滋賀県・日野町が推進する官民共創とDX ワクチン接種対応の取り組みが、大学の国際的な研究対象に選定
配信日時: 2021-07-27 13:30:10
~小規模自治体だからこそできる時代の変化への対応~ ビッグデータを活用した公共交通再編プロジェクトも推進中
滋賀県南東部にある日野町(蒲生郡、町長:堀江和博、人口21,000人)は、もともとデジタル技術導入に積極的ではなく、「地域とのつながり」や「職員の現場対応力」を武器としてまちづくりを進めてきました。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大のように、「何が起こるか分からない、先行きが不透明で予測が困難な時代」に突入したといえます。こうした中、「時代の変化に対応し 誰もが輝き ともに創るまち 日野」を目指し、これまでの強みを生かしつつ、日野町ならではのDXを推進し、新型コロナワクチン接種対応への取り組みが京都工芸繊維大学の国際的な研究の対象に選定されるなど成果が生まれつつあります。
●ビッグデータで解析する公共交通再編プロジェクト =株式会社Agoopとの連携=
公共交通活性化については、ほとんどの地方都市が課題として抱えているところです。日野町ではこれまで、交通弱者の移動手段確保を主眼として公共交通の整備を進め、交通空白地はほとんどない状態を上げて上げてきました。しかし公共交通の利便性は限定的となり、一般の利用は少なく、マイカー通勤による交通渋滞や家族送迎の負担等、「移動にかかるさまざまな問題」が発生しています。
そこで、交通弱者だけではなく、公共交通が対象としてこなかった工場への通勤や飲食店への送迎等を含めて幅広く「移動全体」を把握、その需要にも対応することでみんなが利用でき、みんなが利便性を享受できる持続可能な公共交通をデザインする「わたむき自動車プロジェクト」に着手しました。
その推進に当たって、位置情報ビッグデータ事業の先駆者である株式会社Agoop(本社:東京都渋谷区、代表:柴山和久)と先般包括連携協定を締結したところです。
[画像1: https://prtimes.jp/i/59463/32/resize/d59463-32-caa02e6a44ed19b9ffd8-0.jpg ]
これまで、移動需要の把握は町民へのアンケート・ヒアリングのみでしたが、ビッグデータを活用することで、町民以外の利用も含めた移動需要の全体像を的確に把握できます。同社はコロナ禍での人流データのほか、災害時の人流データ等の発信を続けており、その情報は、広く報道機関に活用されています。一方、同社が公共交通分野で自治体と連携するのは初めてのことであり、同社の高い技術力を生かし、プロジェクトが効果的に進むことを期待しています。
●官民共創による新たな展開(新型コロナワクチン接種予約新システム共同開発)
また、日野町では株式会社スカラ(本社:東京都渋谷区、代表:梛野憲克)および株式会社Public dots & Company(本社:東京都渋谷区、代表:伊藤大貴)と連携し、新型コロナワクチン接種予約システムの開発を行いました。
これは、同社等が提唱する「社会課題解決に向けた官民共創DX」によるプロジェクトで、行政と事業者とがイコールパートナーとして課題解決に向け取り組むもので、官民でプロジェクトチームをつくり、「仕様書なし」でゼロベースから2カ月以上議論を重ね、7月15日運用を開始しました。予約システムそのものは珍しいものではありませんが、行政が抱える課題が複雑化する中で、その解決に向け民間事業者の持つリソースを十分に活用するためには、行政が一方的に仕様をまとめることが難しくなっており、この開発手法は官民共創の新たな流れになるものと考えています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/59463/32/resize/d59463-32-974f85d52126f84fe66c-1.jpg ]
さらに両社はワクチン接種おいてマイナンバーカードを活用できないか、民間事業者の視点で実証実験を行っています。国がカードの全国民所持を目指している中、有事にも対応できる個人情報保護と利便性向上を両立させる新たな仕組みを提案することとしています。なお、両社は今年3月に実施された自転車安全教室事業において、日野町が「逆プロポ」により採択を受けた企業です。
※逆プロポとは
逆プロポは企業が関心のある社会課題を示し、各種自治体が課題解決のための企画やアイデアを提案し、それに対して企業が採択・資金を提供する新しい共創サービスです。
●高い現場対応力とデジタル技術の融合 =大学の研究対象に=
一方、ワクチン接種現場において、日野町役場職員は高い現場対応能力を示し、さまざまな課題を乗り切ってきました。もともと接種予約は完全なアナログ対応。役場OBを中心にコールセンターを組織するとともに、電話の集中を避けるため、年齢層で細かく区切って予約する方式を採用し、大きな混乱もなく運営されてきました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/59463/32/resize/d59463-32-c3481088b6b01ba8f119-2.jpg ]
また、接種現場も職員力で対応してきました。予約開始直後、タクシーによる移動希望がコールセンターに寄せられるや、「ひと晩」でタクシー助成制度を創設したり、会場設置直後、駐車場から会場への移動が困難とみるや、日赤奉仕団に支援を要請したり、日々、現場での改善を継続してきました。
これらの高い現場対応力にデジタル技術が加わることでさらに変革につなげるというのが日野町版DXです。前述の予約システム開発は、コールセンターでの経験が出発点です。そこで蓄積されたアナログノウハウをデジタル技術と融合することで、使い勝手の良いシステムを構築することにつなげました。
同様のDXとしては、町民の大きな関心事となっているワクチン接種状況・供給状況を分かりやすく示すため、5月28日よりワクチン接種の「見える化」に向けた「ワクチンメーター」をHP上で公開し、分かりやすいと大変好評をいただいています。これは、コモディティ化された技術を活用したもので、予算もかかっていません。
日野町におけるDXは大きなプロジェクトなど、いわば「特別なこと」を行うばかりではなく、日常的な取り組みの延長でデジタル技術を融合させ日々改善していくことが基本で、むしろそのような日常的な取り組みにこそ価値があると考えています。
実は、日野町は、これまでデジタル化に必ずしも積極的だったとはいえません。しかし、先行きが不透明で、唯一絶対の正解がなく、多様な解決策が求められる時代にあっては、「官民共創」とともに、「職員力とデジタル技術との融合」によるDXを推進し、時代の変化に対応していきたいと考えています。
なお、このような取組姿勢に京都工芸繊維大学が着目し、「現場対応力」、「改善力」についての研究の対象となり、継続的に取材を受けています。
※京都工芸繊維大学の研究について
「Adaptive Service Blueprint」をテーマに「行政組織サービスデザイン」の検討を行う一環として、不確実性の高い社会的課題に対する行政サービスの策定および運用について、喫緊の課題であるコロナウイルスの予防接種実施計画を事例として分析を行い、その運営方法を比較検討することを通して、様々なデータやデジタルメディア・リテラシーなどを加味した柔軟で公平な行政サービスのあり方を明らかにすることを目標にするもの。
<日野町における官民共創とDX概要>
●ビッグデータの活用による公共交通再編
【提携企業】 株式会社Agoop https://www.agoop.co.jp/
●新型コロナワクチン接種予約新システム、マイナンバーカードによる接種予約の実証実験
【提携企業】 株式会社スカラ https://scalagrp.jp/
株式会社Public dots & Company https://www.publicdots.com/
【運用開始】 2021年7月15日(木)から
●「Adaptive Service Blueprint」
【大学窓口】 京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab https://www.d-lab.kit.ac.jp/
<連絡先> info@d-lab.kit.ac.jp
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