新証言・極秘資料から「悪魔」と呼ばれた男の実像に迫る!!『辻政信の真実 失踪60年--伝説の作戦参謀の謎を追う』

プレスリリース発表元企業:株式会社小学館

配信日時: 2021-07-06 14:59:34

【発売たちまち重版!!】



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毀誉褒貶の激しい作戦参謀はいったい何をしようとしていたのか――。
1961年(昭和36年)4月4日、元陸軍参謀にして参議院議員の辻政信は、羽田空港から東南アジア視察のため単身、飛び立った。実はその出発直前、数々の「異変」が確認されていた。
たとえば、辻の次男・毅氏はこう証言する。「父はタラップに4回出てきたんです、機内に入ってから。あり得ないことです・・・・・・」。 その後の足取りは杳として知れず、8年後に「死亡宣告」が出された。

伝説の作戦参謀の生涯は、まさに波瀾に満ちている。苦学の末、士官学校を首席で卒業、陸大で恩賜の軍刀を下賜された。初陣の第1次上海事変での武勇が報じられ、一躍、時の人となるが、作戦を主導したノモンハン事件で多数の犠牲者を出し大損害を蒙る。太平洋戦争緒戦マレー作戦で名を上げ「作戦の神様」と称されるが、シンガポール攻略後の華僑虐殺問題やフィリピン戦線での捕虜殺害、ガダルカナル島奪還作戦の失敗などにより、その勇名は地に墜ちる。タイ・バンコクで玉音放送を聞いた後、潜行生活に入ることを決意、ラオス、ベトナムを経由して中国に渡り、極秘裏に日本へ帰国する。戦犯指定解除後、「潜行三千里」など手記が次々とベストセラーに。勢いに乗って衆院選でトップ当選、さらに参院選で全国3位となるも、その任期中に、内戦下の東南アジアへと向かい、消息を絶った――。

辻政信の主な評伝が刊行されたのは1980年代までだった。以来、30年以上の月日が流れている。本書は、戦前・戦中のみならず、戦後の潜伏生活や政治家としての言動、そして失踪に至るまでの経緯や死生観を丹念に検証し、数々の新証言・新事実をもとに、実像に迫っていく。

«果たして辻について語れる人が今どれだけいるのか、すでに辻に関することは調べ尽くされているのではないかと訝しみながら、なかば見切り発車的に取材を始めたのだが、実際に関係者をまわってみると、これまでの評伝では読んだことのない証言を聞くことができ、珍しい資料の提供も受けた。
〔中略〕
取材・執筆の過程でしばしば感じたのは、周囲の人々が垣間見ていた辻の素顔についてどれほど理解されているのかということだった。これまでの「絶対悪」という人物像を、改めて問うべきなのではないか。しかも、数少なくなった関係者から話を聞き、現段階で辻についてはここまで分かっていると提示することは必要なのではないかと。»
(本書「はじめに」より)

太平洋戦争開戦から80年、謎の失踪から60年――。「作戦の神様」の実像を掘り起こした本格評伝。

〈目次〉
はじめに――「絶対悪」と「英雄」の狭間で

第1章 別れの予感――1961年の辻政信――
出発前の異変/辻からの便り/「中国入国」の可能性/「米軍による射殺」説も/残された家族の心労ほか

第2章 炭焼きの子に生まれて――1902年の辻政信――
「北国ノ寒村」に生まれて/陸軍地方幼年学校へ/官報で分かった辻の成績順位/炭焼きで学費を捻出した父/家族の期待を背負ってほか

第3章 「反骨」の萌芽――1917年の辻政信――
白髪になった幼年学校時代/堅物すぎる「鉄ちゃん」/語り継がれる陸士時代の逸話/試験官に啖呵を切った陸大受験/結婚ほか

第4章 不死身の中隊長――1932年の辻政信――
初陣/不死身中尉/「時の人」から参謀本部員へ/士官学校中隊長に異例の起用/陸軍士官学校事件/「盧溝橋事件」勃発ほか

第5章 転戦し続ける「神様」――1939年の辻政信――
関東軍を引っ張る最年少参謀/マレー作戦/「作戦の神様」の光と影/華僑虐殺の真相/ガダルカナルの死闘/撤退の決断と「にがい記憶」ほか

第6章 語られざる潜伏生活――1945年の辻政信――
終戦前夜のバンコクで/「北京大学教授」として帰国/潜伏生活を伝える新証言/『潜行三千里』誕生の経緯/戦犯指定解除/ベストセラー連発の裏でほか

第7章 政界という名の戦場――1952年の辻政信――
衆院選に電撃出馬/トップ当選の波紋/『潜行三千里』映画化構想/「反・岸信介」闘争/左翼学生たちを世界旅行へ/あだ名は「サンショウウオ」ほか

第8章 「失踪」の真実――再び1961年の辻政信――
外交文書から辿る足跡/飛び交う潜行情報/旅立つ理由/池田のための視察/死を覚悟していたのか/死生観/銅像となった辻政信ほか

おわりに――負け戦と分かっていても

略年譜
主要参考文献
人名索引


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【著者プロフィール】
前田啓介(まえだ・けいすけ)
1981年生まれ。滋賀県出身。上智大学大学院修了。2008年、読売新聞東京本社入社。長野支局、松本支局、社会部、文化部、金沢支局を経て、現在、文化部で歴史・論壇を担当。満蒙開拓や、ペリリュー・アンガウルの戦い、硫黄島の戦い、沖縄戦、特攻、シベリア抑留など戦争に関する取材に関わってきた。単著としては本書が初めての著書となる。

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