JTB総合研究所 コロナ禍におけるこれからの日本人の海外旅行意識調査(2021年2月実施)

プレスリリース発表元企業:株式会社JTB

配信日時: 2021-03-30 17:30:00




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株式会社JTB総合研究所(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 野澤肇)は、「コロナ禍におけるこれからの日本人の海外旅行意識調査」の調査結果をまとめました。

2020年の日本人の海外旅行マーケットは、2019年の旅行者数が初めて2,000万人を達成したにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症(COVID-19/以下、新型コロナ)の世界的拡大により需要がほぼ消失してしまいました。現在も、観光目的で自由に渡航できる見通しは立っていません。本調査では、海外旅行の経験者がコロナ禍の今現在、海外旅行に対してどのような関心を抱いているのか、再開した際にどのような動きをみせるのかを把握するとともに、海外に行けない今、どのような旅行を志向しているのかを明らかにすることを目的としています。
当社は、JTBが1988年から監修・発刊している「JTB REPORT 日本人海外旅行のすべて」において、独自の定点アンケート調査や各関係機関の統計資料に基づき、マーケットの構造や動向の分析および編集を行っています。本調査はその一環です。

なお、本調査のデータ集および英語翻訳版は4月中にHP上で配信する予定です。

日本人の出国者数は、この10年間では2015年を底に増加に転じ、2019年に初めて2,000万人を突破しました。しかしながら、新型コロナの世界的な感染拡大により海外への渡航は制限され、2020年の海外旅行者数は前年比84.2%減の317万人にとどまりました(図1)。うち新型コロナが世界に広がる前の1月~3月までの海外旅行者数は297万人と、全体の93.6%を占め、3月以降の海外への観光旅行は消滅した状態といえます(図2)。自由に海外旅行ができない期間が1年以上となり、海外旅行に対する意識はどうなっているのでしょうか。

(図1)日本人の出国者数の推移(資料:法務省出入国在留管理庁「出入国管理統計」)
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(図2)2020年の月別 日本人の出国者数の推移(資料:法務省出入国在留管理庁「出入国管理統計」)

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【調査概要】
調査方法 :インターネットアンケート調査
実施期間 :2021年2月4日(木)~2月7日(日)
調査対象者:<予備調査>全国15歳以上の男女 12,142名
      <本調査>スクリーニング調査回答者のうち、2017~2020年の間に海外旅行に行った人
      (ビジネス目的も含む) 2,187名
※ただし、数年先まで含めた海外旅行の予定について、「今後は行かないと思う」と回答した人は除く

<2019年と2020年の旅行経験と今後数年間の海外旅行の意識>

予備調査では、全国15歳以上の男女12,142名を対象に、2018~20年の海外旅行および国内旅行の経験や、今後数年間における海外旅行の意向について聞きました。

1.2019年の海外旅行経験者は、同年の国内のみの旅行者よりも国内旅行の回数が多く、3回以上が53.0%
2019年の海外旅行経験者の20年の国内旅行実施率は71.7%、国内のみの旅行者の20年の実施率は53.6%
海外旅行に出かけている人の方が、国内旅行にもより積極的に出掛けている

最初に、海外旅行の経験者が国内旅行に対してどれだけポテンシャルがあるのかを知るために、予備調査で2019年の海外旅行経験者と、同年の国内旅行のみ実施した人の国内旅行の頻度を比べてみました。結果は2019年の海外旅行経験者のうち、同じ2019年に1回以上国内旅行を経験している人は95.6%で、回数は「3回~4回」が27.7%と最も多く、3回以上のリピーターが53.0%で半数を超えました。一方、2019年に国内旅行のみ実施した人の国内旅行回数は、「1回」が38.2%と最も多く、3回以上のリピーターは35.1%でした(図3)。国内、海外と自由に旅行ができた2019年でも、海外旅行経験者の方が国内旅行にもより積極的であることが分かりました。
では2019年の海外旅行経験者は、新型コロナの感染が国内にも広がった2020年にどれくらい国内旅行を実施したのでしょうか。2019年の海外旅行経験者のうち、2020年に国内旅行を1回以上経験した人は71.7%、2019年に国内旅行だけを経験した人の2020年の実施率は53.6%と、前年の海外旅行経験者の方が旅行実施率は高い結果となりました。旅行回数をみてみると、どちらも最も多いのが1回でほぼ同じ割合となりましたが、2回以降から差が開き、3回以上のリピーターは前年の海外旅行経験者は25.3%、前年の国内旅行のみの経験者は13.0%という結果になりました(図4)。以上のことから、海外旅行を経験している人は総じて旅行が好きで、国内旅行も積極的であり、消えた海外旅行市場の旅行者は国内旅行消費もリードしていると考えられます。

(図3)2019年海外旅行経験別 2019年の国内旅行*の回数 *レジャー・観光目的の宿泊を伴う旅行
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(図4)2019年海外旅行経験別 2020年の国内旅行*の回数 *レジャー・観光目的の宿泊を伴う旅行

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2.今後、数年間の海外旅行への意向は、「積極派」が24.4%、「消極派」が23.3%とほぼ同数、
女性15-29歳は積極派が約4割、男女60歳以上は積極派が2割に満たず、消極派が約4割を占める

次に、今後、数年間の海外旅行の意向を聞きました。全体では「海外旅行に行く頻度、回数は増やしていきたいと思う」と「海外旅行はしていなかったが、これからは行きたいと思う」を合算した「積極派」は24.4%となりました。「今後、海外旅行に行く頻度、回数は減らすと思う」と「これまで海外旅行はしていたが、今後は行かないと思う」を合算した「消極派」は23.2%と、積極派の方が僅差で多い結果となりました。性年代別でみると、女性15‐29歳は積極派が40.7%と、他の年代に比べてより前向きな姿勢がみられました。一方、男女60歳以上では、消極派が男性で38.7%、女性で42.0%となり、積極派(男性:17.8%、女性:13.1%)と大きな差が出る結果となりました(図5)。他の調査同様、海外旅行に行けない時期が長引けば、世代交代が進む可能性が高まると考えられます。

(図5)今後の数年間の海外旅行への意識
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<海外旅行再開に対する気持ちや考え方>

ここからの本調査では、2017年~2020年の間に海外旅行の経験があり、かつ今後数年間に海外旅行の意向があると回答した2,187名を対象に、新型コロナが収束していない、今現在の海外旅行へ出掛けることに対する気持ちや考えを聞きました。

3.海外旅行再開に対する意向は、「世界的に新型コロナが落ち着くまでは行かない」が60.4%、
「行きたいと考えている国・地域が旅行者を受け入れるようになったら」25.8%、
「行き先にこだわらずどの国・地域であってもすぐに行きたい」は13.8%

海外旅行が再開した際の意向を聞いたところ、「世界的に新型コロナが落ち着くまでは、しばらく海外旅行には行かないと思う」は60.4%で、約6割が新型コロナの収束を待ってから海外旅行に出掛ける意向であることが分かりました。「今行きたいと考えている国・地域が観光目的の旅行者を受け入れるようになったら行きたい」は25.8%、「観光目的の旅行者を受け入れる国・地域があれば、行き先にこだわらず、どの国・地域であってもすぐに行きたい」は13.8%で、行き先にこだわらずすぐに行きたい層も1割程度いることが分かります。性年代別にみると、「観光目的の旅行者を受け入れる国・地域があれば、行き先にこだわらず、どの国・地域であってもすぐに行きたい」は男性15‐29歳で26.1%になり、他の世代に比べてより積極的です(図6)。女性15‐29歳は、予備調査で聞いた「今後、数年間の海外旅行の意向」では前向きな姿勢がみられましたが、海外旅行再開後の意向は若い男性に比べ慎重である様子がうかがえます。
次に、海外旅行の再開のきっかけは何になると考えているのかを聞きました。「新型コロナに対する効果的な治療薬が見つかれば(40.4%)」が最も高く、万が一でも新型コロナに感染しても対応が可能であることが、海外旅行再開の大前提の考え方といえそうです。性年代別にみると、男女15‐29歳では「自国の自粛ムードが解消されれば」、「友人・知人など自分の周囲の人が海外旅行に行き始めたら」が他の年代に比べて高い結果となりました(図7)。若い世代ほど自粛ムードや周囲の目を気にするなど、周囲との関係を大事にしている様子がうかがえます。

(図6)性年代別 海外旅行再開の意欲
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(図7)性年代別、海外旅行再開のきっかけ

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4.観光目的の海外旅行が可能になったら行きたい国・地域は「ハワイ」「台湾」「米国本土」「オーストラリア・ニュージーランド」「韓国」、選ばれる理由は、ハワイ「その国・地域が好きだから」、台湾やオーストラリア・ニュージーランド「新型コロナ感染者数が少ない」「 新しい感染症への対応が信頼できる」

観光目的での海外旅行が可能になったら、まず行きたいと思う国・地域を聞きました。上位から順に、「ハワイ(20.1%)」、「台湾(11.8%)」、「米国本土(7.5%)」、「オーストラリア・ニュージーランド(7.0%)」、「韓国(7.0%)」となりました(図8)。コロナ禍以前から人気の高いデスティネーションであるハワイは、観光目的の海外旅行再開後の旅行先としても人気が高いようです。
では、なぜそれらの国・地域が選ばれたのでしょうか。それぞれの国・地域について選んだ理由をみると、ハワイは「その国・地域が好きだから」が他の国・地域を上回っており、「とにかく好き」というデスティネーションの総合的な強さを感じる結果となりました。台湾や韓国では「日本から比較的近い国・地域だから」、「旅行代金が安そうだから」が高く、米国本土やオーストラリア・ニュージーランドでは「自然やアウトドアを楽しめる環境が充実しているから」が高い結果となりました。また、台湾やオーストラリア・ニュージーランドでは、「新型コロナの感染者数が少ない国・地域だから」、「新しい感染症に対し、国や地域としての対応が信頼できるから」などが他に比べて高く、国・地域の新型コロナへの対応が今後のデスティネーションを選ぶ上での基準のひとつになっている様子がうかがえます(図9)。
次に、行きたい国・地域を性年代別でみると、いずれもハワイがトップとなりました。一方、2位以下では違いが見られ、男性ではすべての年代で「台湾」が高いのに対し、女性では「韓国」も上位に加わる傾向がみられました(図10)。

(図8)海外旅行再開後、まず行きたい国・地域
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(図9)行きたい国・地域を選んだ理由 【行きたい国・地域の上位5つを抜粋】

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(図10)性年代別 行きたい国・地域

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<海外旅行再開時の旅行スタイル>

現在、日本を含む多くの国では、出入国時の水際対策として、出入国後に一定の隔離期間を設けています。一方、旅行再開には、日本旅行業協会と全国旅行業協会が、海外旅行の再開時に企画旅行主催者が参加旅行客の旅行中・旅行後の行動履歴を把握できる「管理型旅行(グループ型のパッケージツアー)」から始めることを政府に提案しています。政府は『感染拡大防止と観光需要回復のための政策プラン』の中で、管理された小規模分散型パッケージツアーを試行的に実施していくことを検討しています(注1)。

以上をふまえ、本調査では、「隔離旅行」や「管理型旅行」についてどう思うかを聞きました。

5.「行き先にこだわらず、すぐに海外旅行に行きたい」と考えている人は、半数以上が「隔離旅行」を容認
一方「すぐ行きたい」人でも、「管理型旅行」に参加したい人は32.6%、約半数が「個人で好きにしたい」

まず、旅行先に入国した後、一定の隔離期間が設けられる「隔離旅行」でも海外旅行に行きたいか聞いたところ、「施設内だけでも滞在が楽しめるのであれば、隔離期間が必要でも行きたい」、「隔離期間中は仕事をしていればよいので、隔離期間が必要でも行きたい」を合算した「容認派」は、全体で16.9%となりました。全体のうち、「行き先にこだわらず、すぐに行きたい」と考えている人では容認派が51.2%で、すぐ行きたいと考えている人の約半数以上が「隔離旅行」を容認しているといえそうです(図11)。すでに世界では、隔離期間中でも滞在を楽しめるプランを用意する国・地域が出ています。例えばタイでは、ホテルでの隔離検疫をする代わりにゴルフ場でラウンドしながら16日間隔離検疫することができる政府指定のゴルフ場を5つ発表しています(注2)。出入国時の隔離期間でも滞在を楽しめる工夫は、すぐに旅行に行きたいと考える旅行者のニーズと、現状を打破したい事業者の課題の両方を捉えたコロナ禍における海外旅行のスタンダードになるのかもしれません。

次に、旅行者の安全や現地での円滑な旅行の提供のために現地行動の把握を目的とした旅行会社のグループ型パッケージツアーなどを利用する場合に限って海外旅行が可能となる「管理型旅行」で海外旅行に行きたいか聞きました。結果は全体では「個人で好きなように海外旅行ができるようになるまで、海外旅行は控えたい」が41.7%と最も多く、「管理型旅行のパッケージツアーを利用して、すぐに海外旅行に行きたい」は12.7%に留まりました。全体のうち、「行き先にこだわらず、すぐに行きたい」と考えている人でも「旅行会社のパッケージツアーを利用してすぐに海外旅行に行きたい」は32.6%で、48.8%が「個人で好きなように海外旅行ができるようになるまでは海外旅行を控える」と回答しています(図12)。以上のことから、「行き先にこだわらず、すぐに行きたい」と考えている人は、「隔離旅行」は容認する傾向でも、「管理型旅行」のグループ型のパッケージツアーを利用して海外旅行に出掛けることにはあまり積極的ではないことが分かります。「行き先にこだわらずすぐに行きたい」と考えている人は、海外旅行経験が豊富な人が比較的多いことから、旅行先で自由に活動したい意向が高く、そのような旅行者が魅力に感じるようなグループ型パッケージツアーの内容を考えていくことが重要と思われます。

(注1)出所:国土交通省観光庁HP「『感染拡大防止と観光需要回復のための政策プラン』の決定について」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000433.html
(注2)出所:タイ政府観光庁HP「【ゴルフ】コロナ隔離がタイ政府指定ゴルフ場で代替可能」
https://www.thailandtravel.or.jp/news/84069/

(図11)海外旅行再開後の意向別 「隔離旅行」についての考え
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(図12)海外旅行再開後の意向別 「管理型旅行」についての考え

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6.海外旅行の再開を見据えて現在行っていることは、
全体では「お金を貯める(38.7%)」、「行きたい国・地域の情報をチェックする(24.6%)」
若年層は「お金を貯める・休みの計画をたてる」、シニア層は「情報をみる」

海外旅行再開の見通しが立たない現時点では、再開を見据えた行動を何かしているか聞きました。「海外旅行再開に向けた行動は特にしていない」は、51.6%と半数を超えました。2017~2020年の海外旅行経験者でも、今後の海外旅行意向がある本調査対象者でも、新型コロナが長引き、渡航制限が続くことで海外旅行に対する関心が薄れてしまうことも懸念されます。では、海外旅行再開に向けて何か行動をしている人は、具体的に何をしているのでしょうか。具体的に聞いてみたところ、「旅行費用を貯める(38.7%)」が最も高く、「具体的に行きたい海外旅行先の情報をチェックする(24.6%)」が続きました(図13)。性年代別に詳細をみると、女性15‐29歳では「旅行費用を貯める」、男性15‐29歳では「休みの計画を立てる」が、他の年代に比べて高い傾向がみられました。一方、男女60歳以上では「旅行番組」、「旅行会社の催行状況」が高く、具体的に海外旅行に行くために必要な情報を集めていることが分かります。若年層では情報の取得は「旅行先に行った人のブログやYoutube」、「旅行体験談を家族などから聞く」が高く、同じ情報でも取得する媒体が年代によって異なる傾向がみられました(図14)。新型コロナの影響により、海外旅行再開の目途が立っていない今、今後の海外旅行意向がある人に向けた情報提供は、より世代や個人のニーズにマッチした媒体から発信することが望ましいと考えます。

(図13)現時点での海外旅行の準備
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(図14)性年代別 現時点での海外旅行の準備

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<まとめ>

■ 海外旅行復活の鍵となるのは、安全・安心がみえる「情報提供」、「パッケージツアーのあり方」

海外旅行の再開を見据えた行動では、「情報」をチェックしている人が多くいました。同じ「情報」でも、年代により取得する情報の種類や媒体が違ったことも、今回の調査でみえた大きな特徴の一つです。若年層は、旅先のイメージなどを膨らませるためにブログやSNSを通じた体験談など地元の情報を、シニア層は実際に旅行に行くときのために、ウェブサイトなどで入国制限や新型コロナの状況、ツアーの催行状況などをチェックしている傾向がみられました。行きたい旅行先で上位に上がった台湾やオーストラリア・ニュージーランドは、新型コロナへの対応を評価され選ばれている傾向もみられました。この評価は、それぞれの国・地域が世界に向けてしっかりと情報を発信した結果といえそうです。海外旅行の再開が見えないからこそ、安心・安全がみえる情報提供を大前提に、個人のニーズにあった情報を、媒体を選んで発信していくことが重要だと考えます。

また、今後の海外旅行意向があるにもかかわらず、今は「海外旅行再開に向けた行動は特にしていない」という人も、51.6%と半数を超えました。新型コロナが長引くことで、パスポートが切れたままになる、海外旅行に対する関心そのものが薄れてしまう、といったことも懸念されます。再開時には、一度リセットされてしまった環境を元に戻し、海外旅行へのハードルを下げる取り組みも重要になりそうです。

「行き先にこだわらず、すぐ海外に行きたい」と考えている人でも、入国時に一定期間隔離されることと比較して、「行動を把握される管理型旅行のパッケージツアー」を積極的に利用したいとする層はあまり多くありませんでした。これまでのグループ型のパッケージツアーは、転々と周遊することが特徴で、多くの都市や人と出会うことは、コロナが収束していない中での旅行に対する不安材料となることが考えられます。今後はコロナ禍の経験を機に、管理された上でせわしなく転々と旅行するスタイルよりも、安心感と快適さを兼ね備えた、豊かな自然の中でゆったりと過ごし滞在する「リゾートライフ」が見直されるのではないでしょうか。

2020年、新型コロナの感染が世界的に拡大し、国際交流だけではなく、日本国内の移動も制限がされ、国内旅行も混乱を極めました。海外旅行が再開した際には、更なる混乱や困難な状況が待ち構えていると考えるのは必然です。試行錯誤が続く中で、どのように安全・安心を担保しながら、海外旅行マーケットが復活していくことができるのか、より一層、消費者に寄り添った知恵を絞り考えていくことが重要になると考えます。

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