NECオンコイミュニティとオスロ大学病院、AIを活用した新型コロナウイルス感染症の新たな診断方法について共同開発を開始
配信日時: 2020-10-08 11:00:00
TOKYO, Oct 8, 2020 - ( JCN Newswire ) - NECの子会社であるNEC OncoImmunity AS(NECオンコイミュニティ、注1、以下 NOI)とオスロ大学病院(注2、以下 OUH)は、政府機関であるノルウェー研究評議会(RCN)から新興感染症や風土病に対するT細胞診断の迅速なデザインを可能にするAIプラットフォームを開発するための助成金を獲得しました。このプロジェクトでは、現在世界的に流行している新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)に対して、既存の抗体検査を補完する新たなT細胞診断法の開発を行います。これにより、COVID-19の危機に対処するために切実に必要となる、その免疫反応および獲得免疫の識別能力の向上が期待されます。
現状の技術では、病原体のどの部分が強固な免疫を誘発するかを正確に定義するために、多くの試行錯誤を伴います。このいわゆる免疫優勢抗原エピトープは一般集団に対して特定される必要があります。SARS-CoV-2(COVID-19を引き起こすウイルス)のようなウイルスに対するT細胞反応をモニターするための検査を開発するには、このように手間と集中力を要し時間のかかるステップが必要となります。
まだ衰えないCOVID-19の脅威を克服するには、免疫を持つ個体を同定できる信頼性の高い診断検査が必要となってきます。本プロジェクトで開発されるAIに基づく診断は、抗体検査を補完し、SARS-CoV-2または他の季節性コロナウイルスに感染後、ウイルスに対して免疫をすでに有した個人なのか、あるいは、ワクチン接種によって免疫を獲得した個人なのかを同定することを目指します。
オスロ大学病院 免疫学部長の研究・グループリーダーであるLudvig A.Munthe(ルードヴィグ・A・ムンテ)教授は以下のように述べています。「抗体検査はSARS-CoV-2 感染症に対する免疫反応を理解するうえで重要な1つの側面であり、今後もその診断の中心となるでしょう。ただし、感染から回復した抗体陰性の感染者においては、防御的なSARS-CoV-2特異的T細胞応答が生じます。さらに、地域流行した季節性ヒトコロナウイルスとの交差反応により既に集団に潜在的な免疫がある可能性があります。」
抗体診断を開発する技術は容易に入手可能ですが、T細胞診断の場合は困難であり、現在世界中で発生しているCOVID-19の免疫をモニターする際の「盲点」となっています。この重要なギャップに対処すべく、今般NOIとOUHはRCNの支援を得て、感染に対する潜在的なT細胞の反応をモニターする、AIで設計したT細胞診断の開発に着手しました。信頼性の高いT細胞診断の開発の特有の技術的課題に対し、NOIのNEC Immune Profilerが提供するソリューションによって世界の人々に対応することを目指します。
NECオンコイミュニティ CSO(Chief Scientific Officer)のTrevor Clancy (トレバ-・クランシー) 博士は次のように述べています。「T細胞は、ウイルスに対する初期及び長期の免疫において中心的な役割をはたすことが知られています。しかしながら、T細胞応答は、さまざまな病原体や人類の遺伝子グループ間で非常に異なるものであるため、COVID-19の信頼性の高いユニバーサルなT細胞診断法を開発するのは困難な課題です。NOIのサイエンティストはこの課題に触発され、感染へのT細胞応答を診断のシグナルとして探索するのに我々の持つAIを用いようと考えました。このプロジェクトでは、NEC Immune Profilerやその他のAI技術を使い、活用して、世界の人々の多様な遺伝子構成に対するCOVID-19のT細胞診断法の開発を目指します。」
AIの開発は、COVID-19に対するコンタクトトレーシングや感染制御に役立つだけではありません。実際このプロジェクトでNOIとNECが開発するプラットフォームは大部分が病原体や疾患種にかかわらず用いられ、将来の緊急事態において、危険な新感染症病原体が引き起こす新たなパンデミック発生に対する新しい診断を迅速に開発することに用いられるかもしれません。
NECオンコイミュニティ CEO のRichard Stratford(リチャード・ストラットフォード)博士は次のように述べています。「今回のAIプラットフォームは、まず現在のCOVID-19パンデミックに適用されますが、当社はこのプラットフォームを将来に備えたものに設計し、世界中の人々を脅かす可能性のある新興感染症にも適用できるようします。これにより、当社にとっても増大する感染症診断市場にむけた新しく興味深い機会が開かれると考えます。」
世界がCOVID-19のようなパンデミックに遭遇してから、1世紀以上が経ちました。世界中でCOVID-19が蔓延してから現在までに、100万人以上の命を奪われています。今回のパンデミックは、世界中で慢性的な景気後退への懸念を引き起こしました。休業やソーシャルディスタンス、旅行の制限は、世界中で労働人口の低下を招き多くの雇用や事業に影響を与えています。NOIとOUHの共同研究は、SARS-CoV-2または他の季節性コロナウイルスの自然感染後に世界中の免疫を持つ人を特定できる信頼性の高い診断検査を開発するという重要な取り組みです。
NEC AI創薬事業部長の北村 哲は次のように述べています。「世界のコミュニティが今回のパンデミックの危機を乗り越えるためには、COVID-19がもたらす社会経済的かつ深刻な健康被害を軽減するための、信頼性の高いT細胞診断が重要と考えます。NECのAI技術がCOVID-19の脅威の解決に貢献できることを誇りに思います。NECは社会価値創造企業として、これからもAI技術の強みを最大限に活かした研究開発により、COVID-19の拡大防止とともに、将来のパンデミックの脅威から人々を守るために貢献していきます。」
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://jpn.nec.com/press/202010/20201008_02.html
概要:日本電気株式会社(NEC)
詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。
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