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ラキール Research Memo(8):2ケタ増益予想のなか、想定より早く業況が好転
*12:08JST ラキール Research Memo(8):2ケタ増益予想のなか、想定より早く業況が好転
■業績動向
2. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期業績について、ラキール<4074>は売上高8,657百万円(前期比8.6%増)、営業利益800百万円(同43.0%増)、経常利益785百万円(同44.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益506百万円(同39.8%増)を見込んでいる。営業強化や低採算案件の見直しによって収益力を回復し、成長軌道に戻す方針である。
物価上昇や金融政策の影響など景気への懸念材料はあるものの、DX市場の拡大は引き続き顕著で、企業のIT投資は一層加速するものと予測されている。このような環境下、同社はユーザー企業のビジネス価値最大化に向け、LaKeel DXをはじめとする製品サービスを強化するなど、プロダクトサービスを主軸に事業を展開する。主力のLaKeel DXと強化中のLaKeel HRの販売を強化し、LaKeel BIとLaKeel Data Insight、LaKeel OnlineMediaServiceの成長も見込む。また、AI関連製品やAIによって機能を向上した製品への引き合いが強いことから、ライセンス販売は2024年12月期下期の低調から回復・成長を見込んでいる。なかでもLaKeel HRの引き合いが強く、サブスクリプション(LaKeel製品)の伸びも見込めそうだ。コンサルティングサービスは、製品サービスの回復に伴って売上高に勢いが戻ると予想される。プロフェッショナルサービスでは大型案件が縮小した影響は残るが、代替策として新規案件を獲得するため営業を仕掛けている。利益面では、ライセンス販売の回復や採算見直しにより売上総利益率を例年並みの35%程度へ戻す計画のうえ、販管費も大きく膨らむ要素がないため、営業利益は大幅な増益が予想される。足元、営業強化によってプロダクトサービス、プロフェッショナルサービスともに想定より早く業況が好転しており、業績の底は当初想定していた2025年12月期第1四半期ではなく、2024年12月期第4四半期になりそうである。このため、結果的に会社予想はやや保守的なものになったようだ。
収益性・成長性・安定性の高いビジネスモデルで持続的成長へ
3. 成長戦略
成長戦略は従来通り、プロフェッショナルサービスで、既に確保しているリカーリングレベニューで安定成長を目指す一方、既存顧客をプロダクトサービスへ誘導するクロスセルを強化する計画である。コンサルティングサービスでは、DXコンサルティングとデータアナリティクスによるハイブリッドなサービスを提供することで、高い成長性と収益性を実現する予定である。製品サービスでは、LaKeel DXを中心にLaKeel製品のラインナップを拡充することで、ユーザー数を拡大して高い収益性を確保する計画である。特に高い収益性が期待できる製品サービスに注力、生成AIによる機能向上や人事給与システムなどHR分野での営業強化を推進し、ユーザー企業に適したサービスを提供していく。長期的にはそれだけに留まらず、ユーザー企業のさらなるDXに向けてアップセルとクロスセルを推進し、ユーザー企業のLTV(顧客生涯価値)を最大化していく考えである。このように収益性・成長性・安定性の高いサービスを基盤としたビジネスモデルを背景に成長を持続することで、部品の組み合わせという独自のアプリケーション部品産業を創出し、LaKeelエコノミーを構築する方針である。なお、DX市場は成長を継続しており、2030年には世界で470兆円、日本6兆5,000億円を超えると言われている。そのなかで同社のターゲットとなる市場は7,600億円(同社想定)を超えると見込まれており、成長余力は非常に大きいといえる。成長市場での具体的な戦略展開を示した中期経営計画の策定にも期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《HN》
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