-X」では月周回有人拠点(Gateway)に物資輸送する計画も検討されており、これから人類は月の開発を本格的に進めていくことになるでしょう。この実現のため、Space BD、日本大学理工学部や芸術学部、また国内外の共同開発機関の皆様と一緒に努力を続けたいと思います。
Space BD株式会社 マーケティング事業部 海外マーケティングマネージャー 李 美亜のコメント
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この度、HTV-X初号機の超小型衛星の放出ミッションに向けた提携を日本大学理工学部と締結できたこと、大変嬉しく思います。HTV-Xの利活用は今後の月周回軌道へのアクセスにも関わる大切な取り組みになります。
月圏へのアクセスを含む日本の宇宙開発において学術機関や民間などあらゆる業種のさらなる活躍が求められている中、奥山先生、今後の宇宙産業の発展を担う学生の皆様と産学連携をしながら新たな挑戦が出来ることを誇りに思います。数多くのミッションの宇宙実証という重要な役割を担う「てんこう2」を宇宙へ届けるため、これから日本大学理工学部と共に邁進していきます。
日本大学理工学部 航空宇宙工学科について
航空宇宙工学科は、1978年に創設され、今年で43周年を迎えています。「実物を作って飛ばす」ことを特徴としており、木村秀政先生の指導により学生が設計製作したリネット1号は,日本初の人力飛行機として知られています。その精神は脈々と受け継がれ,無人航空機や火星飛行機の他、次世代ガソリンエンジン等、航空工学に関する様々な研究へ発展しています。一方本学科では,2000年より人工衛星開発を軸とした教育研究基盤整備も実施しています。2008年に打ち上げられた超小型人工衛星SEEDSを始め、その後、2機の小型人工衛星が開発され打ち上げに成功し、継続した運用が行われています。現在、奥山教授の「てんこう2」の他,地震先行現象検知衛星の開発、宇宙における循環型生命維持系の研究や、人工流星実験、月面衝突閃光観測なども行っています。日本大学理工学部の航空宇宙工学科では、航空工学、宇宙工学、宇宙科学に関する教育・研究を行い、世界で活躍できる技術者を育てています。
奥山圭一教授は、現在までに深宇宙探査機「しんえん2」と地球低軌道環境観測衛星「てんこう」を開発しています。「しんえん2」は2014年12月3日に「はやぶさ2」が搭載されたH-IIAの26号機で打ち上げられ、「てんこう」は2018年10月29日に「いぶき2」が搭載されたH-IIAの40号機で打上げられました。
「てんこう」には高エネルギー荷電粒子検出器が搭載され、太陽活動が観測史上最小となった期間における地球低軌道の宇宙線観測を行っています。あわせて、炭素繊維強化熱可塑樹脂CFRTPの宇宙環境劣化の進行状況の観測にも成功しています。
Space BD 株式会社について
Space BDは、日本の宇宙ビジネスを世界を代表する産業に発展させることを目指す「宇宙商社(R)」です。2017年の創業以来、国際宇宙ステーション(ISS)をはじめとする宇宙空間の利活用におけるビジネスプランの検討から技術的な運用支援までをワンストップで取り組みます。
2021年3月にはJAXA「月周回軌道輸送サービスの概念検討業務」の実施企業に選定、同5月にはJAXAとの基本協定に基づき、宇宙空間特有の微小重力環境を活用するライフサイエンス事業に参入しました。
宇宙商社(R)Space BDは宇宙を利活用したい全ての方に向けて、「事業開発力」と「技術力」の両輪で総合的なサービスを提供し、宇宙の産業化を促進していきます。
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「Space BD株式会社」のプレスリリース
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