金融機関が気候変動リスクを一段と重視

プレスリリース発表元企業:The Global Association of Risk Professionals

配信日時: 2020-05-21 20:56:00

2020年世界ベンチマーク調査によれば気候リスク管理の優先度が上昇

(米ニュージャージー州ジャージーシティ)-(ビジネスワイヤ) -- 世界リスク管理専門家協会(GARP)が新たに実施した世界的な調査によれば、銀行やその他の金融機関は、気候リスク管理の努力を強めつつあります。GARPの調査では、気候関連のリスクと機会について取締役会レベルで管理を行っている企業の割合は、2019年の81%から90%に増加しましたが、自社の戦略が今後5年以上にわたって気候変動に対処できると考えている企業は30%にすぎないことが明らかになりました。

GARPによる世界ベンチマーク年次調査の実施は、今年で2回目となります。今回の調査には世界各地から銀行、資産運用会社、保険会社など、2019年のほぼ3倍の71社の大手金融機関が参加し、その合計時価総額は3兆8000億ドルに達しました。

この調査では、金融サービスの中で気候リスクに対処する上でいくつかの障壁と課題があることが判明しました。ほとんどの企業にとって、短期的な最大の懸念は気候リスクに関する信頼性の高いモデルの欠如であり、次が規制の不確実性です。これは、規制当局がこの分野における企業慣行に関して正式な期待事項を定め始めたことが理由となっています。

シナリオ分析は、気候変動戦略の策定において企業が利用できる重要で価値の高いツールですが、シナリオ分析を定期的に活用している企業は回答者のほんの一部(14%)にすぎず、一度でも使用したことのある企業のうち、分析結果に基づいて行動を起こした企業は54%のみでした。

GARPリスク・インスティチュート(GRI)共同プレジデントのジョー・ペイズリー(Jo Paisley)は、次のように述べています。「銀行やその他の金融機関は、気候変動がバランスシートと事業運営に与え得る影響と、それがリスクと機会の両方をもたらすことを認識しています。企業は気候変動に対する自社のビジネス戦略の長期的な堅牢性に懸念を持っているため、気候リスクの管理能力を進化させています。」

このほかの主要な調査結果は、以下のとおりです。

気候リスクは適切に評価されていないという見方が一般的である。回答者の圧倒的多数が、市場の製品の価格設定において気候リスクが部分的にしか評価されていないか、完全に除外されていると考えている。価格設定を困難にする要因としては、気候変動の予測の複雑性、堅固で信頼性の高い気候リスク・データの欠如などが挙げられた。大部分(93%)の企業が気候リスクを管理する専任のチームを設けていない。これは恐らく、ほとんどの企業が気候リスクを主要なリスクではなく、信用力、市場、運用などのリスク・タイプにまたがる横断的なリスクと見なしており、既存のリスク・チーム内で気候リスクを管理していることが理由となっている。企業は気候変動から生じる機会があることを認識し、取扱商品に変更を加えている。企業の4分の3は、気候変動に応じた新たな商品やサービスをすでに発売しており、ほぼ同率(76%)の企業が将来的に既存の商品やサービスの変更または新たな商品やサービスの発売を計画している。昨年と同様に、2020年度の調査でも金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の主要テーマに重点が置かれ、強化された成熟度モデルを用いて (1) ガバナンス、(2) 戦略、(3) リスク管理、(4) 指標、目標、上限の利用、(5) シナリオ分析の利用、(6) 気候リスクの情報開示の6つの側面における各企業の気候リスク対応能力が評価されました。

調査報告書「Mapping Out the Continuing Journey」の全文は、GARPのウェブサイトgarp.org 経由および気候リスクに関するGARPのマイクロサイト「Shifting Landscapes」でご覧いただけます。

世界リスク管理専門家協会について

世界リスク管理専門家協会は、リスク管理実務の向上に注力する非党派・非営利の会員制組織です。GARPは、役割ベースのリスク管理認定であるFinancial Risk Manager(FRM®)とEnergy Risk Professional(ERP®)に加えて、Sustainability and Climate Risk(SCR™)認定と継続的専門能力開発を通じた継続的教育機会(Continuing Professional Development)を提供しています。GARPベンチマーキング・イニ シアチブ(GBI)とGARPリスク・インスティチュート(GRI)により、GARPはリスク管理に関する調査に出資し、実務者、研究者、規制当局間の協力を促しています。1996年に設立され、評議員会による統制を受けているGARPは、ニュージャージー州ジャージーシティに本拠地を置き、ロンドン、ワシントンDC、北京、香港にオフィスを構えています。詳細情報についてはgarp.orgをご覧になるか、リンクトインフェイスブックツイッターでGARPをフォローしてください。

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