サムスン、4万ニトの超高輝度「RGB OLEDoS」を公開 スマートグラスの屋外視認性を劇的に向上へ

2026年6月20日 00:19

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記事提供元:Tech Times

Samsung Displayは、世界最大級のXR(拡張現実)展示会「AWE USA 2026」において、超高輝度RGB OLEDoS(OLED on silicon)を公開した。この技術は次世代のスマートグラスやヘッドセットの基盤技術として位置づけられている。しかし、競合であるソニーが支配する市場への参入や、製造における歩留まりの改善など、実用化と普及に向けては依然として多くの課題や未確定要素が残されている。

■屋外での視認性を確保する「4万ニト」の衝撃

Samsung Displayは、カリフォルニア州ロングビーチ・コンベンションセンターで開催された「AWE USA 2026」(6月16〜18日)に出展し、現地時間6月17日に超高輝度RGB OLEDoSを発表した。展示された主な製品は1.3インチと0.62インチのRGB OLEDoSで、いずれもピーク輝度4万ニトを達成している。これは同社が前年に発表した2万ニトの2倍に相当し、一般的なハイエンドスマートフォンの画面輝度(約2,000〜3,000ニト)を遥かに凌駕する数値である。

AR(拡張現実)グラスにおいて、これほどの高輝度が必要とされるのには実用的な理由がある。ディスプレイパネルから放出された光は、ユーザーの目に届くまでにレンズやウェーブガイド(導波路)、コンバイナーなどの光学部品を通過する必要があり、その過程で光の大部分が失われてしまう。通常のスマートフォン並みの輝度では、屋外の直射日光下ではほとんど何も見えなくなってしまう。数万ニトという極めて高い輝度を確保して初めて、光学部品による損失を経た後でも、日中の屋外で視認可能な画像を投影できるようになる。そのため、ARグラス向けディスプレイ市場においては、解像度以上に輝度が重要な参入条件とされている。

同社は、1.3インチパネルを「北斗七星(The Big Dipper)」と名付けられた暗室インスタレーションで展示した。7枚のパネルで星座を再現し、そのうち2枚に4万ニトのディスプレイを使用することで、従来のスクリーンとの違いを比較できるようにした。また、0.62インチパネルはARスマートグラスのプロトタイプに搭載され、リアルタイム翻訳やナビゲーション、天気情報を背景の景色に重ねて表示するデモが行われた。さらに、MR(複合現実)ゾーンでは、RGB OLEDoSを搭載したMRヘッドセットのプロトタイプを用いて、K-POPコンサートの映像やリズムゲーム「Synth Riders」のデモが披露された。

■カラーフィルターを排除した「RGB直接蒸着」の強みと課題

RGB OLEDoSは、シリコンウェハ上に有機EL(OLED)を直接形成し、カラーフィルターを介さずに赤(R)、緑(G)、青(B)の光を直接生成する技術である。Samsung Displayによると、白色光をカラーフィルターに通して色を分光する「白色OLEDoS(White OLEDoS)」と比較して、光の利用効率が高く、寿命も長いという。また、単一パネル構造であるため、競合する他のアプローチに比べて最終的なパネル構造がシンプルになり、量産性やコストの面で有利であると同社は主張している。

ただし、この主張には注意が必要である。シリコンディスプレイのような極小の画面上に、3つの独立した発光体を直接蒸着するプロセスは技術的に極めて困難とされている。サブミクロン単位の極めて精密な位置合わせと微細なマスク技術が必要とされるため、これまで商業製品では白色OLEDoSが主流となってきた。同社が主張する「複雑さが少ない」というメリットは、あくまで完成したパネル構造の単純さを指しており、製造工程そのものの難易度が低いわけではない。実際、同社がGalaxy XRヘッドセット向けに製造しているとされる白色OLEDoSの生産では、当初の歩留まりが約30%にとどまり、その後に改善したと報じられている。今回のRGB OLEDoSにおいても、量産時の歩留まりが最大の焦点となる。

■ソニーが支配するXRディスプレイ市場への挑戦

今回の展示は、具体的な製品の発表ではなく、デバイスメーカーに対するコンポーネント(部品)の売り込みを目的としたものである。現在、この分野ではソニーが圧倒的なシェアを誇っており、XRデバイス向けマイクロOLED出荷の大半を占め、Appleの「Vision Pro」にもパネルを供給している。Samsung Displayの狙いは、より明るく効率的でカラーフィルターのないパネルを投入することで、ソニーが築き上げた市場に食い込むことにある。ただし、そのためには十分な規模と適切なコストでの量産体制を確立することが前提となる。

なお、Samsung Displayは今回の新しいパネルが具体的にどの製品に搭載されるかについては明らかにしていない。一部の報道や噂によれば、サムスン自身が開発中と噂されるスマートグラスには、OLEDoSではなくmicroLEDが採用されるとも伝えられており、本パネルの採用先は未確定のままである。

■AI連携ディスプレイや3D技術など未来のコンセプトも展示

同社はまた、ディスプレイとAIを組み合わせた未来志向のコンセプト技術も展示した。通常時は平らだが、使用状況に応じて物理的に立体的に突出する「ストレッチブルディスプレイ」や、メガネなしで3D映像を表示できる「ライトフィールドディスプレイ(LFD)」などが紹介された。LFDのデモでは、韓国の歴史的な石塔である「多宝塔(タボタプ)」の回転画像が用いられた。

Samsung Displayは、今回のAWEへの参加を通じてグローバルなXRパートナーとの連携を深め、生産効率の向上に注力しながら、超高輝度RGB OLEDoSの開発を継続していく姿勢を示している。

■注目ポイントQ&A

●RGB OLEDoSとは何ですか?

RGB OLEDoS(RGB OLED on silicon)は、シリコンウェハ上に有機EL(OLED)を直接形成した超小型・高解像度のマイクロディスプレイです。カラーフィルターを使用せず、赤・緑・青の発光体から直接光を生成します。非常に小型で高精細なため、スマートフォンやテレビではなく、主にXRヘッドセットやARスマートグラス向けに開発されています。

●ARグラスになぜこれほどの高輝度が必要なのですか?

ARグラスでは、ディスプレイから出た光がレンズやウェーブガイド(導波路)、コンバイナーなどの光学部品を通過する際に、その大部分が吸収または反射されて失われてしまいます。通常のスマートフォン程度の輝度では、屋外の明るい場所で表示がほとんど見えなくなってしまうため、数万ニトという極めて高い輝度で発光させることで損失を補い、日中の屋外でも情報を視認できるようにしています。

●RGB OLEDoSと白色OLEDoS(White OLEDoS)の違いは何ですか?

白色OLEDoSは、白色の光を生成した後にカラーフィルターを通して赤・緑・青の色を作り出すため、フィルターを通過する際に光のエネルギーが一部失われます。一方、RGB OLEDoSはフィルターを通さずに各色の発光体から直接光を出すため、光効率と寿命に優れるとされています。ただし、極小のシリコン上に3色の発光体を精密に配置する製造プロセスは非常に難易度が高く、これがこれまで白色OLEDoSが商業的に主流だった理由です。

●サムスンのRGB OLEDoSはどのデバイスに搭載されますか?

現時点では、具体的な搭載製品や採用メーカーは公表されていません。Samsung Displayは本パネルを次世代XRデバイス向けのコンポーネントとして提案していますが、サムスン自身が開発中と噂されるスマートグラスにはmicroLEDが採用されるとの報道もあり、実際の採用先は未確定です。

元記事: Samsung Display Unveils Ultra-Bright RGB OLEDoS for Smart Glasses at AWE USA

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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