学校外で英語にふれる学習環境づくりに関する記事公開

プレスリリース発表元企業:ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所

配信日時: 2021-05-31 15:30:00

インターネットの普及に伴い、私たちの身の回りでは気軽に英語に触れられる機会が増えています。子どもたちが日常的にふれているスマートフォンやゲームから英語力を身につけることができるのかという疑問を多くの人が持っているのではないでしょうか。
ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(※以下、IBS)<東京都新宿区 所長:大井静雄>では、「学校外で英語にふれる学習環境ー英語力がどの程度向上し、どのようなインプットが重要なのか(IBS訳)」という論文をレビューし、記事を公開しました。

該当論文は、「Learning English through out-of-school exposure. Which levels of language proficiency are attained and which types of input are important? (2020)(著者はVanessa De Wilde, Marc Brysbaert, and June Eyckmans、ジャーナル:Bilingualism: Language and Cognition 23(1): 171-185)」です。

この論文では以下の内容について述べています。
●学校で英語の授業を受け始める前の子どもであっても、日常生活で英語にふれることによって英語力を向上させることができた。
●日常生活での英語インプットとしては、ゲームやソーシャルメディア、会話で使われる英語が最も効果的だった。
●英語学習がうまくいくための重要な要因には、他者との関わり、インプットの量、英語に対する態度、個人差などがある。


■ スマホやゲーム機での言語インプットは英語習得に役立つのか?
世界中の多くの子どもたちにとって、潜在的な英語インプットの量は増加しています。しかし、日常生活における言語インプットは、子どもたちが英語を第二言語として身につけるうえで役立つのかという疑問が残ります。今回ご紹介する研究は、まさにこの疑問に答えようとするものです。
研究の舞台となったベルギーでは、9歳から12歳の子どものほぼ全員(98.2%)が自宅でコンピュータを使用。 また内閣府の日本の小学生のインターネット利用に関する調査によると、スマートフォン(37.6%)、タブレット端末(33.8%)、ゲーム機器(40.8%)を利用して、86.3%が定期的にインターネットにアクセスしているという結果があります。

■ 英語習得で効果的なのはハイブリット型学習、まだまだ「授業形式」に頼る日本。
学習のタイプには「公式学習」と「非公式学習」の2つがあり、公式学習は教師によって構成された授業で、授業や活動の目的は学習そのもの。明示的な知識につながる、という特徴があります。 一方、非公式学習は、教師ではなく友だちとの日常的な関わりの中で得られるもので、暗示的な知識につながります。第二言語学習に関して言えば、公式学習と非公式学習どちらのタイプもあり、それぞれがお互いに補完し合うことができるのです。しかしながら、日本における第二言語学習の多くは、特にモノリンガルの日本人家庭の子どもの場合、「公式学習」の環境で行われています。

■ ベルギーで行われた学校外における英語学習に関する研究
今回ご紹介する研究で重要なポイントは2つです。
1)子どもたちは、学校での授業を受けずに、学校外で英語にふれることによってどの程度の英語力を身につけることができるのか?
2)非公式な英語学習では、どのようなタイプの英語インプットが効果的なのか?

研究ではベルギーの北半分(フランダース地方)に住む、学校での英語教育が始まる前の10歳~12歳の子どもたち780人にアンケートと英語力テストを実施。アンケート結果からは、多くの子どもたちが毎日、音楽やテレビ、ゲーム機を通じて英語にふれていることがうかがえました。
そして英語力テストの評価では学校で正式な英語指導を受ける前であるにもかかわらず、10〜25%の子どもたちが身近で日常的な事柄に関してよく使われる文章を理解し、コミュニケーションを取れるレベル(CEFR A2レベル)の英語を身につけていたことがわかったそうです。日本ではこのレベルの英語力を高校卒業時に身につけている人は50%に満たないそうです。
さらにテスト結果との相関関係から、日常生活での英語インプットとしては、ゲームやソーシャルメディア、会話で使われる英語が最も効果的であることが判明しています。


■ 英語教育スタート前に2年分の学校授業と同じ英語知識を身につけた子どもたち
今回ご紹介した研究では、多くの子どもたちが単に自分が楽しいと思う活動を行い、英語を使った他者との関わりや意味のやりとりを繰り返すことで、自分にとって役立つ英語を身につけていたのです。そして、興味深いことに、テスト結果が上位25%の子どもの英語知識量は、学校で英語の授業を2年間受けた子どもに期待される量と一致していました。
日本では小学生の子どもたちがメディアやゲームにふれる機会が増えています。これらを活用すれば、日本の家庭における英語環境づくりに役立てることができるでしょう。日常生活における非公式学習(暗示的学習)が最も効果的であるためには、それが続けやすいものである必要があり、子どものモチベーションに左右されます。よって、子どもが英語で楽しめる話題やゲーム、グループ(英語を使ったり英語で遊んだりするコミュニティなど)を見つけることで、今回の研究で見られたような英語の非公式学習を促進することができると考えられます。


詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記記事をご覧ください。

■学校外で英語にふれる学習環境 ―英語力がどの程度向上し、どのようなインプットが重要なのか?
https://bilingualscience.com/introduction/%e5%ad%a6%e6%a0%a1%e5%a4%96%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e8%8b%b1%e8%aa%9e%e5%ad%a6%e7%bf%92%e7%92%b0%e5%a2%83%e3%81%a5%e3%81%8f%e3%82%8a/


■ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所
(World Family's Institute Of Bilingual Science)
事業内容:教育に関する研究機関
所 長:大井静雄(東京慈恵医科大学脳神経外科教授/医学博士)
所 在 地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿4-15-7
パシフィックマークス新宿パークサイド1階
設 立:2016年10 月
U R L:https://bilingualscience.com/



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