浅田次郎が遭遇した小説には書けない波乱の日常。小学館文庫『竜宮城と七夕さま』

プレスリリース発表元企業:株式会社小学館

配信日時: 2020-06-18 11:30:00

ベストセラー作家の傑作エッセイ集

乙姫様のごちそうとは、いったいどのような献立であったのだろ



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ベストセラー作家の日々を描く「つばさよつばさ」「アイム・ファイン!」「パリわずらい 江戸わずらい」に次ぐ傑作エッセイシリーズ第4弾。

«このごろ、妙なことに気付いた。十代二十代の若者の半数ぐらいが、入浴に際してタオルを持たぬのである。»
銭湯と浴室での作法を考える「唸る男」。

«ひどく寒くて、心細くて、でも貧しくはない。藁の匂い。オリーブオイル。ひたすらヒマ。
ええと、これ何だっけ。
記憶の検索をすること実に数日、私は二十余年の作家生活中、唯一ヒマを持て余した体験をようやく思い出した。»
オーストリアのチロル風エステに赴くとそこはなぜか家畜小屋だった「ヒマ」。

«ある程度のサイズに成長した鯉には、天敵がいないのであろう。ましてや皇居の御濠で釣り人を見かけたためしはなく、水質が汚染されるはずもない。つまり、このうえ望むべくもない環境に恵まれている御濠の鯉は、当たり前に百年の上を生きるのではないかと考えた。»
締切が迫っている中、長命の研究にいそしむ「寿命の考察」。

«浦島太郎は竜宮城で何を食ったのか。
この問題は加齢とともに食が細くなるどころか、ほとんど際限なく食い意地の張ってきた私の、ゆるがせにできぬ疑問となっている。
顧みて思うに、この浦島太郎の話は私の人生の折々に異なった謎を提供し続けてきた。»
浦島太郎が食べたご馳走と、滅多に会えない織姫と彦星の恋の行方に想いを馳せる表題作「竜宮城と七夕さま」。

軽快な文章と深遠な思想が脳内を気持ちよく刺激する。
腹を抱えるような“笑い”から思わぬ“気づき”、目の前がぱっと開ける“昂ぶり”まで、さまざまな感情をくすぐる珠玉の全40篇。

こちらは、2020年5月、コロナの禍中に書かれた著者の本書「あとがき」の一部。
«小説家は小説を書くことのみが本分であると知った。これまでの作家生活に、どれほど余分が多かったかを思い知ったのである。
よって本書のゲラ校正も丹念におえ、ひきこもったまま「あとがき」も書きおえた。
ではこれより、閑暇に安住することなく次回作の執筆にかかる。運命は不可知だが、けっして神の定めたところではないと信じて。»


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【著者プロフィール】
浅田次郎(あさだ・じろう)
1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で大佛次郎賞を受賞。2015年紫綬褒章受章。2019年菊池寛賞受賞。

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