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萩原電気HD Research Memo(5):2025年3月期は営業利益で前期比9.2%減へ下方修正(1)
*13:05JST 萩原電気HD Research Memo(5):2025年3月期は営業利益で前期比9.2%減へ下方修正(1)
■萩原電気ホールディングス<7467>の今後の見通し
● 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で255,000百万円(前期比13.3%増)、営業利益で7,000百万円(同9.2%減)、経常利益で6,200百万円(同14.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で3,850百万円(同12.9%減)を見込んでおり、期初予想(売上高26,900百万円、営業利益7,900百万円)から下方修正(2024年11月8日公表)された。
売上高は増収とはなるものの、期初計画を下回る。一方で先行投資などは計画どおり進めるため通期でも減益を見込んでいる。セグメント別の予想は開示されていないが、上半期と同様に両セグメントともに増収ながら減益となる見込みだ。
■中長期の成長戦略
中期経営計画「MNV2026」を発表。「稼ぐ力」を一段と推進する。2027年3月期に売上高3,000億円、営業利益110億円を目指す
同社は、2022年3月期から2024年3月期を対象とする中期経営計画「Make New Value 2023(「MNV2023」)」を遂行していたが、最終年度の経営目標を1年前倒しで達成した。その後2024年春に、2027年3月期を最終年度とする新しい中期経営計画「Make New Value 2026(MNV2026)」を発表した。以下がその概要である。
1. 中期経営計画「MNV2026」の位置付け
同社は「MNV2026」を、「企業価値向上を重視したマネジメントスタイルへの変革を目指すとともに、次なる成長ステージへの進化に向けた準備としての計画」と位置付けている。「MNV2023」が、「先進エレクトロニクスで未来を創造するソリューションデザインカンパニー」を目指したのに対して、「MNV2026」は「先進エレクトロニクスで人と社会とテクノロジーをつなぐエンジニアリングソリューションパートナー」を目指している。外部環境変化を考慮した成長ステージに向けた構造変革・事業基盤の確立を目的としているが、「MNV2026」が終了した後に来る「次なる成長ステージ=MNV Next」に向けた基盤づくりとも言える。
2. 「MNV2026」の基本骨子
同社は、「MNV2026」の重点方針として「企業価値向上~稼ぐ力の向上~」を掲げている。さらにこれを達成するために、以下のような3つの構造改革と6つの重点戦略を推進する計画だ。
(1) 3つの構造改革
事業構造:ビジネスモデル変革による提供価値の向上
資本生産性:資本生産性を意識したマネジメント改革
人的資本:人的資本活用による従業員パワーの最大化
(2) 6つの重点戦略:変革・実行力・効率化による成長
デバイス事業戦略
ソリューション事業戦略
ビジネスイノベーション戦略
経営管理高度化戦略
人材戦略
ESG推進
3. 計数目標
事業規模の拡大と新たな収益モデルへの積極投資を行い、2027年3月期に売上高3,000億円、営業利益110億円を目指す。また財務面では、適切な財務レバレッジを効かせた規模拡大と成長投資を加速させ、ROE11%以上を目指す。これを実現するために、配当性向の目安を従来の30%から30~40%に変更し、純資産配当率も勘案したうえで安定配当を行う方針だ。
4. 施策の進捗状況
(1) デバイス事業:顧客開拓による領域拡大
1) 新商流獲得による事業規模・提案領域の拡充
新たな商流の獲得による基盤事業の規模拡大に加えて、電装品の理解領域が広がることによる提案領域の拡充を狙いとしたサービス領域拡充に向けた人的投資、研究開発投資を活発化させた。
2) 技術営業拠点の増設によるインドビジネス拡大
2024年10月、インド自動車市場に向けた車載システムソリューションの展開を加速させるため、新たにデリー、プネーの2拠点を開設し、インド北部から南部エリアをカバーした。既存のバンガロールを含めた3拠点体制で、日系企業のほか、インドローカル企業へのビジネス開拓を推進した。
(2) ソリューション事業:データプラットフォーム(DP)事業の確立
1) DP事業立ち上げによる収益構造改革
2024年4月、データを価値化するソリューション提供をビジネスとするデータプラットフォーム事業を立ち上げた。ソリューション事業の新たな柱として確立を目指す。
ストックビジネスの拡大や、既存事業とデータ活用技術の融合による、顧客の事業全体の最適化や新たなビジネス創出などに貢献する新たなソリューション構築が可能になる。
2) ベラダティの子会社化によるシナジー発揮
2024年7月、IoTデータプラットフォーム『BellaDati』を展開するベラダティを子会社化し、データプラットフォーム事業の中核となるデータ基盤を内製化。顧客対応の迅速化に加え、顧客ベースやブランド力のリソース共有によるシナジー効果の発揮を期待している。
このM&Aにより、3,000百万円を支払い、2025年3月期第2四半期末で2,914百万円の「のれん」を無形固定資産に計上した。
(3) 企業価値向上:収益力の強化
収益力の強化に向けた各事業の戦略策定、実行、モニタリングについて、ITインフラ実装によるデータの見える化と意思決定の迅速化を図った。
デバイス販売においては、既存商流に新商流を加えることで、車の電装品理解領域を拡大した。卸モデル拡大を活用した付加価値商材の事業機会を発掘することに加え、付加価値拡大に向けた投資を実行することで、付加価値商材を拡大。
さらにデータプラットフォーム事業の確立に向けたM&Aを実行(例:ベラダティ)した。これを含めて、新事業の確立による収益構造変革と顧客拡大を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)《HN》
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